インタビュー

「小学1年生が4割増えるかも」「卒業式が体育館で行えない学校が出てくる」 現役教員に聞く「9月入学制導入」の“多過ぎる課題”(3/4 ページ)

「もしも今年度から9月入学制が導入されることになったら……」を聞いてみました。

advertisement

5:入学時期と一緒に、受験シーズンが変わると起こること

 入学時期が9月に、卒業が7月に変わると、やっぱり高校の入学試験の時期もズレると思う。

―― 卒業のちょっと前、6~7月ごろが受験シーズンになるのかな、たぶん。

 そうすると“学校行事の時期はこのままでいいのか”という問題も出てくる。修学旅行を例に出そう。現状では中学3年生の5~7月に行う学校が多くて、このままだと受験シーズンにぶつかることになる。

advertisement

 日程変更できればいいんだけど、以前のインタビューでも話した通り、「京都には毎年、日本中から修学旅行生が集まるのに、なぜ旅館がいっぱいにならないのか」というと「“どの学校が・どの時期に・どの旅館を利用するのか”が慣例的に決まっているから」だ。

 そう簡単にはいかないと思うよ。修学旅行先の宿は入学とほぼ同時くらいに押さえるものだから、キャンセル料の問題も出てくるかもしれないし。

―― 学校外の事情まで絡んでくるわけだ。

6:入学時期と一緒に、受験シーズンが変わると起こること・2

 じゃあ、学校“内”の事情はどうかというと、これまた以前のインタビューで話したことだけど、学校行事の日程を動かすというのはなかなか難しい。数が多いからバッティングしないようにするのが大変だし、季節の問題もある。

 例えば、4月入学制を採用している現在の中学校では、体育祭はだいたい「5月開催」「10月開催」のどちらか。で、中学3年生で修学旅行に行く場合は、5月開催なら2学期に、10月開催なら1学期に行く場合が多い。

advertisement

―― 「体育祭が春なら、修学旅行は秋」「反対に、体育祭が秋なら修学旅行は春」みたいな関係になっているのか。

 さて、この日程のまま9月入学制に切り替えると、5月開催の体育祭は受験シーズン直前。生徒が利き腕を骨折したら大変だ。

 かといって、10月開催に変えようとすると、そのあたりの時期にはもう修学旅行が予定されている。では、「冬にズラすのはどうか」というと、めっちゃ寒いわけだ。

―― 夏の場合は……熱中症のリスクがあって厳しいか。

7:本当に9月入学制の導入で「学習機会の格差是正」はできるのか

 なぜこのタイミングで、9月入学制の導入が検討されているのか。その理由の1つは、それは「学習機会の格差是正」とされている。

advertisement

―― 「新型コロナの感染状況は各地域で異なっていて、休校期間もバラバラ。でも、入学時期自体をズラしてしまえば、生徒たちのスタートラインがそろえられるのでは?」という発想だよね。

 では、休校期間はどれくらいバラバラなのか。現時点(5月1日時点)の話になるけど、「6月まで休校」というところもあれば「GW明けに学校再開」としているところもある。

 確かに、こういう差なら9月入学制に切り替えることで解消できる。でも、すでに今年度が始まっていて、20日間くらい授業をしている学校もあってさ。つまり、スタートラインを整えようにも、全国的に見るともうスタートしてしまっている人たちがいるわけだ。

 結局のところ、学習機会の格差是正は、9月入学制の導入だけでは実現できない。“入学時期が変わったので、4月以降の授業をなかったことにする”という荒業を使うと、生徒は同じことを2回教わることになってしまうし。

―― 「すでに授業を行っていた学校はその分、休日を増やす」という手は?

advertisement

 今度は「学校行事の時間が確保できない」という問題が出てくると思う。こんな状況だから4月から登校再開していた学校も、行事は先送りしていたらしいんだよね。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  4. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  5. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  6. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  7. 高2のとき、留学先のクラスで出会った2人が結婚し…… 米国人夫から日本人妻への「最高すぎる」サプライズが70万再生 「いいね100回くらい押したい」
  8. 「腹筋捩じ切れましたwww」 夫が塗った“ピカチュウの絵”が……? 大爆笑の違和感に「うちの子も同じ事してたw」
  9. “膝まで伸びた草ボーボーの庭”をプロが手入れしたら…… 現れた“まさかの光景”に「誰が想像しただろう」「草刈機の魔法使いだ」と称賛の声
  10. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に