なぜ断髪で? 仏大物女優たちが髪をバッサリ イランで“ヒジャブの巻き方”を理由に逮捕された女性の死へ抗議
「髪を数本見せただけで死んでしまった」
仏俳優のジュリエット・ビノシュやマリオン・コティヤールらが10月5日(現地時間)、自身のInstagramで自ら髪を切る動画を投稿しました。これはイランで9月13日に風紀警察によって逮捕され、16日に死亡した22歳の女性マフサ・アミニの事件を受け、抗議したものです。
投稿された動画は、まずジュリエットが「自由のために」と口にしつつ髪を真上に束ねバッサリとはさみを入れ、「マフサ・アミニは22歳の若い女性だった」とテロップが入るところから始まります。
その次に登場したマリオンも真剣な表情で髪をカットし、テロップは「9月13日、彼女は風紀警察に逮捕され、虐待されて死にました」と続きます。さらに次々と登場し髪を切るこの抗議活動に、イザベル・アジャーニ、ジェーン・バーキン、シャルロット・ゲンズブールら多くの著名人が参加しています。
動画とともに続くテロップでは「彼女はヒジャブ(頭や身体を覆う布)のかぶり方が不適切だというだけで非難されました。髪を数本見せただけで死んでしまったのです。彼女の死は世界を憤慨させ、心を動かしたのです。9月16日のマフサ・アミニの死以来、女性を中心としたイラン国民たちは命がけの抗議活動を行っています」と語られていきます。
マリオンのアカウントではこのテロップに続く言葉もつづられており、そこにはイランで抗議活動をしている人々は「自由への入り口を望んでいるだけ」であり、「私たちのサポートを必要としている」と述べられています。さらにこの弾圧による死者はすでに「子どもを含む数十人に及んでいる」と訴え、現地での抗議活動は違法に逮捕されて拷問を受ける人の数を増やすことになるため、「自分の髪をひと束切り落とすことにした」とこのような形で抗議することを決めたいきさつを明かします。
そしてコメントは「なぜなら彼らの戦いは私たちのものだからです。より公正で自由な世界のため、私たちがやらなければならないことなのです」と、イランで起こっていることは決して人ごとではないとする主張で締めくくられました。
この抗議動画に、コメント欄では「私たちの代弁をしてくれてありがとう」「イラン人女性をサポートしてくれて感謝します。イラン人は決して忘れないでしょう」など、イラン人女性と思われるユーザーからの感謝を示すコメントや、「私もやったよ」とこの抗議活動に共感し自分も髪を切ったというコメントが寄せられました。
一方、「しかし3センチ髪を切ったからといって何かの助けになるのか疑問」といった声も散見されました。「髪を切る」ことの効果は不可解にも思えますが、女性が髪を見せることが許されないイランでは、公に髪を切ることが抗議活動だと見なされるとのこと。
イランの警察はマフサ・アミニの死を「心臓発作」と発表しましたが、彼女が殴られるところを見たという目撃者や、頭部外傷が死因であると述べる匿名の医療関係者も現れ、イラン国内でのデモや抗議活動はますます激しくなっています。
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