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「どこまで花見って妥協できるかしよう」 今年の花見を妥協する漫画が思いのほか風流で心温まる

ゆるい会話からのステキな発想にほっこり。

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 今年はいつも通りにはお花見ができず少し寂しい気持ちになりますが、中憲人さんの漫画『雑な生活』に収録された「花見を妥協する話」はそんな心を温めて豊かにしてくれます。なんて趣のある“妥協”なんだ。

面白い提案からはじまります

 お花見できなかったね、とお家で話すゆう子と佐々木。するとゆう子が「どこまで花見って妥協できるかしよう」と、まずスマホで撮った桜の写真を出します。写真花見はアリだと思った佐々木ですが、去年の写真だと聞いた途端に「なんか画像でも今年のであってほしいな、なんでだろ?」と微妙な気持ちに。疑問も含めてわかる気がする……。

花びら1枚に加えるのは……?

 続くゆう子が提案する“妥協花見”は「しなびた花びら1枚」。これだけだとわびしいですが、それを小さい四角に切ったブルーシートに置くと……「この色の組み合わせ かなり花見感増す!」と驚く佐々木。ここからさらに花びらさえも無くして、ブルーシートにピンク色の小さい折り紙を置くだけにすると、今度は「…いやこれは」とナシになります。この妥協できるラインを探る感じがおもしろい。

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ブルーシート+花びらは有りだけど、ブルーシート+似たような折り紙は無しになる人間の心理

 と、お酒を割る飲み物がなくなり、一緒に外へ。道路の隅にたまった花びらを見つつ、ふと「桜の花びらって最終的にどこにいくのかな」と話すゆう子。その疑問に佐々木が、川に流れてるのを見るから「海にいくんじゃない?」と返すと、ゆう子は「じゃあさ、海に流れたのを魚が見上げてるかもしれないよねー」と、“花見の海編”を想像するのでした。何気ない会話から生まれる情緒豊かな発想がとても良い……。

思わず「おお…!」となる発想がステキ。風流だ……

 ちなみにその後、ふたりの花見はそれをきっかけに「コップに花びらを浮かべて下から見る」になったことが語られます。確かに本来の花見から妥協した結果ではありますが、想像する景色に思いを馳せて一杯やるというのも充分に乙だなと思わせてくれるステキなお話でした。

 漫画『雑な生活』は、生活が雑な会社員のゆう子と、生活が雑ではない看護師の佐々木、2人の日常物語。もともとはWebメディアで連載されていた作品で、4月11日にはコミックスも発売に。今回の漫画は、コミックス発売に合わせて新しく描き下ろされたものとなっています。作者・けん(中憲人/@nomorehole2)さんのnoteでは他のエピソードも試し読みが可能なので、空気感にグッときたひとはチェックしてみるとほっこりできるでしょう。

【4月21日追記】作品説明について「コミックス発売に合わせて新しく描き下ろされたもの」という説明を追加し、表現を修正しました

試し読みはこちらのリンクから

画像提供:中憲人(@nomorehole2)さん

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