朝日新聞「十分な検討行うべきだった」 専門家から指摘が相次いだ『ガンの新しい治療法』書籍広告について見解示す
広告の内容について、専門家から「科学的根拠がない」など指摘が相次いでいました。
朝日新聞社は11月14日、12日付の朝刊に掲載していた『イタリア人医師が発見した ガンの新しい治療法』の書籍広告について、広告内容に疑念があったとし、今後は「慎重なチェックに努めてまいります」とのコメントをサイトで発表しました。
問題となっていた広告では、「外科医として40年、ガンと戦って発見した治療法!」「重曹殺菌と真・抗酸化食事療法で多くのガンは自分で治せる」などとうたい、書籍の内容について「紛れもなくガン治療における革命である」と紹介。この治療法を発見したとされるイタリア人監修者、トゥリオ・シモンチーニ氏については「腫瘍学(医学)博士」「医師(外科医)」との肩書を添えて紹介していました。
しかし、ネット上ではこの広告に対し、「このような治療法ががんに有効という科学的根拠はありません」など専門家から指摘が相次ぐ形に。指摘を受けて朝日新聞が調べたところ、シモンチーニ氏は2003年にイタリア医学界から追放されており、違法な医療行為で患者を死なせるなどした罪で、2度に渡り禁固刑を受けていた――といった現地報道が確認できたといいます。またシモンチーニ氏が行っていた処置は、医学界では効果が実証されていないどころか、むしろ危険な処置とされていたそうです。同社はこうした調査の結果を受け、「少なくとも、この書籍の広告がシモンチーニ氏を『医師』と表示して治療法を紹介していることには疑念があります」と結論づけています。
また、内容に疑念のある広告を掲載してしまったことについては、前提として「広告表現は広告主の責任においてなされるもの」と、出版社側の責任に触れつつ、しかし一方で「『ガンは真菌(カビの一種)だ』などとする表現は媒体として十分な検討を行うべきでした」とも振り返りました。今後については「出版物の広告は、できる限りその表現を尊重していますが、掲載判断にあたっては、内容に応じて慎重なチェックに努めてまいります」としています。
なお、書籍の出版元である現代書林のサイトには今のところお知らせなどは出ておらず、書誌情報のページなどは現在も閲覧可能となっています。
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