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オフラインとオンラインの同時開催で活気を取り戻した「東京ゲームショウ2022」レポート 岡山市から専門学校まで、現地ならではの雑多な魅力が戻ってきた!東京ゲームショウ2022(3/3 ページ)

コロナ禍によるダメージと爪あとは残りつつも、少しずつ戻りはじめたあるべきTGS。

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専門学校生や大学生が作った原石のようなゲームに、未来のクリエイターの片りんを見る

 TGS会場に入ったら、自分がなるべく遊びたいブースがあります。それが専門学校と日本ゲーム大賞のアマチュア部門。大手のタイトルもインディーゲームも発売日が来れば遊べるのですが、専門学校のゲームは生徒でない限り、ここでしかできないものばかりだから。

 そして何より、専門学校生のゲームには時々ものすごい当たりが混じるんですよ。若い粗さがあるものも魅力的なのですが、若さを飛び越えた輝きを感じる、将来性のある作品も遊べる。そうした物を求めて、いつもとは違う刺激が欲しい人にはオススメのブースです。

 ただ、昨年は展示されているブース自体が少なくて全て回りきれたのですが、2022年は参加している学校も多く、全部の学校を回りきることは不可能でした。とはいえ、2022年も意外な出会いに満ちた楽しい体験をさせていただいて感謝の気持ちでいっぱいです。

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 例えば、ECCコンピュータ専門学校で次々に流れてくるツボや皿を鑑定するゲームをしたり、Wiz 国際情報工科自動車大学校で福岡ゲームコンテスト「GFF AWARD 2022」のゲームソフト部門大賞を受賞した「オシダスシューティング」を遊んだりと、ここでしか遊べないゲームをたっぷり満喫してきました。

ECCコンピュータ専門学校の「どきどき鑑定バラエティ 鑑定士の登竜門」。単純なようで難しく、意外とハマります。手触りや鑑定文との違いを見極める感じが、確かに鑑定士っぽい
Wiz 国際情報工科自動車大学校の4人対戦ゲーム「オシダスシューティング」。スタッフの人と一緒に遊んだのですが、手加減一切なしのガチ勝負で普通に負けました。ゲーム好きとして手を抜かないところに共感しちゃうところも

 日本ゲーム大賞のアマチュア部門受賞作品という、日本工学院「DRACKNOCKFIGHT(ドラッグノックファイト)」も気になったのでプレイ。オモリを回転させてブロックをバリゴリバリゴリと破壊していくのが楽しく、スーパークラッシュと遠心力で一気に壊すとなかなかの爽快感です。画面だけ見ると地味なので、タイトル画面やリザルトにキャラクターを用意したのだと思いますが、ゲーム自体のルールがよくできていたので、なるほどこれはアマチュア部門で評価されるわけだと納得ですね。

タイトルとリザルト画面にしか出てこない女の子がカワイイ「DRACKNOCKFIGHT」。ゲーム部分は、シンプルな遊びと破壊の気持ちよさが両立した良作でした

 新潟コンピュータ専門学校では「トゥワイスルー」というゲームをプレイ。大ジャンプできて炎に強い赤いキャラと、ダッシュできて水に強い青いキャラ。2人のキャラを交互に……ではなく、順番にクリアしてステージをクリアするというルールが斬新でした。例えば、赤で青用の足場などを用意してからクリアしないと、青の順になったときにクリアできないといったパズル的な要素の強いゲームです。

新潟コンピュータ専門学校の「トゥワイスルー」。展示バージョンが全19ステージとのことで結構長く、後半のギミックは手ごわいものも
体験した人にお米をプレゼントしているあたりが、新潟の学校ならではですね。歩いている途中で「あそこで、コメを配っているぞ」という配給みたいな話が聞こえてきて、気になって来てしまいました

 個人的に光るものを感じたのが、日本電子専門学校「Corner of the future」。1年生が作ったとのことでゲームとしては粗削りなのですが、その代わりアイデアが秀逸。3D空間で2Dのキャラを動かすゲームなのですが、右スティックで角度を変えて平面にすることで柵の隙間を通り抜ける、といった遊びの面白さが感じられるものになっていました。

 こういうゲームに会えるから専門学校ブース巡りはやめられないんですよ。位置と画面の暗さからライトが反射してしまい、写真をうまく撮影できなかったのが悔しい! そして、もっともっと専門学校のゲームを遊びたかった。あと1日、あと1日ください!

