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ローカル線を救う夢の乗りもの……!! きっと興味が沸く、いちばん分かりやすい「DMV」のお話【写真62枚】月刊乗り鉄話題(2019年11月版)(1/5 ページ)

DMVって何だ? 面白いぞー。

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 2019年11月30日から12月22日まで、京都鉄道博物館で新しい乗りもの「DMV」が展示されます。皆さん、「DMV」をご存じでしょうか。


これが近未来の公共交通機関として期待される「DMV」。あるときは鉄道車両に、またあるときはバスに「変身」し、線路も道路も走れる。こちらは軌道を走る「鉄道」モード(撮影:杉山淳一、以下同)

こちらは道路を走るDMVの「道路」モード。見た目は普通のバスである

 DMVは「Dual Mode Vehicle」の略で、直訳すると「2つの形態(を備えた)車両」です。道路走行用のタイヤと、軌道走行用の車輪の両方を装備しています。外観はどこか愛嬌のあるお顔のボンネット付きマイクロバスです。

 DMVは、徳島県と高知県にまたがる「阿佐海岸鉄道」で2020年度から世界で初めて営業運行する予定です。京都鉄道博物館での展示は1台ですが、阿佐海岸鉄道には3台が納入され、運行開始を待っています。バスとしてはいつでも走れるのですが、鉄道側の準備がまだできていません。でも運行開始直前まで車庫に眠らせておくのももったいないということで、PRも兼ねて京都鉄道博物館で展示することになったそうです。

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 「これから運行開始予定」の鉄道車両を博物館で展示するのは珍しいことです。そもそも四国から京都まで、どうやって運ぶのでしょうか。鉄道車両ならば、貨物列車として新型の車両を機関車に連結して連れてくる……のですが、そんな大掛かりで面倒なことはしません。線路も道路も走れる車両なのですから、道路を走って京都までやってきて、展示が終わったら、また京都から四国へ道路を走って帰るのです。面白そうだと思いませんか。

 ともあれ営業運行が始まったら、こんな「出張」は恐らくもうありません。京都では見納めになるかもしれないので、この機会にぜひ京都鉄道博物館へ見に行きましょう。営業運行する前にモードチェンジや鉄道線路の走行を見られるチャンスです。

 今回は、このDMVに興味を持ってもらえるであろう「いちばん分かりやすいDMVのお話」をお届けします。

DMVって何? 何がいいの?──「公共交通の革命」を起こす乗りものとして期待

 DMVは、列車とバスの「いいとこ取り」ができます。それぞれに10~15秒でモードチェンジでき、線路上では鉄道車両に、道路上ではバスに変身します。


「鉄道」モードから「道路」モードへ変身! 約15秒で完了する

 列車は交通渋滞がないため、定時運行ができます。一般道路よりも制限速度が高いため、スピードも上げられます。

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 バスは街中の道路を走れます。病院、商店街、学校、住宅地など目的地の近いところで乗降できます。「バスで駅へ行き、列車に乗り換えて目的地の駅まで行き、その駅からバスに乗り換えて目的地に着く」といったよくある公共交通機関を使うルートでは「2回の乗り換え」が必要でした。DMVはこのルートを「乗り換えなし」で結びます。

 例えばこんなシーンです。「家の近くの停留所からDMVに乗り、途中で線路に入って鉄道をスイスイ走り、目的地の近くで道路に降りて、病院や学校など目的地のそばに到着」。マイカーで移動する感覚に近く、自分で運転する必要はありません。楽チンです。バスと電車、それぞれ個別に料金を支払う必要もなくなります。


鉄道モードの後ろの車輪はガイド役。タイヤがレールに接地して駆動する。滑りにくいスタッドレスタイヤを履いている

車内はバスそのもの。立ち席用のポールが路線バス仕様(阿佐海岸鉄道の許可を得て車両基地で撮影)

 このことは鉄道会社にとってもメリットがあります。DMVはマイクロバスの設計を基本としているため、鉄道車両より低価格で導入できます。点検作業も簡素化されます。鉄道車両より軽いので、線路の保守コストも下がります。

 便利で、運行費用も安く済む。赤字に悩む地方ローカル線や、その維持費を支援している自治体にとって、とても都合の良い車両です。


先行して登場した現行の青いDMV(931形)、愛称は「未来への波乗り」。沿線は国内有数のサーフィンスポットとして知られている

ミドリ色のDMV(932形)、愛称は「すだちの風」。沿線はすだち、ポンカンなどかんきつ類の栽培が盛ん。この車両が京都鉄道博物館で展示予定である

赤いDMV(933形)、愛称は「阿佐海岸維新」。高知県の英雄、坂本龍馬をデザインし、地域活性化の維新という期待を込めた
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