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【漫画で紹介】14歳で誘拐、29歳までカルト教団に監禁、このあらすじで底抜けにコメディなんです「アンブレイカブル・キミー・シュミット」(2/2 ページ)

ヤバいひとしか出てこない、でもみんな愛せちゃう。

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濃厚なキャラクターたち

 中でもリリアンが私のお気に入り。ベテランニューヨーカーで、この街で起きる悪いことは全部見てきた……というか関わってきた彼女は、とってもおちゃめで、いつも少し的外れだけど愛情たっぷりなアドバイスをくれる。

 リリアンを演じるのはキャロル・ケイン、なんだか見たことあるなあと思ったら、「アダムス・ファミリー」の魔女のおばあちゃん役の女優さん。公開されたのは1992年、私が生まれる前! この画面での存在感の変わらなさ、キャロルって本当に魔女なんじゃないかしら……?

 キミーは、ひょんなことからベビーシッター兼メイドの仕事を得る。雇い主であるジャクリーンも、このドラマを語る上で外せない存在。ネイティブアメリカンであることを隠して、ブロンドで青い目の白人として生きているという謎の設定もおもしろい。超お金持ちの男性と家庭をもち、キミーとは正反対の、リッチで自由な生活を送ってきたように見えていた彼女も、足フェチの夫のために足の美容整形(?)をするなど、実は夫や息子に振り回される人生を送っていた。そんな彼女の悩みをキミーが見抜いたことから、お互いを励まし合い支え合う姉妹のような関係に発展していく。

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 そして誰よりもスペシャル濃厚なキャラクターが、ニューヨークでのルームメイトになる俳優のタイタス。くりっくりの目とぽってり唇がセクシーな彼は超ディーヴァタイプ。「前世はゲイシャだったの……」という自身の生い立ちを白塗り一人舞台で演じたり、「ライバルだわ!」と言って歌えるロボットを土に埋めたり、わりと(だいぶ?)激しい一面もあるが、とっても優しくあたたかいキミーのベストフレンド。演じるのは、役と同名のタイタス・バージェス。ブロードウェイでリトルマーメイドのセバスチャンなどを演じている彼の美声を聞けるのもこのドラマの魅力。

 タイタスとキミーのエピソードの中で、グッとくるものを紹介させて。「オーディションはもう受けたくない」と落ち込むタイタスにキミーが放つ、「人生は厳しいものなの。拉致されたって、オーディションに落ちまくったってなんてことないわ!」というアドバイス。達観した強さが垣間見えるこの言葉。

 私はあの誰もが知る人形劇「ひょっこりひょうたんじま」の歌詞を思い出す。「苦しいこともあるだろさ、悲しいこともあるだろさ、だけど僕らはくじけない。泣くのは嫌だ、笑っちゃお!」まさしくキミーの持つ人生観に通じるものがある。

 それにしたって、拉致という重すぎる経験を、なんてことないの一言で片付けるなんて並大抵のポジティブさじゃできない。おそれいっちゃうわ!

もっともっとアンブレイカブルに!

 そんな濃厚なキャラクターたちとキミーとの出会いはたくさんのミラクルを起こしていき、お互いをどんどん強く前向きにしていく。

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 浮気ばかりの夫との不自由な結婚生活にしばられ悩んでいたジャクリーンは、キミーの後押しで夫と離婚し、ビジネスを始めるなどして自立を目指し進んでいく。売れずに燻っていたタイタスは、キミーの恐れを知らないところに影響されて、どんどん新しいことへ挑戦していく。リリアンは元夫の死を乗り越えて新しいボーイフレンドとキュートな恋をはじめる。

 そして監禁されたときのまま情緒や行動が止まってしまっていたキミー自身も、新しい出会いによって自分の人生を取り戻していく。いくつになっても新しい恋をしたり、はじめての仕事に挑戦したり、どんどんアンブレイカブルになっていくキミーと仲間たちは、すてきな出会いや変化のタネは自分から見つけて手に入れていくものなんだということを教えてくれる。

「インタラクティブ・エピソード」でカムバック予定!

 今年の1月に惜しまれながらも終了したこのドラマだが、視聴者がストーリー展開を自由に選択できる番組「インタラクティブ・エピソード」で戻ってくるとアメリカのインターネットニュースサイトDeadlineなどが報じている。さすがキミー・シュミット、カムバックの仕方も良い意味で枠を超えてきている! 公開は来年の予定なので、エピソード1から見てみるには今がベストタイミングかも。

 退屈な毎日に飽き飽きしているあなたも、新鮮な出会いがほしいあなたも、全てのものに新しさを見出すキミーのように世界を見渡してみて。今は気づいていないだけで、そこら中に新しい出会いや発見のタネがあるはず!

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