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インディーゲームコーナーもより取り見取り。何日居ても飽きないコーナーです!

 最後は、インディーゲームコーナーを紹介。自分が遊んできたタイトルのなかから、個人的に印象に残ったものを一気に紹介してお別れしましょう。

 2019年のピーク時ほどとは言わないまでも、こちらのコーナーにも人が多くてインディーの浸透を感じましたね。もちろん、展示されているのも良いゲームばかりでした。う~ん、やっぱり4日間では遊びきれない!

アンドロイドをカウンセリングするという設定に引かれて遊んだ青エビ研究所の「バイナリシンドローム」。TGSの特別体験版が展示されていました。設定の独特さと、かわいらしいグラフィックのコマンド式アドベンチャーとして注目の1作
SquidShock studiodsの「Bo: Path of the Teal Lotus」。手描きのグラフィックが美しく、敵やちょうちんを攻撃して空中に飛ぶアクションがウリです。デモ版では、慣れるとポンポン空中に飛び上がっていけるようにちょうちんが配置されていました
漫画家・萩原一至が原案ということで話題を呼んだサウザンドゲームズの「QUESTER」。80年代のPCゲームのようにコアなダンジョン探索RPGを意識して制作されています。リソース管理も難しそうで、いかにもな当時の味がしっかり出ていました
FlyteCatEmotionの「MILLION SHELLS」。2015年のプロトタイプ版から、PS Vita用タイトルとして制作されていたタッチ操作&タワーディフェンスのシューティングです。もはや執念と呼べる1作だったので、Switch版が展示されていてホッとしました
架け橋ゲームズのブースで遊べた「Wildfrost」。いわゆる「Slay the Spire」のフォロワーかと思いきや、隊列やカードごとの待機時間を頭に入れた駆け引きが独特。素早さ順に行動するRPGのバトルみたいで、なかなか楽しめました
個人制作者・求道庵の新作「鬼ヶ谷いんくらいん」。鬼をかついでインクライン(傾斜鉄道)まで運び、方陣で封印する基本の流れが体験できました。武器を奪われても妙にポジティブな主人公と、かつがれる鬼たちがどことなくユーモラス
Undercurrent Gamesの「スラムハック」。画面上部を流れる電流に合わせて矢印ブロックを置き、トラップを抜けていく独特なルールとディストピアな世界観が特徴。多分、実際に触れないと分からない感覚ですが、難しくも楽しかったです
room6のヨカゼブースで「OU」を体験。「セパスチャンネル」を手掛けた幸田御魚氏の新作で、絵の雰囲気がバツグンに良い。ここにいるキャラも自分で動かせるんですよ。アニメーションも細かく、先が気になる作りでした。絵画のように美しい作品
Curiousparkの「Jack & Detectives」は、会話なしでできる同名のアナログ人狼ゲームのSteam版。人狼が苦手な人でも、配置されたキャラクターの動きから推理できる楽しさがありました。リリース後はオンラインで対戦できるそうです
Random Potionの「Ignis Universia: Awakening of the Erudite Empress」はギャグだらけのJRPG(海外が作った日本風RPG)。お約束に突っ込むギャグを見て、フィンランドにもオタクがいると実感。なぜか奇妙な親近感を抱くゲームです

 まだまだたくさん遊んできましたし、ほかにも紹介したいものばかり。とはいえ、そろそろ長くなりすぎるのでここまでにしておきます!

 3日かけて回ってきた自分の感想としては、大手からインディーゲームのブースまで、2022年も見どころが盛りだくさんでした。そう、これこそがいつものTGS。例年ほどではありませんが、人の波が復活していて、日常が少しずつ戻ってきたのを感じられます。

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 たくさん人がいて大変だけど、でもこうやってワイワイとゲームに触れられる空気こそが何よりも大切なんですよ。「ゲームが好き」というただ1点で、性別も人種も思想も越えた人々が、会場内で新しいゲームに触れる。このイベントは、絶対になくしてはいけないものだとあらためて思いました。来年もきっとまた開催されると思うので、今年行けなかった人は、ぜひ来年のTGSに参加してみてください!

【9月19日10時追記】Wiz 国際情報工科自動車大学校とCuriouspark、Random Potionのブース画像を追加しました

【9月19日11時30分追記】「鬼ヶ谷いんくらいん」の画像が別のゲームになっていたのを修正いたしました。大変失礼いたしました

 

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