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「東海道新幹線と競争する」「赤いヤツだ!」 注目浴びまくり、近鉄の新型名阪特急「ひのとり」に乗ってきた月刊乗り鉄話題(2020年3月版)(4/4 ページ)

3倍速くはない……けれど、きっと3倍快適に違いない。もうすぐ完乗率100%の筆者が、どれだけ快適かを早速チェックしてきました。【写真54枚】

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ついでに近鉄の標準軌路線を踏破 ケーブルカーの踏切と忍者電車、そして帰りは「しまかぜ」で

 近畿日本鉄道は大手私鉄最大の路線網です。いくつもの鉄道会社を合併してきた経緯から、線路の規格が2種類あります。新幹線と同じ規格の標準軌(レールの間隔が1435ミリ)と、JR在来線と同じ狭軌(同1067ミリ)です。

 ひのとりから始まった今回の旅の主な目的は「近鉄の標準軌路線とケーブルカーの踏破」でした。2泊3日の旅から、特に面白かった「乗り」を3つ紹介します。

日本でここだけ「ケーブルカー4線の踏切」

 「生駒ケーブルカー」は近鉄生駒駅付近の鳥居前駅と生駒山頂駅を結ぶケーブルカーです。途中の宝山寺駅を境に2つの路線で構成されています。鳥居前~宝山寺は宝山寺線、宝山寺~生駒山頂は山上線と呼ばれます。宝山寺線は日本で最初のケーブルカー路線です。

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宝山寺線のケーブルカーは4台ある。こちらは犬のデザイン車両「ブル」

こちらはブルとすれ違う「ミケ」ネコのデザイン。生駒山頂には遊園地があり、ケーブルカーはその入口として楽しい乗りものになっている。……んー? 目がすごい…。何だか某著名キャラのアレに似ていますね(笑)

 ブルとミケはすれ違う直前に「ワン」「ニャン」とあいさつするそうです。でも私が乗った夕刻などの通勤通学時間帯はあいさつの演出はなし(とほほ)。宝山寺線はケーブルカーでは珍しい通勤路線です。沿線には住宅やマンションが多数あります。そのため宝山寺線にはもうひと組のケーブルカー路線が並んでいます。まるで複線みたいです。独立しているので正しくは「単線並列」といいます。


宝山寺線のもう一つのケーブルカー「すずらん号」。レトロな雰囲気。ペアを組む車両は青色の「白樺号」

「すずらん号」「白樺号」は多客期と木曜日の運行。今回は「すずらん号」に乗車。ケーブルカー路線が2本並ぶ景色は日本でここだけ。奥に「白樺号」が見える!

宝山寺線のケーブルカーのすれ違い部分に踏切がある。日本でここだけ「線路4本のケーブルカーの踏切」だ

みぞ? ロープ? ケーブルカーならではの珍しい注意書き

なるほど、確かにロープがある。片側のレールは両側に溝があり、片側は溝がない。ケーブルカーの車輪は片側の踏面がレールを抱える形、片側の踏面は平面。その特徴を示している

近くの公園から、すれ違う瞬間も眺めてみた

山上線の「スイーツ号」。ケーキのデザイン

こちらは「ドレミ号」。オルガンのデザイン

松本零士先生が描いた「忍者電車」

 伊賀鉄道は伊賀神戸(いがかんべ)駅とJR伊賀上野駅を結ぶ路線です。2017年まで近鉄伊賀線でしたが、地元自治体が出資する形で経営分離されました。電車はもと東急東横線の地下鉄直通車両「1000系」です。伊賀と言えば忍者の里、というわけで、車両の一部が漫画家松本零士先生のイラストが描かれた「忍者電車」になっています。


ピンクの忍者電車。くノ一かな?

ブルーの忍者電車

車庫と伊賀鉄道の本社がある上野市駅は2019年2月から「忍者市駅」の愛称が与えられた。自治体の上野市は合併により伊賀市になっている

いろんなところに忍者が潜んでいる……!

帰りは「しまかぜ」で

 近鉄特急「しまかぜ」は2013年、伊勢神宮の式年遷宮に合わせて誕生した観光特急です。プレミアム車両と個室車両、カフェ車両の6両で編成されています。全国で観光列車が誕生した時期でもあり、このしまかぜも大きな話題になりました。

 2020年現在は大阪難波~賢島、京都~賢島、名古屋~賢島の3つのルートで、週に6日間、1往復しています。今回は賢島から名古屋行きに乗車しました。


近鉄50000系電車「しまかぜ」。先頭車はガラス張りでダイヤモンドカットのようでかっこいい

賢島駅で並ぶ新旧特急電車群。手前から「大阪難波行きしまかぜ」「名古屋行きしまかぜ」「名古屋行き特急(12200系スナックカー)」「京都行き特急(30000系ビスタEX)」

先頭車はハイデッカータイプ、運転室の仕切りもガラスで眺望良し

しまかぜのプレミアムシートは本革でゆったり。窓も大きい

背面テーブルを出した様子。窓枠のスリットに開閉可能な送風口がある

今回は帰りのしまかぜでも良い席が取れた。前面展望がすばらしい

しまかぜの車内見学。家族やグループに最適な6人用コンパートメントもある

しまかぜ:こちらは掘りごたつ式の個室。この広さで4人用とは

しまかぜ:カフェ車両は2階建て。上階と下階に窓向きのカウンター席がある

しまかぜ:テーブルも風の流れをイメージした形状

しまかぜ:カフェ車両で食事、スイーツなどを提供。販売カウンターでお弁当も買える。こちらは「松阪牛重」。肉も野菜もごはんもほっかほか。おいしかった!

しまかぜ:松阪牛カレーも食べちゃった。こちらももちろん超ウマ。アツアツなのは食堂車ならではである

しまかぜ:名古屋から「ひのとり」で始まった旅は、名古屋行き「しまかぜ」で締めくくり

 今回の旅では伊賀鉄道を含めて113.1キロに初乗車。残り未乗区間は近鉄の狭軌区間など85キロ。私の全国の鉄道路線踏破率は99.69%になりました。次回、いよいよ100%完乗へ向けて旅をしてきます。

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杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。ITmedia ビジネスオンラインで「週刊鉄道経済」連載。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。JR路線の完乗率は100%、日本鉄道全路線の完乗率は99.69%(2020年3月時点)

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