連載

虐待を受け、殺したいほど憎んでいる母親を介護する相談者「どこかでまだ認めてもらいたいと思っている」 「テレフォン人生相談」先週のハイライト(2/2 ページ)

人の気持ちって、なかなか整理がつかないもの……。

advertisement
前のページへ |       

まだ両親や兄に認めてもらいたいと思っている

 この日の回答者は弁護士の坂井眞。

 「怒りの感情っていうのはお兄さんに対するもの?」

 「そうです、今はすごいですね」

advertisement

 兄は介護の手伝いをしないのはもちろん、父親名義になっている実家(今が空き家)を勝手に売って、全部自分のものにしようとしているという。兄よ、相変わらずヤバイな。

 「とにかく私、兄としゃべりたくないので、黙って聞くしかなかった……」

 これに関しては、たとえ両親が正常な判断をする能力がないとしても、成年後見人をつけるなど、適切な方法を取らない限り、(合法な手段では)財産を勝手に売るということはできないとのアドバイス。

 その上で、今、怒りの感情を抱いているのは兄に向けてだけなのかを確認した。

 「(母親を)殺したいなとは思ってますけど、息子がかわいいので殺しません」

advertisement

 「ああ、やっぱりそれがあるんだね、お母さんに対しては」

 「でも、主人が言うんです。『もうママ(相談者)の方が強いんだから、殺さなくたっていずれ死ぬから。もうあのときのママじゃないんだよ』って」

 「その通りだと思うんだけど、殺したいと思ってるのになんで一生懸命介護してるんですか?」

 「物理的にも、とても施設から近いところに住んでいて『何かあったらお嬢さんに連絡する』という条件で入れた施設なので」

 「とんでもない目に遭っちゃって、心に傷を受けた。で、幸いにして今、それを変えていくだけの環境はあるんだから、じゃあどうしたらいいかってのは私のね、ちょっと専門じゃないから何とも言えないんだけど。日常的な気持ちの小さなことから変えてくしかないのかなと思うんですけどね……。ちょっと今井先生にバトンタッチしようかな」

advertisement

 確かに、弁護士に相談する内容ではないとは思うが、珍しいバトンタッチ宣言が飛び出した。今井通子が引き取る。

 「まず第一、過去は変えられません。だけど未来は変えられるので。そこのところ(復讐?)はきっぱりあきらめてください」「それと、イヤイヤ介護するのやめなさい」「自分を認めなかった親の介護ができる自分を褒めてあげて。それが大切!」

 「はい」

 「ただね、利用されているかもしれないから、そこだけはよくチェックしておいてね」

 坂井も口をはさむ。

advertisement

 「それは僕もその通りで。だから僕なんか、引き受けなきゃ良いのにって思いますよ、弁護士的には」

 「主人も先生とすっかり同じ事言います」

 「立派になる必要なんてないんだから『散々いじめられた人の面倒なんか絶対に看たくない』と言えばいい」と夫もアドバイスしてくれているというが……。

 「今さら言えないんでしょ?」と坂井。

 「怖いです」

advertisement

 今井通子は、「それは怖いんじゃなくて相談者にその気がないからだ」と語る。残念ながら相談者は、心のどこかでまだ両親や兄に認めてほしいと思っているのだ。

 「だったらそれを転換して自分自身の自信とか強さに組み込んじゃいなさいっていう話なの。だけどまだお兄さんたちは何かにつけてアナタを利用しているから、そこだけは目を皿のようにしてチェックして!」

 こんな家族、「縁が切れてラッキー!」としか思えないが、それでも「認めてもらいたい」と思い続けているとは。幼少期に認められなかったトラウマがそれだけ強いのだろう。今の夫がメチャクチャ相談者の気持ちに寄り添ってくれる人のようなので、そこだけは救いだ。

 しかし母親の立場からすると、小さい頃から虐待してきた娘(相談者)に介護され、愛情をかけてきた息子(兄)には実家を勝手に売られようとしているとは因果! 親の愛情を受けて育ったからといって、まともな人間になるとは限らないんだね。

 この両親が亡くなったとしても、その後の遺産相続で兄ともめることになりそうだな……。


前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に【大谷翔平激動の2024年 「お菓子」にも注目集まる】
  2. 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  3. 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  4. 「昔モテた」と言い張るパパ→信じていない娘だったが…… 当時の“驚きの姿”が2900万再生「おおっ!」「マジかよ」【海外】
  5. トイレットペーパーの芯を毛糸でぐるっと埋めていくと…… 冬に大活躍しそうなアイテムが完成「編んでるのかと思いきや」【海外】
  6. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  7. 100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
  8. 「何故バレないと思ったのか」 アニメグッズ購入が“親にバレた人”にツッコミ殺到 ひと目で分かる原因に「そりゃバレますって」
  9. 遊ばなくなった“シルバニアのおうち”を大改造したら…… 娘が喜んだ“すてきなアイデア”に「なんということでしょう」
  10. プロが教える、年末までにしたいお風呂の掃除術 目からウロコのワザに「なるほど」「これは保存だ!」