ガンプラ、海外売上が約5割 人気拡大の理由をBANDAI SPIRITSに聞いてみた
近年海外での人気が高まっていました。
コロナの巣ごもり需要によりフランスでガンプラがブームに――年明け早々、Twitterではそんな景気の良いニュースが話題になりました。これはTBS「あさチャン!」で報じられた、「コロナ禍で巣ごもり需要増 仏パリのガンプラ専門店」が発端。
同特集によると、フランスでは2020年に初のオフィシャルショップが開店したことも手伝い、売上が50%アップ。このブームを一過性のものにしないため、BANDAI SPIRITSが小学校に無料キットを配布するなど普及活動にも力を入れていると紹介し、注目を集めました。
こうしたガンプラの海外展開の盛り上がりはフランスだけでのことなのでしょうか? この機会にBANDAI SPIRITSに聞いてみました。
――巣ごもり需要でガンプラの海外での販売数は伸びていますか?
BANDAI SPIRITS 近年海外では、ステイホームになる以前から、ガンプラをはじめとしたプラモデルを楽しんでくれるお客様が増えております。これはあくまで海外に限ったことではありますが、普段お買い求めいただいているお客様がより多くのプラモデルを作って下さっていたり、ガンプラにおいてもしばらく買っていなかった人が、久しぶりにご購入されるようなことはございます。そういった意味で、プラモデル業界全体において巣ごもり需要も多少見受けられる形です。
――近年海外人気が高まってきていた理由は?
BANDAI SPIRITS まず、海外でも日本のアニメを比較的容易に視聴できる環境になったことがあると思います。今はNetflixでもガンダムシリーズのアニメ配信がございます。また、ガンダム情報の公式ポータルサイト「ガンダムインフォ」が2011年に海外向けに開設され、8カ国語に対応し、無料でアニメが見られるようになっております。
あとは各エリアのローカルイベントへの出展ですとか、催事等での組み立て体験会などの地道な活動を通じて、少しずつファンの方が増えて来た形です。今はファンの方が、SNSやコミュニティーを通じて新しいファンをつくってくれている印象です。昨年(2020年)、米国におきましては、大手量販店であるTARGETでもガンプラがお店に並ぶようになり、ますますお客様の裾野が広がって来ている印象です。
――フランスの小学校でのキット無料配布のようなユニークな取り組みが他にもあれば教えてください。
BANDAI SPIRITS 小学校での組み立て体験会といったものは、フランスに限らず他のエリアでも実施しています。また全世界を通していえることですと、ガンプラの工作、塗装、アイデアを競う世界大会「GUNPLA BUILDERS WORLD CUP(GBWC)」を開催してします。
2020年は新型コロナウイルスの影響で、例年と異なる形でオンライン中心のコンテストにしましたが、2019年には世界16のエリアでローカル大会を実施し、毎年日本で決勝大会を行うなど、ファン同士で楽しめるイベントなどを催したりしています。
――地域ごとに人気の機体に違いはありますか。変わった機体が人気だったりとか……?
BANDAI SPIRITS 意外に思われるかもしれませんが、実は地域ごとに基本的に違いはありません。人々の琴線に触れる作品は、全世界共通だと思います。
ただ、各地域において、該当するガンダムアニメが当時テレビなどで放映されていたかどうかなどが、人気を左右したりします。例えば、欧米においては「新機動戦記ガンダムW」の機体はいまだに人気です。
一点だけ、明確に全世界で人気がある機体が「ガンダムアストレイ・ レッドフレーム」です。このモビルスールの最大の特徴は、腰に刀を差していることです。これはアニメになっていないガンダムなのですが、侍モチーフは地域問わず非常に人気が高いです。
海外人気については、コロナによる特需が起こっているというよりは、近年の着実な販売増が大きいもよう。とはいえ、巣ごもり需要による多少の追い風はある様子でした。
海外の地域ごとの詳細な販売数は非公表ということでしたが、2020年5月時点の海外での販売割合は約5割。2015年度の発表では約3割だったことを踏まえると、やはりかなりの伸びです。配信サービスなどでアニメを手軽に見られる環境が整ってきたことと連動して、ガンプラの売上も伸びてきたというのは納得。
ちなみに海外売上の約8割はアジア地域。またガンプラの年間出荷数は、2006年に722万個だったのが、2016年に1440万個、2020年には約3100万個とやはり伸び続けており、こうした海外での需要拡大にも対応するため、静岡県の「バンダイホビーセンター」では2020年に「新館」もオープン。これにより飛躍的に生産力が向上しました。
ガンダムといえば映画「レディ・プレイヤー1」での活躍が記憶に新しいところですが、2018年には「機動戦士ガンダム」のハリウッド実写化も発表されていますし、北米での人気拡大にも期待したいところ。今後はSNSなどでも、海外モデラー独自の作品がもっと見られるようになるかもしれませんね。
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