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新型コロナと自然災害 今こそ確認しておきたい避難方法(第2弾)~自宅待避・垂直避難編~

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 避難とは、必ずしも避難所へ逃げることではありません。新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される今、避難所以外で安全を確保する方法とは?全3回にわたる特集第2弾は、災害が迫っている時の「自宅待避・垂直避難編」をお届けします。

(監修:政策研究大学院大学教授、一般財団法人砂防・地すべり技術センター砂防技術研究所長 小山内 信智 先生)

発災前の避難 「自宅待避」か「立ち退き避難」か

 14日、一部の地域では新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言が解除されましたが、引き続き感染防止に努めていく必要があります。そんな中、まもなく迎える梅雨前線や台風など本格的な雨のシーズンに備えて、台風や大雨で災害が発生するおそれがある場合の発災前の避難について考えていきます。

 災害発生の危険性が高まり、自治体から避難準備や避難勧告、避難指示が発令された場合は、どんな状況下でも、命を守る行動を最優先にしていただきたいと思います。

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 ですが、必ずしも「避難=定められた避難所(指定避難所)へ逃げること」ではありません。「難を逃れるための安全確保」と考えてください。


台風・大雨における発災前の避難行動判定フロー

 指定避難所は、本当に避難しないと危険な方のために開設されます。

 また、自宅のある場所の危険度によっては、屋外への避難をせず、自宅等で待避するということも、避難行動の選択肢の一つです。

 特に、現在のように感染症が流行しているような状況下では、感染拡大を防ぐため、いつも以上に避難の必要性について考える必要があります。

 台風や大雨による浸水(洪水、内水、高潮など)や土砂災害は、ハザードマップから想定される浸水区域や浸水深、土砂災害警戒地域などを確認することで、事前避難の検討が可能です。→「新型コロナと自然災害 今こそ確認しておきたい避難方法(第1弾)~ハザードマップ確認編~」

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1 危険地域の外なら、自宅で安全確保(自宅待避)

 ハザードマップ等から、自宅が避難が必要な場所なのかを把握し、被災のおそれが小さい場所に住んでいる方は、自宅の中のより安全な場所で待機して安全を確保(自宅待避)してください。

 ただし危険な地域として指定されていなくても、周辺よりも低い土地であったり、近くに崖や斜面、沢があり、降雨等の状況に異常さを感じ、浸水や土砂災害により被災する懸念が生ずる場合には、自治体の情報なども参考にして避難の検討をしてください。

2 頑丈なマンションなどなら自宅待避や垂直避難も


想定浸水深さよりも上に逃げる「垂直避難」

 想定浸水区域の中であっても、想定される浸水深よりも上の階に住んでいる場合は、自宅で安全を確保することも可能です。また、マンションなどの下層階に住んでいる方は、想定浸水深上の階に避難する「垂直避難」も有効です。

 ただし、身体や建物が無事でも、周囲が浸水によって被災し、ライフラインが途絶えたり、食料の入手が困難になったりする可能性があるため、万が一でも数日間生活ができるよう「水や食料の備蓄ができていること」が条件になります(※備蓄については第3弾で詳しくお話します)。

 土砂災害についても、災害の危険性がある地域でも、頑丈なマンションなどの上層階に住んでいる場合は自宅での安全確保、または上層階に避難が可能な場合は垂直避難の検討が可能です。一方で、建物は大丈夫でも、1~2階の場合は、窓やドアから土砂が流入して被災する危険性があります。

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 これらは従来、屋外に避難する方が危険な場合の避難方法として推奨されていますが、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されている今のような状況では、より現実的な避難の選択肢になり得るでしょう。

3 立ち退き避難は「指定避難所」以外への避難も


指定避難所以外にも、近くの安全な自主避難先の検討を

 自宅が災害の危険性があると判断した場合は、いよいよ自宅外への避難(立ち退き避難)をすることになりますが、避難先は自治体が定めた避難所(指定避難所)でなければいけないわけではありません。

 指定避難所の数は限られています。そのため、3密(密閉・密集・密接)を避けるために、なるべく避難先を分散できるよう、あらかじめ、より安全な近くの親戚や知人の家などを自主避難先としてお願いしておくのも手段の一つです。

 また、近隣の方で相談して、その地区の頑丈なビルの上層階を避難場所とするといったことも検討しましょう。

 避難先の分散のためには、普段からのコミュニケーションがとても大事になってきます。

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感染症と自然災害 大事なのはそれぞれのリスクを知っておくこと

 「感染症が流行しているような状況下では、避難所に避難した場合の自身と周囲に対する感染リスクの大きさと、自然災害によるリスクの大きさ、および指定避難所に行く以外の避難方法によるリスクの低減度合いを、それぞれ天秤に掛けて行動を決定する必要があります。

 もし、避難行動方法について事前の検討をしていない状況で災害の直前あるいは最中に避難情報が伝わった場合、”感染が怖いから”という理由だけで、本来必須であったはずの避難行動を躊躇させてしまう可能性は大いにあります。

 平常時から、もしくは避難を伴う災害が発生しそうな状況の極力時間的余裕がある段階で、事前に避難方法に選択肢があることを知っておき、当該災害に対する避難の必要性の有無について確認しておくことが重要です。」(小山内先生)

 緊急時に新型コロナウイルスの感染拡大をおそれて、必要な避難を躊躇してしまうことは避けていただきたいと思います。事前に避難の必要性を判断をする方法を知っておけば、いざという時の行動にも違いが出るでしょう。

【監修】

小山内 信智 先生(政策研究大学院大学教授、一般財団法人砂防・地すべり技術センター砂防技術研究所長)

【参考】

内閣府 防災情報のページ:http://www.bousai.go.jp/index.html

防災学術連携体:https://janet-dr.com/

新発田市:http://www.city.shibata.lg.jp/index.html

広島市:https://www.city.hiroshima.lg.jp/

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