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かつてない社会現象「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」レビュー 本編の魅力をネタバレなしで紹介(3/4 ページ)

「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」のかつてない社会現象をまとめると共に、本編の魅力をネタバレなしでお届けする。

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 前述した通り、劇中で描かれるのは原作マンガにあった1つのエピソードなのだが、これが2時間という尺を使って描く映画としての“収まり”が良い。主人公チームが悪夢の中にとらわれてしまい、そこからの脱出を図り、そして反撃に転じるという、分かりやすいダイナミズムとカタルシスを備えた構成になっているからだ。

 さらに、ほとんどが列車の中で展開するということが、サスペンス性を押し上げている。古くは「オリエント急行殺人事件」、もしくは「ジョジョの奇妙な冒険 第5部」のエピソード「偉大なる死(ザ・グレイトフル・デッド)」、はたまたゾンビ映画の「新感染 ファイナル・エクスプレス」など、列車を舞台にした作品では、その限定された空間ならではの「逃げ場のない戦い」こそが面白さにつながっていた。それは「無限列車編」も例外ではなかったのだ。

 そして、繰り返し強調してきた、アニメとしてのクオリティーの高さも期待をはるかに上回るものだった。基本2Dのアニメでありながら要所で3D背景を駆使した奥行きのある空間の見せ方、ダイナミックに動き回るカメラワーク、“ここぞ”という時にカッコよく活躍する愛すべきキャラクターたち……後半は、「少年マンガらしいバトルを味わい尽くす」多幸感に満ち満ちていた。今回の敵の声を担当した、平川大輔の怪しくも儚さを感じさせる怪演も、絶賛するしかない。

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劇場版に登場する強敵・魘夢(えんむ)(画像は予告編より

5:PG12指定だけど子どもが見ても大丈夫?

 「鬼滅の刃」は子どもからの人気も絶大であるが、容赦のない残酷描写も多い作品だ。今回の「無限列車編」は、“簡潔な刀剣による殺傷・出血の描写がみられる”という理由でPG12指定(12歳未満は親または保護者の助言・指導があれば鑑賞可能)のレーティングがされている。これに対し、「子どもを連れて行っていいものか」と悩んでいる親御さんもいるのではないだろうか。

 とはいえその残酷描写は、敵となる鬼が容赦なく人を殺し続けているという事実、そしてその鬼に命を懸けて立ち向かう登場人物の覚悟を描く意味においても、作品にとって間違いなく“必要”といえるものだ。

 この「無限列車編」においても確かに身体が刀剣で大きく斬られるシーンはあるが、目を覆いたくなるほどにつらいというほどでもない、というのが個人的な印象だ。結論としては「テレビアニメ版を見て問題ない」と思ったのであれば、親子で安心して見に行っていいだろう。

6:IMAX版も大いにおすすめできる理由

 この「無限列車編」は日本の劇場版アニメとしては珍しくIMAX版も公開されている。そこには社会現象となっている作品を、なるべく多くのハコで回したいという興行的な事情もあるのだろうが、それだけで考えてはいけない。実際にIMAXで鑑賞したところ、本編との相性は抜群という他なかったのだから。

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