連載

あぁ懐かしの「いい旅チャレンジ20000km」 令和のデジタル環境で国鉄時代の濃いアナログゲームやってみたやすこーんの「くらしの鉄道」(3/4 ページ)

「あの頃」にマジ参戦していた達人の皆さんをお呼びして、いざ! ……ホントにできるのか?

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鉄道昔話に花が咲く「今となってはもうできない旅」も

 ゲームは進み、それぞれ2路線ずつほど踏破しました。栗原さんのコマは九州へ。ところが栗原さん、赤いマスの駅に止まってしまいました。私がアクシデントカードを引いて、カメラに向けて差し出します。

栗原さん 「ええと、『台風のため運転中止。九州・四国地方にいる人は1回休み。乗っている特急は降りる』……だそうです」


栗原さんの引いたアクシデントカード

齋藤さん 「神がかってる!」

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瀬端さん 「持ってますねー」

 冒頭にご紹介したように、栗原さんは雨男で有名な方。さすがとしか言いようがありません。

当時は「かなりお得な周遊きっぷ」もたくさんあった

 「ところで、皆さんはこの頃、ご飯はどうされていたんですか? 食堂車? 駅弁を買ったんでしょうか?」

齋藤さん 「食堂車は高かったんですよね。ただ、列車が長いこと停車場に停まると、近所の人がお弁当を売りにきたりしていました」

瀬端さん 「列車の窓が開きましたからね。おおらかな時代でした(笑)」

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栗原さん 「幕の内弁当が多かったですね。あとは駅前の名もない食堂とかで食べてました」

 「小中学生時に1人で列車で回って、1人で食堂に!? すごく自立したこどもですね」

栗原さん 「当時は乗り鉄という言葉はなかったですけど、1人で夜行列車に乗る小中学生は大勢いましたよ」

 30代まで1人で新幹線に乗ったことのなかった私と大違い……。親の寛大さもかなり重要ですね。

 学割で買うとかなりお得な周遊きっぷもたくさんありました。有効期間が最大20日間、特急や急行にも乗れるワイド周遊券が最強だったと聞きます。

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常備券の東北ワイド周遊券(@kyoto18kippuさん提供)

齋藤さん 「ワイド周遊券一択でしたね。八甲田、津軽の福島返しなどよくやりました。八甲田で盛岡方面から福島で降りて、下の津軽に乗り換えるんです。夜中2時とかに」

 「えっ、それはどういうことですか?」

栗原さん 「深夜に停車駅で、夜行列車から反対側の夜行列車に乗り換えて、また出発駅に戻るんです。ひたすら夜行列車に乗り続け、宿代を浮かすわけです」

瀬端さん 「北海道なら大雪返し、九州の大分返しなどが有名ですね。駅寝などしている人もいましたね。今ではできませんが……」

 「◯◯返し」は○○駅で折り返し、という意味らしいです。なるべく長い時間、夜行列車に乗っていたい私としては、夢のような話だ……!

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 かつて私も自分で計画して、東京からムーンライトながらで大阪からその日のうちに日本海で青森とか、青森から札幌まで、はまなすで移動、札幌からトワイライトで大阪へ、深夜に寝台特急サンライズで東京に戻る……など、ホテルに泊まらず乗り続ける旅をしていました、そういえば。

 ぜいたくな旅だったけど、今となってはもうできない旅。あのとき、体験しておいてよかったです。


夜行急行はまなす

はまなすではいつもカーペットカーだった

 ゲームは本来、春休み・夏休み・冬休みと続くのですが、長いので今回は春休みのみで終了にしました。結果は4路線を踏破した齋藤さんの勝ち。あとの3人は3路線踏破でした。

 そしてZoomでボードゲームをやるのは、ちょっと無理がありました。カメラで映しても文字が小さくて読めない、音がハウる、私が忙しくて呑み食いする暇がない(個人的理由)、などなど。

 とはいえ、「石勝線が開業前」とか「浅虫温泉がまだ浅虫駅だった」など、ボードや懐かしい特急のカードを見ながら、鉄道話で楽しく盛り上がりました。

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 鉄道路線の違いや特急についての話を聞くと、皆さん細かいことによく気付かれるなあと関心しきりでしたが、私の買ったばかりの崎陽軒×GUコラボのシウマイTシャツ(関連記事)に誰も気づいてくれなかったのは少し残念でした。

 このあと、1人でビールを飲みながらシウマイを食べました。おいしいなあ、シウマイ。


ポケットシウマイと共に(めっちゃめちゃ盛りました……)

 緊急事態宣言が解除され、少しずつ日常が戻ってきました。これからの旅の計画を立てつつ、家の中にある「昭和」を振り返るのにも、いい機会かもしれません。

 最後に、いい旅チャレンジ20,000kmが行われた1980~1990年の年表を簡単に残しておきます。ぜひあの時代を思い出しつつ、ゲームしてみてはいかがでしょう。

1980~1990年の「いい旅チャレンジ20,000km」と主な出来事

  • 1980年3月15日:国鉄242線区の「いい旅チャレンジ20,000km」乗りつぶしスタート
  • 1982年3月1日:「青春18のびのびきっぷ」発売(国鉄が運賃増収策として企画)
  • 1983年3月「青春18のびのびきっぷ」は春季発売分から「青春18きっぷ」と改称
  • 1983年4月:東京ディズニーランド誕生
  • 1985年3月17日~9月16日:つくば科学万博開催
  • 1986年7月1日:富士写真フイルム(現富士フイルム)「写ルンです」誕生
  • 1987年4月1日:国鉄分割民営化、JR誕生
  • 1990年3月14日:「いい旅チャレンジ20,000km」終了。参加者は約5万5000人、完全踏破は約1500人。JR発足によって、この時点で167線区まで減った

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