ドイツのアニメファンイベントでは近年、ドイツ語吹き替え版を担当するドイツ人の声優がゲストとして呼ばれることが増えているようです。毎年秋に開催されるドイツの大型アニメファンイベントConnichi(コンニチ:参考記事)でドイツの声優事情について調べてきました。
ドイツの声優とは?
ドイツの声優ってどんな人なんだろう? まずはトークイベントに勉強しに行ってみました。登場したのは若手声優のパトリツィア・シュトラスブルガーさん(以下パトリツィアさん)とテラン声優のウッラ・ヴァーゲナーさん(以下ウッラさん)、2人ともアニメのドイツ語版で声を当てています。
パトリツィアさんは「セーラームーン・クリスタル」でちびうさを担当する他、「ワンピース」「終わりのセラフ」「ガールズ&パンツァー」に出演しました。声優になるきっかけは、17歳でラジオ番組に出演したこと。その後、ゲームの声優をしていたときにアニメ声優のオファーを受けました。ドラマCDや舞台役者としてのキャリアも5年あります。
ウッラさんは、初代「セーラームーン」でプルートを担当したベテラン声優。「セーラームーン・クリスタル」では悪役の1人、コーアンを担当しました。プロの舞台役者になるための職業訓練を受けたのち、スタジオに所属して活動。現在はフリーで仕事をしています。
直撃インタビュー
まず、日本のアニメを字幕で見ることもあるという2人に、日本の声優についての印象を聞いてみました。
パトリツィアさんは「日本の声優の演技はとても印象的だわ。特に叫ぶときは、本当に叫ぶ」ととても感心していました。一方のウッラさんは、「とても柔らかい声だと思う。ドイツとは求められている演技が違うのではないかしら」と演出の違いを指摘しました。2人とも同業者として日本の声優をとても尊敬しているそうです。
続いて、ドイツの声優事情について聞いてみました。ドイツ語へのアニメの吹き替えは増えているのでしょうか?
ウッラさんによると、増えている印象はあり、配信サービスの普及によるタイトル数の増加だけでなく、技術の進歩のおかげで吹き替え版が作りやすい状況になっているのではとその理由を推測。パトリツィアさんも「ファンが増えているから作品が増えるんじゃないかしら」と同様に増えていると感じています。
ドイツの声優業界の規模について聞いたところ、ウッラさんによると「ミュンヘンだと声優は180人程度いるわ。ベルリンはどうかしらね。男性の声が不足してるわよ」とのこと。実は、ドイツの映像産業はケルンやハンブルクも盛んですが、声優の仕事に関してはミュンヘンとベルリンに集約されているそうです。
業界の将来についても聞いてみたところ、「今はブームじゃないかしら、今後はどうなるかは分からないわ」と冷静に分析するウッラさん。パトリツィアさんも「このまま拡大していくといいわね」と意外と淡泊な答えでした。
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