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新旧「ひだ」乗り比べ! 魅惑のレア列車「大阪ひだ」に乗って分かった昭和ディーゼルカーの魅力月刊乗り鉄話題(2022年7月版 後編)(4/5 ページ)

キハ85系、いつまで残るのかな? 「新穂高ロープウェイ」もひぇぇ……! なのでおすすめです。

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キハ85系の魅力も再確認、やっぱり今のうちに乗っておかなくちゃいけない列車だった

 大阪ひだに乗りたい3つ目の理由は「前面展望車」です。キハ85系の先頭車は、連結対応用タイプと展望タイプがあります。展望タイプは普通車とグリーン車の2種類があり、大阪ひだの大阪向き車両は普通車、しかも自由席です。つまり「運転席かぶりつきの特等席」であっても指定席争奪戦がなく、早く並べば乗れる可能性が高いわけです。


前面展望車がある大阪ひだ。最前列は先客アリ。でもワタシは2列目が好き。横の窓の景色も見られるから

大阪ひだの前面展望。身体をちょっと通路側に寄せるて見るとこんな感じ。よい景色でしょ

 新たに導入された新型車両「HC85系」に展望車の設定はありません。今のところ製造する予定もないそうです。これは恐らく、複数の編成を共通で使うためです。展望車があると、常に「向き」と「先頭位置」が決まってしまいます。使い回しがやりにくい。そこで新型は展望車なしで統一したいのでしょう。

 そうなると、大阪ひだは残るとしても「大阪向きの展望車」は新型車との入れ替えでなくなります。

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東海道本線に入った大阪ひだの車窓。複線区間をビュンビュン走る

新垂井線の分岐点に差し掛かる

下り線と上り線の間に入り、上り線を潜る

かつてあった「新垂井駅」跡付近

 キハ85系は窓が大きい。座席間隔も広い。これはHC85系にも引き継がれました。

 キハ85系は誕生から34年が経過した車両です(2022年現在)。34年前に現在と遜色のない設備を持っていたとはすごい。そしてエンジン音も静かです。新しいHC85系は静粛性が改善されました。しかし、もともとキハ85系も当時としては静かだったと思います。でも、高山本線の単線区間は揺れが気になりました。ここは新しいHC85系で大きく改善されたところです(関連記事)


キハ85系は窓の大きさと座席間隔の広さが特徴。新しいHC85系にも受け継がれた。座席の位置が高く、窓の下辺と肘掛けが同じくらいの高さであることにも注目

 旧式のキハ85系の方がいいところもあります。展望へのこだわりです。キハ85系は大きな窓と「ハイデッカー座席」が特徴です。座席の床面が通路より少し高くなっています。見晴らしが良く、視点が高い分窓下の死角も少なくなる。沿線の渓流もとてもよく見えます。


キハ85系はハイデッカー座席。座席の床が通路より高い

 新しいHC85系は座席と通路の段差がなくなりました。これはバリアフリー仕様だからです。車いすやベビーカー、つえなどを使う利用者にとっても乗りやすい車両になりました。

 通称:大阪ひだ、高山~大阪間の「ひだ36号」で、展望車、ハイデッカー座席など、HC85系にない34年前に誕生したキハ85系の良さも再発見。やっぱり、今のうちに乗っておかなくちゃいけない列車です。

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先頭車の連結部分。片方が展望車になると残念……

 この季節の大阪ひだは、京都を発車するころに日没となります。夜景を眺めつつ、19時50分に大阪駅着。東海道新幹線東京行き最終は21時24分。関東方面の人もじゅうぶん帰りの新幹線に間に合います。

 飛騨路フリーきっぷを使った特急「ひだ」新旧車両乗り比べ旅。深緑の夏にオススメです。


高山の駅弁「飛騨牛しぐれ寿司」。ごはんがすし飯でおいしい!

大阪付近の車窓は複々線でにぎやか

大阪ひだ、大阪駅に到着! ※「飛騨路フリーきっぷ」はこれまでお盆期間に使えませんでしたが、2022年は特別。2022年はHC85系デビュー記念で「お盆期間も利用」できます

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。ITmedia ビジネスオンラインで「週刊鉄道経済」連載。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。日本鉄道全路線の完乗率は100%(2021年4月時点)

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