ニュース

コロナ禍の中で開催の“ドイツのコミケ”に2万8000人が参加 どのように開催されたのか現地で見てきた(2/2 ページ)

開催できた理由を現地で調べてきました。

advertisement
前のページへ |       

感染への不安は? 参加者に聞いてみた

 一般の来場者や各エリアのスタッフ、個人・企業ブースで、感染への不安がないのか聞いて回りました。いろんな話しが聞けるのではと期待したわけですが結果ははずれ。全員が不安はないと答えました。話を聞いた人たちが口をそろえて言っていたのは、会場内の人はマスク着用や密を避けるなど予防対策ルールを守って行動しているということでした。だから、自分も心配していないという理屈です。実際に筆者の見た範囲でも、各自ルールをしっかり守って行動していました。


コスプレのトレンドはアニメ「鬼滅の刃」でした

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」もよく見かけました

ホストクラブ「スイート・スパイス」は同時接客人数を1グループまでに制限

「痛車」とのコラボに特化したグループを立ち上げたヤスミンさん(左)、ルイーザさん(右)は日本の痛車イベントに参加したいそうです

 印象的だったのはマンガ出版社altraverseのヨアキム・カプスさんの言葉でした。カプスさんは、「感染への不安はあるが、それは日常生活でも同じこと。むしろルールが徹底されている会場内のほうが感染への可能性は低いのでは」と指摘しました。コロナ禍がまだ当分続くのであれば、2~3年の間、何もしないか、または「試みる」かのどちらかしかないとドコミの方針を支持しました。

 マンガ出版社にとってはイベント参加によるファン・コミュニティとのコミュニケーションは重要な要素なので出展を決定したそうです。

advertisement

「altraverseのヨアキム・カプスさん。ドイツのマンガ家によるサイン会もパネルを設置し飛沫感染を防いでいました

主催者に聞いてみた

 ドコミの共同代表のひとり、アンドレアス・デーゲンさんに会場で話を聞くことができました。


ドコミの共同代表のひとり、アンドレアス・デーゲンさん

―― ドコミはなぜ開催できたのか?

デーゲンさん 政府が定めるコロナ対策は実施可能だからです。会場の運営会社と緊密に連携してきた他にも、保健当局や警察など行政組織とも定期的に意見交換を行い、準備を進めてきました。

―― 大型イベントは開催禁止なのでは?

デーゲンさん 禁止されているのは不特定多数の人が出入りするイベントです。州政府のルールでは、見本市や会議など参加者が特定できるイベントは開催が許されています。ドコミはこのルールに則って開催しています。

advertisement

 鍵となるのは、追跡可能性を確保できるかどうかです。感染者が発生してしまった場合に備えて感染経路を遮断するために必要な措置です。

(筆者注:ドコミでは入場チケットに所有者の氏名、連絡先が印刷され、実際にどの人物が来場したかを把握できるようにしています。また、ドイツ政府が運用するスマホ向けの接触追跡アプリの利用も推奨しています)

―― 実際に開催してみた感触は?

デーゲンさん うまくいっていると思います。これは来場者の行動モラルによるところも大きいです。私たちは過去にも、例えばコスプレの持ち込み武器についてルールを定め、守ってきました。ファンコミュニティを存続させるためにルールを作り、そして守っていこうという風土があると思います。今回の感染予防対策も似ています。守るルールが増えただけに過ぎません。


フリマエリア「Bring&Buy」への入場待機列の様子

―― 日本のファンやイベント関係者にメッセージはありませんか?

advertisement

デーゲンさん ルールを設け、少しずつテストしていくのが重要だと思います。日本でもイベントが開催されるようになることを願っています(※)。

※編注:日本でも9月19~20日に京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)が開催されるなど、徐々にリアルイベントが開催されるようになってきています。

終わりに


最も混み合っていた商業エリアはピーク時でも肩が触れ合うようなことはありませんでした

 このドコミの開催実現には他のアニメファンイベントだけでなく、イベント業界全体が注目しているようで、商工会議所や業界紙がドコミの開催を報じていました。リアルイベントの今後の先行きにいまだ不透明なところが多い中、ドコミの開催実現は多くのファンに支持され、また他のイベント主催者を後押しすることにもなりそうです。今後に少し期待できるような望みが出てきたのではと筆者は感じました。

(写真協力:Lena Kluth)

著者紹介

Kataho:ドイツ、フランクフルト在住のアニメ・ボカロ好き。日本文化を通じたドイツと日本の交流に興味があり、ドイツ各地の日本イベントに参加(Twitter:@sakaikataho

前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 同情せざるを得ない衝撃の光景に「私でも笑ってしまう」「こんなん見たら仕事できない」
  2. 【今日の計算】「2+7×9−3」を計算せよ
  3. IKEAの新作カーテンが「家中これにしたい」ほどすてき!→どうやって付けているの? 垢抜けインテリア術に視線集中「すっごいかわいい」「色味が最高」
  4. 80代一人暮らし女性の“その都度が大事”なキッチンお掃除術 毎日少しずつ……の習慣に「尊敬しかない」「すごくやる気をもらえます」と称賛の声
  5. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  6. なんでそうなった? のこのしまアイランドパーク園内看板の名称が「俺は間に合わなかったがトイレはあっちだ君」に決定
  7. 「笑い止まんないw」 少女漫画風の顔をメイクで再現したら……? 衝撃の“おもしれー女”が爆誕 「笑うと怖!!」
  8. 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  9. 【今日の難読漢字】「鱸」←何と読む?
  10. 7歳息子「誕生日は家が欲しいっ!」→母がリビングに秘密基地をDIY 目を疑う最高傑作に「これは凄すぎるよ」「めっちゃ中入りたい!」