コラム

よく見たら違うメーカー? 「OEM車」が増える理由(1/2 ページ)

パクリではないですよ。

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 街中で見かけるクルマ、「あれは○○だな~」と思ってよく見たら全然違うメーカーのエンブレムが付いていて「?」なんて経験がある方はいませんか。パクリ? それとも変わったカスタム? いえ、それはたぶん「OEM車」です。


スズキ・ランディは日産セレナのOEM車

 OEM(相手先ブランドによる生産)車とは、A社が開発・製造したクルマを別の自動車メーカーB社に卸し、B社のクルマとして販売するという仕組みで生まれます。

 エンブレムや見比べると分かるくらいの外装の一部が違うくらいのそっくりなクルマが、別の名前で、別のメーカーから出てくることになります。しかしあえてそんなことをするだけのメリットがあるのです。

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トヨタ・ハイエースのOEM車「マツダ・ボンゴブローニイバン」。なお、自社生産していたボンゴは2020年5月に惜しまれながら生産を終了した

販売好調というトヨタの小型SUV「ライズ」(写真=左)はダイハツ「ロッキー」(写真=右)のOEM車

 OEM供給を受けるメーカーにとっては、低コストで自社のラインアップにないクルマを販売できることが最大のメリットです。

 例えば、ミニバンがラインアップになかったら、これまでそのメーカーのクルマに乗っていた客が結婚して子どもが生まれ、ライフスタイルが変化したのでファミリーカーに買い替えたいといったとき、どんなに付き合いが長く良好な関係を築いてきたとしても泣く泣く他社に……ということが考えられます。

 客の望むクルマを売りたい。でも自社でコストをかけて開発するほどそのメーカーのメインターゲットに合った車種ではないというとき、他社と手を組んでOEMで供給してもらうという選択をする場合があります。


トヨタ・ピクシストラックはダイハツ・ハイゼットトラックのOEM車

 供給する側のメーカーにとってのメリット・デメリットを考えてみると、「自分たちで売った方が利益になるのでは?」「技術が流出してしまうのでは?」と敵に塩を送る行為に見えるかもしれません。

 しかし実際には生産ラインの稼働率が上がって効率良く生産できたり、合計の販売台数が増えることで自社だけでは仮に採算に合わなかった車種でも、後継モデルを継続して新規開発していけたりする、などの戦略が考えられます。また、見返りとして同じように自分たちのラインアップに足りない車種を供給してもらうという交換取引もあり得ます。こうして、利害が一致した2社の間でOEM供給が行われます。

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マツダ・キャロルはスズキ・アルトのOEM車
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