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「未来少年コナン」展 ジブリ美術館で開催! 巨大ザメが出迎える最高の空間で作品世界を堪能(1/2 ページ)

“漫画映画”の楽しみをギュッと詰め込んだ展示。

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 三鷹の森ジブリ美術館で5月28日から新企画展示「未来少年コナン」展が開催されます。この記事では、一般公開に先駆け行われた内覧会の様子をいち早くレポート。同作オリジナルスタッフも登壇した座談会の様子もお伝えします。

入り口ではコナンと巨大ザメ「ハナジロ」がお出迎え/(C)NIPPON ANIMATION CO., LTD. (C)Museo d'Arte Ghibli (C)Stucio Ghibli

 「未来少年コナン」は1978年にNHKで放送された、宮崎駿さんの初監督作品。戦争で荒廃した未来を舞台としながらも、コナン少年らが画面いっぱいに駆け回る姿を描いた明るい作風で、初期宮崎作品を代表する傑作です。

 今回の企画展では2つの展示室を使い、シリーズ全26話を追っていきながら、キャラクター設定やイメージボード、本編の名場面映像などを交えて作品を解説。入り口では1話で強烈なインパクトを残した巨大ザメ「ハナジロ」がどどーんと出迎えてくれるほか、コナンとジムシィが乗り込む船「バラクーダ号」や「ロボノイド」の模型など、作中の舞台や乗り物をモチーフとした遊び心いっぱいの展示になっています。

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「バラクーダ号」や「ロボノイド」の模型も/(C)NIPPON ANIMATION CO., LTD. (C)Museo d'Arte Ghibli (C)Stucio Ghibli
思わずいろいろな角度から見たくなる/(C)NIPPON ANIMATION CO., LTD. (C)Museo d'Arte Ghibli (C)Stucio Ghibli
1話の「のこされ島」でコナンがおじいと暮らしていたロケット/(C)NIPPON ANIMATION CO., LTD. (C)Museo d'Arte Ghibli (C)Stucio Ghibli
エピソードごとの名場面と共に振り返っていく趣向/(C)NIPPON ANIMATION CO., LTD. (C)Museo d'Arte Ghibli (C)Stucio Ghibli
模型を見た後ですぐにその詳細な設定が見られる/(C)NIPPON ANIMATION CO., LTD. (C)Museo d'Arte Ghibli (C)Stucio Ghibli

オリジナルスタッフが語る「漫画映画の魅力」

 内覧会が行われた5月27日には、「未来少年コナン」で原画を担当した富沢信雄さん、友永和秀さん、制作進行を務めた竹内孝次さんらを招いての座談会も実施。三鷹の森ジブリ美術館 館長の安西香月さんを交えて、作品や展示に絡めたトークが繰り広げられました。

写真左から三鷹の森ジブリ美術館 館長の安西香月さん、アニメーターの友永和秀さん、アニメーション監督の富沢信雄さん、元テレコム・アニメーションフィルム代表取締役の竹内孝次さん/(C)Museo D'Arte Ghibli (C)Studio Ghibli

 ジブリに入社して以来、子どものころから大好きだった「未来少年コナン」の展示をいつか絶対に実現させる野心があったという安西館長。今回の企画展開催にあたっては、宮崎監督が常々「一番やりたい」「路線としてはこれが一番」と語っているという“漫画映画”を切り口に据えたと語りました。

いつか絶対に「未来少年コナン」の展示をやる野心があったと語る安西館長/(C)Museo D'Arte Ghibli (C)Studio Ghibli

 座談会ではこの“漫画映画”をキーワードに、「未来少年コナン」が各人のキャリアにとって、ひいては「コナン」という作品が日本の文化史上どのように位置付けられるかといった方向にお話が加熱していくことに。

