伊東駅「五目ちらし寿し」(810円)~3つの「踊り子」号
毎日1品、全国各地の名物駅弁を紹介! きょうは伊東駅「五目ちらし寿し」(810円)です。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】(初出:2020年4月8日)
2020年春、デビューを飾った特急「サフィール踊り子」号。
東京・新宿~伊豆急下田間で、定期列車として毎日2往復が運行されています。
新造されたE261系電車は、全車グリーン車の8両編成。
1号車はプレミアムグリーン車、2.3号車はグリーン個室、5~8号車がグリーン車。
4号車には、麺類などが提供される「カフェテリア」があります。
合わせて、通常の「踊り子」号には、中央線特急「あずさ」「かいじ」からコンバートされたE257系電車が装いも新たに登場しています。
「あずさ」「かいじ」のE257系電車は、2000年代初頭、間合い運用の「湘南ライナー」「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」として、東海道本線にも顔を出していました。
その意味では、久しぶりに東海道本線に“帰ってきた”車両とも言えそうです。
そして、湘南色の153系電車による急行「伊豆」を置き換えた昭和56(1981)年以来、40年近くにわたって活躍しているのが、グリーンストライプの185系電車「踊り子」号。
熱海駅で伊豆急下田発着と修善寺発着を分割・併合する列車は、東京~熱海間を在来線特急最長の15両編成で運行しています。
185系電車とE257系電車と入れ替わる間だけ見られる、「3つの踊り子」号なのでしょう。
全ての「踊り子」号が停車するのが、JR伊東線と伊豆急行線の境界駅・伊東。
伊東は、全国有数の源泉数を誇る「伊東温泉」の玄関口です。
伊東駅弁といえば、「いなり寿し」でおなじみ、昭和21(1946)年創業の「祇園」。
この「祇園」が手掛けるちらし寿し駅弁が、「五目ちらし寿し」(810円)です。
伊東温泉の文字も入った、雅やかでレトロ感あふれる掛け紙も魅力ですね。
【おしながき】
- 酢飯
- 鯛おぼろ
- 玉子焼き
- かまぼこ
- 油揚げ
- 桜えび
- 椎茸
- 人参
- ハスの酢漬け
- 奈良漬け
掛け紙を外し、レトロな経木の折のふたを開けると、彩り鮮やかなちらし寿しが現れました。
面白いのは、レギュラー駅弁の「鯛どんたく」同様、鯛のおぼろが載っていること。
合わせて「桜えび」の存在が静岡らしさを感じさせ、いなり寿しでおなじみの甘いお揚げが刻まれて載っていることで、祇園ならではの「ちらし寿し」を感じさせます。
伝統を守った丁寧な作りで、3桁の価格に抑えた駅弁に、自然と心が洗われるようです。
戦後、80系準急「いでゆ」、153系「伊豆」、157系・183系「あまぎ」、185系「踊り子」、251系「スーパービュー踊り子」と、受け継がれてきた湘南・伊豆方面への優等列車。
E261系電車「サフィール踊り子」と、E257系電車「踊り子」の登場によって、新たな時代を迎え始めています。
自由に移動できる時期が来たら、伊豆の温泉と美味しいものに癒されたいものです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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