ニュース

美しい背景画のコツ“空気遠近法”とは? 「なぜ、遠くの山は青いのか」を知って絵に生かす技術が興味深い

空気を描いて距離感を作ります。

advertisement
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 イラストレーターの吉田誠治(@yoshida_seiji)さんがTwitterに投稿した「空気遠近法の原理」がわかりやすいと人気です。背景画を描くときの参考になりそうです。

 2つの空気遠近法を紹介します。ひとつめはレイリー散乱。遠くの物ほど青く見える現象です。空気中の微粒子などによって起こる現象で、湿度が低い欧米では遠景が青く見えます。

 ふたつめはミー散乱。空気の濃いところほど白く見える現象です。空気中のチリや水蒸気など大きめの粒子によって起こります。湿度が高い日本では遠景が白くかすみます。

advertisement

 2種類の散乱による自然現象を見ていきましょう。レイリー散乱で、夕焼けが赤く見える現象を説明できます。昼は太陽の光が通過する大気の層が薄いので、青い光だけが散乱して青く見えます。一方、朝夕は大気の層が厚いので、散乱しやすい青い光は見る人に到達する前に散乱しきってしまい、見る人の近くでは赤い光だけが散乱します。

 雲が白く見えるのはミー散乱のためです。入道雲のような積乱雲は横からでは白く見えますが、下から見ると黒く見えます。さらに、雲の切れ目から筋のような光が差すチンダル現象も、主にミー散乱が要因となっています。木々の隙間、窓枠などから直線的に光が差して見えるのも同じ現象です。

 写真で確認してみると、遠景ほど青く見えていることがわかります(レイリー散乱)。さらに、空気が濃い(湿度が高く、チリなどが多い)ところは白っぽく見えます(ミー散乱)。

 どちらの散乱でもシルエットはほとんどぼけません。コントラストが下がり見えにくくなっているだけです。写真などで遠景がぼけるのはレンズ側の原理であり、空気遠近法とは別物です。

 距離感を出す手法は、空気遠近法だけではありません。吉田さんは密度を調整する方法も紹介しています。

advertisement

 吉田さんは、多数のゲーム背景の他、コミックマーケット97の紙袋のイラストなどを手がけています。また、美しい情景を描くためのTIPSやメイキングを盛り込んだ画集『吉田誠治作品集&パース徹底テクニック』や、空想の家のイラスト集『ものがたりの家 -吉田誠治 美術設定集-』を潤筆しています。

画像提供:吉田誠治(@yoshida_seiji)さん

高橋ホイコ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. 友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
  4. 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  5. 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  6. 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  7. 毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
  8. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  9. 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  10. 「ありそうでなかった」 無線マウスのレシーバーが“まさかの便利機能”を搭載! 競合会社も「便利やんけこれ」