 制作当時、作画スタジオのオープロダクションに所属していたという友永さんは、それ以前はロボットものばかりに参加していたことから、「真っとうなアニメーション」に参加したい思いで「未来少年コナン」の現場の門を叩いたと述懐。「とにかく血湧き肉躍る漫画映画」「今のアニメーションにはないようなエネルギッシュなキャラクターの動きであるとか、荒唐無稽なアイデアだけどリアルな空間、説得力のある画面作りに感激しました。その分難しかったです(笑)」と、制作時の思い出を振り返りました。

厳しくも楽しい現場だったと振り返る友永さん/(C)Museo D'Arte Ghibli (C)Studio Ghibli

 外部のスタジオから参加した友永さんに対し、富沢さんは「未来少年コナン」を制作した日本アニメーションの社内班に所属。「あらいぐまラスカル」に参加する傍ら、宮崎さんが新作を作るらしいと聞きつけ気になっていたところに、シンエイ動画から大塚康生さん(「未来少年コナン」ではキャラクターデザイン・作画監督を担当)が出向してきたことで、その仕事内容を脇でチラチラ見ながら、作品への参加意欲が高まっていったのだそうです。

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 ところがプロデューサーからは、次回作として“名作路線”の別作品への参加を求められてしまったという富沢さん。「『コナン』やれなきゃやめる」とごねた結果、晴れて「未来少年コナン」の現場に合流できたというやんちゃなエピソードも飛び出しました。

「ごねてよかったです(笑)。未来少年コナンっていう作品、自分の中で一番仕事を覚える時期にぶち当たった作品で。あらゆることを勉強させてもらった、この作品がなければ今の自分がないなという作品です」(富沢)

プロデューサーにめちゃくちゃごねたけど、参加できて良かったと笑う富沢さん/(C)Museo D'Arte Ghibli (C)Studio Ghibli

 また、友永さんがリアル志向なSF作品への参加が多かった件から派生する形で、竹内さんは1970年代が「あしたのジョー」「アルプスの少女ハイジ」「宇宙戦艦ヤマト」と、「リアルな作品がどーんっと出てきた」時代であったと指摘。

「未来少年コナン」が漫画映画として新しい挑戦をしていたと指摘する竹内さん/(C)Museo D'Arte Ghibli (C)Studio Ghibli

 子どもだましという意味での“漫画映画”から脱却するために、SFや名作路線の作品が増えていく中で、「『未来少年コナン』は時代の流れに逆行するかもしれない漫画映画」として位置付けられるのではないかと投げかけました。

「リアルに見せるために、キャラクターを劇画的に描き込むんじゃなくて、“世界”をリアルに作っていく。(そうしたアプローチの作品群として)“名作路線”というのが既にあった。『未来少年コナン』は名作路線とは違って、めちゃくちゃなアホなキャラクターがリアルに活躍する世界を見せようとしていて、ここが宮崎さんが漫画映画に持ち込んだ新しいこと」(竹内)

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 また、友永さんからは制作当初に作られたキャラクター表が仮のもので、作画監督の修正集がまとまった段階で、そちらをキャラクター表として使用していたという裏話も。最後に展示の注目してほしいところを聞かれると、富沢さんからも「本編とは違う表情のキャラ表に注目してほしい」と、アニメーター視点での見どころの紹介がありました。

「キャラ表をまず見ていただいて、最初のコナンがどんな顔だったか見ると、全然違って楽しいかと」「もし本編を見ていらっしゃらない方がいたらぜひ見ていただきたいです。ジブリの人間じゃないんで言えるんですけど、今のジブリになくなってしまったものがいっぱい入ってます(笑)」(富沢)

友永さんからは「コナンが力んだときは、寄ると宮崎さんの顔」という意見も。確かに……?/(C)Museo D'Arte Ghibli (C)Studio Ghibli

 展示を堪能した後で、思わずすぐに本編を見返したくなる「『未来少年コナン』展 ー漫画映画の魅力にせまる!ー」は、2023年5月までの開催を予定。

 三鷹の森ジブリ美術館は日時指定の予約制で、チケットはローチケにてWeb販売中。毎月10日に翌月入場分が販売開始となります。同美術館ではコロナ禍により長らく営業を縮小していましたが、この5月からはいよいよ本格稼働となります。

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