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「その頃ぼくは天使に憑かれていた」 気鋭のイラストレーターと詩人が“黙示録的詩画集”を作った理由

『あの夏ぼくは天使を見た』(KADOKAWA)の詩人・岩倉文也さんに取材しました。

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 新進気鋭のイラストレーター焦茶さんと詩人の岩倉文也さんがタッグを組んだ“黙示録的詩画集”こと『あの夏ぼくは天使を見た』(KADOKAWA)。10月31日に発売された同書は、天使をテーマに美麗な美少女たちのイラストに詩を組み合わせた不思議な1冊です。


『あの夏ぼくは天使を見た』 装丁:有馬トモユキ

 「自分の絵と彼の言葉が同じページにあったらどうか、同じ本にあったらどうなるのか」(あとがきより)――当初はイラスト集を想定していた企画が、焦茶さんの提案で岩倉さんとの共作になったとのこと。今回、ねとらぼ編集部では岩倉さんに本書のポイントや焦茶さんとのエピソードなどを聞きました。収録作の一部とあわせてお届けします。

絵:焦茶(@BARD713

1995年生まれ。旅するイラストレーター。『Fate/Grand Order 電撃コミックアンソロジー11』やVTuber樋口楓のイベントビジュアル、AZKiの衣装などを担当。

詩:岩倉文也(@fumiya_iwakura

1998年生まれ。詩人。毎日歌壇賞の最優秀作品(2017年)、ユリイカの新人(2018)、中原中也賞最終候補(2019年)。著書に『傾いた夜空の下で』(青土社)がある。

天使の瞳

思い出には

奈落のように底がない

という

恐ろしさのために

人は

この世界から消えていくのかもしれない

ぼくは

きみのうす青い瞳に射すくめられたとき

ふと

そう思った

妄想のなんてやさしい朝だろうこぼれた水もそのままにして

ふいに目覚めふいに眠ってゆくことの耐え難きまで明るい世界

その日にはその日の地獄あることを告げつつ崩れゆく砂糖菓子

冬の空 きみはことばに傷ついてそのきずぐちに光は集う

詩人・岩倉文也さんへのインタビュー

――なぜ天使がモチーフに?

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 天使モチーフは1回目の打ち合わせのときに即決まりました。その頃ぼくは天使に憑かれていて、徹夜で自分だけの天使設定資料みたいなものを作っていた。その怪文書を編集さんと焦茶さんに見せたら「これでいきましょう!」と。全員狂ってましたね。

――絵と詩を組み合わせる際に意識したことはありますか。

 合わせすぎないこと、ですかね。例えば詩が絵の説明になったり、絵が詩の説明になったりというのは避けました。ぼくと焦茶さんの個性・作家性の違いを、できるだけ生のまま取り出せるよう意識して構成しました。

――焦茶さんと一緒にやることになった経緯は?

 コミティアの時にぼくとにゃるらさんで焦茶さんのブースに挨拶に行ったんですよ。それが初対面だったんですけど、その時のことを焦茶さんが覚えていて下さって。ある日DMで焦茶さんから「一緒に本を作りませんか」と。驚きましたね。「ぜひやりましょう」と即答しました。

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――同人誌「インターネット2」でも共演するそうですね。

 11月24日の文学フリマ東京で頒布予定の、ぼくとにゃるらさんで作った初の同人誌『インターネット2』。とにかくお互いに書きたいことを書きまくった渾身の1冊です。ぼくの場合普段エロゲについて書く機会がないので、その鬱憤を1万5000字の「美少女ゲームダイアリー」に全て込めました。(そのせいで『インターネット2』だか『美少女ゲーム2』だか分からない本になってしまいましたが……)。お値段は1500円。焦茶さんの表紙イラストが目印です。文フリ当日は【キ-42】でお待ちしています。

――最後に、最近楽しかったことを教えてください。

 今はずっとアリスソフトのエロゲをやってます。ランスシリーズは全部やってしまったので、『イブニクル』『イブニクル2』を攻略中。 ぼくはこういうヘンテコな世界観のファンタジーが好きなので、かなり満足ですね。ちなみにこの記事が公開されている時点ではまだ「アリスソフトブランド設立30周年記念セール」がDMMで行われているはずなので、気になる方はぜひ買ってみましょう。

 それと「ランスやりたいけど何処から手をつければいいか分からない」という人はとりあえず『ランス03 リーザス陥落』から入るのがおすすめ。ぼくはここから始めました。以上!

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