インタビュー

どうぶつタワーバトルがeスポーツ化していないのは“ゲームとして優秀過ぎるから”かもしれないこのeマイナースポーツがスゴい(1/2 ページ)

これからのDTBの話をしよう。

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 2017年末に大ブームを巻き起こし、「次世代eスポーツか」とまで言われ、今なおプレイヤー主導で大会が開かれる(中には賞金が出るものも!)ほどの人気を維持しているゲームタイトルをご存じでしょうか?

 「どうぶつタワーバトル」(略称:DTB)です。

アプリ起動画面より抜粋

 本記事はあのブームから約2年たった今、「どうぶつタワーバトルとは何だったのか」「これからどうなるのか」を考える連載企画。今回は、同作のeスポーツシーンを広めるために活動しているというだずんさん(@dazun_dtb)に、「DTBが現時点でeスポーツになれていない理由」を伺いました。

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実は企業スポンサー付き、賞金アリの大会もあるDTB

―― だずんさんは「どうぶつタワーバトルのeスポーツ化」に向け、各種活動を行っています。その中の1つである「DTB獣王杯」の大会運営は、どのような経緯で始まったのですか?

 僕がDTBをプレイし始めたのは2017年末のブームが起こったときから。「DTB獣王杯」を始めたのは2018年3月からで、卜部さんというトッププレイヤーの方が「段位戦をやってみたいな」というツイートをしているのを見て、DMで「大会を開きましょう!」と提案したのがきっかけです。

 「DTB獣王杯」は毎週土曜日の夜に開催。階級別リーグ制を採用しているのですが、これは「ぷよぷよ」のプレイヤー主催の大会「おいうリーグ」をヒントにしたものです。

「DTB獣王杯」のルール説明

 DTBのトッププレイヤーになると、安定した勝率が求められるレート戦は「いかに運負けを防ぐか」という戦いになってしまうところもあるんですよね。大会なら上位勢との熱いバトルが楽しめますし、普段レート戦しかしていない人にとってはとても刺激のある場所だと思います。

 今は毎週30人ほどの参加者がいて、80回以上続いています。ユーザー主導の大会で、こんなにも続かせてもらってるのはほんとにありがたいです。

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―― 企業スポンサー付きで賞金が出る大会も運営されていますが、始まった経緯は?

 「超獣王杯」のことですね。BlueStacks様(いつもお世話になっております)からお声掛けがありまして、「Game.tv」という大会運営ツールを使うことを条件に、スポンサーしていただけることになりました。不定期ですが月に複数回は開催しています。

 「DTBグランドマスターズ杯(グラマス杯)」という大会も賞金があるのですが、こちらは基本的に大会運営者たちで出しています。

「超獣王杯」開催情報の一例。「DTB獣王杯」の告知用Twitterアカウントで発信されています
2019年末に行われた第2回「グラマス杯」の告知ツイート。こちらは年1回開催

 ちなみに、僕以外のプレイヤーが主催している大会もあるんですよ。

  • 禽王杯:しょうろさん(@laid4sale)が開催。「大きいステージ限定」などの特殊ルールで行う
  • Evo杯:ham.さん(@ham_game_)が不定期開催
  • れみぃ杯:れみぃさん(@rmydtb2)が配信内で開催

DTBがeスポーツになれていないのは“ゲームとして優秀過ぎるから”かもしれない

―― DTBは登場当初から「次世代eスポーツ」と言われることがありましたが、ネタか本気か判断が難しいニュアンスがあったような気がします

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 トッププレイヤーたちのやっていることは完全にeスポーツだと思うのですが、どうしてもカジュアルなゲーム止まりになってしまうところがあるのかな、と。

―― 個人的な意見なんですが、ブーム当時は「確かに戦略性もあるんだけど、BGMや動物たちがほっこりテイストで、“eスポーツっぽさ”が弱いなあ」と思っていました

 その個人的意見、言われるの2回目です(笑)。

 noteの「esportsになれないどうぶつタワーバトル」という記事にも書いたのですが、カジュアル層とトップ層で認識が違っていて。

 カジュアル層は「気軽にできて楽しい」「運要素が強く、負けてもそんなに気にならないゲーム」、対してトップ層は「常に盤面を考えながら10秒以内に最善手を打っていく、頭を使うゲーム」「むしろ運要素は低く、実力が8割以上を占めるゲーム」と捉えています。

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 逆に言うと「ゆるくもガチでも楽しめる」というわけで、ゲームとしてはめちゃくちゃ優秀だと思うんですよね。

―― 「間口が広くて奥が深い」って長所の両取りですもんね

 でも、多くの人はガチ対戦の面白さを知らないまま、「カジュアルな楽しいゲーム」止まりでそのうち飽きてしまうんですよ。

 もちろん、どんなゲームだっていつかは飽きるものでしょうけど、「ガチでやるのが楽しい!」「DTB界隈に入りたい」となってくれると人と人のつながりができて、もし飽きてもいつか復帰してくれるかも。そんな環境が生まれると、ガチ勢が増えて盛り上がっていくと思います。

―― 「DTBのeスポーツ化」を実現するには、何が必要だと思いますか?

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 僕はそのためにいくつか活動をしていて、例えば、2018年には半年かけて「どうぶつタワーバトル攻略wiki~虎の巻~【DTB】」を作りました。「強いプレイヤーを増やして、もっと楽しく遊べるようにしたい」という目的からです。

 それから、「そもそもカジュアル層で止まってしまう人が多いのは、ガチのプレイを見る機会がないからでは?」と、2019年6月から実況解説動画の投稿も始めたんですが……なかなかうまくいきませんね(笑)。

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 DTBはeスポーツの一員になれるタイトルだと思うんですけど、やっぱり観戦してくれる人がいてこそのeスポーツですから。ミラティブ(スマホ向けゲーム配信アプリ)で各人が配信しているのが現状で、もっと気軽に見られるものにしていく必要があるのかなとも思っています。

「eマイナースポーツ」としてのどうぶつタワーバトル

 日本eスポーツ連合(JeSU)によれば、広義のeスポーツとは「コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称」。

 本気でプレイを楽しむ人たちがいて、大会も開催されているDTBもこの定義に当てはまるかもしれませんが……同作をeスポーツタイトルに数えている人は、おそらくかなり少数派。強いて言えば、草の根的に楽しまれている「eマイナースポーツ」といったところでしょうか。

 もしもこれから、大会規模が拡大して高額賞金が出るようになり、観戦者数が増加したならば――― 未来のことは分かりませんが、この“eスポーツの卵”が孵化する日がやってくるかもしれません。

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