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ビビりなやつほど生き残る!? マングースの影響で奄美大島のカエルの逃げ足が早くなっていた

「逃げるが勝ち」は本当だった。

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 東京農工大学の研究グループは、奄美大島に生息する絶滅危惧種「アマミハナサキガエル(以下、カエル)」の逃避行動が、外来種「フイリマングース(以下、マングース)」の影響で急速に発達したという研究結果を発表しました

アマミハナサキガエル(撮影:論文著者)

 捕食者がいない環境(島)で暮らしていた在来種は、新たに侵入してきた外来種に簡単に食べられてしまう傾向があります。奄美大島にマングースが導入されたのは1979年。島全域には拡大しなかったものの、導入地点に近い地域では多くの在来種を減少させました。

フイリマングース(撮影:小原祐二氏)

アマミハナサキガエル

奄美大島および徳之島のみに生息する在来種。環境省レッドリスト絶滅危惧種II類、県の天然記念物に指定されている希少種。

フイリマングース

南アジア原産。世界各地に導入され、在来生態系に深刻な影響を与えている。世界の侵略的外来生物ワースト100に指定。※2000年に始まった環境省の駆除活動によってほとんどのマングースが駆除されています。

 東京農工大学 国立環境研究所 森林総合研究所の研究グループは、奄美大島のカエルの逃避開始距離(人がどこまで接近すればカエルが逃げ出すかという距離)を地域別に計測。マングース導入地点からの距離が近い(=マングースの影響を受けた)地域のカエルは、他の地域と比べていち早く逃げ出す(=ビビり度が高い)ことを明らかにしました。

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地域別の逃避行動を調査
ビビり度(逃避開始距離)とマングースの影響(マングース導入地点からの距離)との関係図 マングースの影響が強かった地域では、逃避行動が発達している事が明らかに

 この調査結果は、マングースの影響によってわずか数十年の間にカエルの逃避行動が急速に進化した可能性を示しています。さらに、一度発達した逃避行動はすぐには戻らないこと、逃避行動が世代を超えて受け継がれた可能性、外来種は在来種を減少させるだけではなく行動という“性質”も変えることなどが分かるとしています。

逃避行動が発達すると想定されるプロセス(a)と観察結果(b)

 外来種による在来種の減少については多くの報告がありますが、性質への影響はほとんど知られていません。同グループは、外来種と在来種の関係を“性質への影響”という新しい視点で評価する事で、影響の大きさや幅広さを適切に理解することが期待されるとしています。

この研究成果は、イギリスのロンドン動物学会発刊Journal of Zoology誌(9月9日付(イギリス時間))に掲載されました。

URL:https://zslpublications.onlinelibrary.wiley.com/journal/14697998

掲載誌:Journal of Zoology

論文名:Rapid behavioural responses of native frogs caused by past predation pressure from invasive mongooses(外来マングースの過去の捕食圧による在来カエルの急速な行動変化)

著者名:Hirotaka Komine, Keita Fukasawa, Munemitsu Akasaka, Yuya Watari, Noriko Iwai, Koichi Kaji(小峰浩隆、深澤圭太、赤坂宗光、亘悠哉、岩井紀子、梶光一)

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