米アラバマ州で5月15日(現地時間)、人工中絶をほぼ全面的に禁止する法案「人命保護法」が成立し、多くの海外セレブが声を上げています。
この法案は母体の生命に危険がおよぶ場合などを除き、性的暴行による妊娠も含めほぼ全ての中絶を禁止するもので、中絶手術を行った医師は最大で99年の禁錮刑が科せられる大変厳しいものとなっています。
バルバドス出身の歌手リアーナは、賛成に投票した25人の顔写真の一覧画像を投稿。「見て、アメリカの女性のために決断をしたばかどもだよ。ケイ・アイヴィー知事……恥を知りなさい!!」と法案に署名した知事を含めて批判しました。
また、映画「ゴーンガール」などで知られる英女優でモデルのエミリー・ラタコウスキーは、胸を腕で、股間を花びらで隠した大胆な姿をシリアスなコメントとともに投稿。過去に何度もセクシーであることとフェミニストであることの両立を体現してきた彼女らしい抗議といえます。
今週、25人の年老いた白人男性が、アラバマ州では近親相姦やレイプによるものであっても中絶を禁止する法に投票しました。これらの権力ある男性は、経済的な機会が乏しい女性の、産まないことを選択する権利を妨げることで、家父長制を維持し産業的な監獄を永続させるため、彼らの意思を女性の身体に課しています。
中絶を禁止しようとしている州は、黒人女性が住んでいる割合が高い州です。これは階級と人種に関するもので、米国における女性の基本的人権への直接攻撃であり、ロー対ウェイド事件(※憲法で女性には堕胎の権利が保障されているとした1973年のアメリカ合衆国最高裁判所判決)によって守られています。私たちの身体は私たちの選択によるもの(エミリー・ラタコウスキー)
米歌手のレディー・ガガはTwitterで、「アラバマの中絶禁止法は暴挙。レイプや近親相姦や同意のないものを考慮しないなんて極悪。手術を行った医師はレイプ犯よりも重い刑を科せられる? ばかげてる。この制度によって苦しむことになる女性と少女のために祈ります」と強い怒りを示しています。
英モデルのカーラ・デルヴィーニュは「男性は女性の体についての法律を作るべきではない」の文字が並んだ画像を投稿し、「説明はいらないね」とコメント。さらに英俳優オーランド・ブルームのシェアした画像は「なぜ女性は中絶が必要なのか?」という円グラフ。内訳は「他人の知ったことではない60%、他人の知ったことではない22%、他人の知ったことではない8%、他人の知ったことではない10%」となっています。
アラバマ州での法案成立に先立ち、ミシシッピ州やジョージア州でも中絶禁止法が成立する中、米女優のミラ・ジョヴォヴィッチはジョージア州での同法案可決について言及。「政治的な発言をしたくないけど本当にそうしなければいけないときにはそうする」と前置きし、自身が2年前に東欧での撮影中に、妊娠4カ月半で緊急中絶手術を受けた辛い経験を告白していました。
「このことは話したくなかった」というミラは、早期分娩となり意識を保たなければならなかったという中絶手術について「最も恐ろしい体験の1つだった。今でも悪夢を見る」とつづり、「これを経験したい女性はいない。しかし必要なときには、安全に中絶する権利を守るために闘わなくていけない」と勇気ある決断をした理由を明かしました。
さらにフェミニストとしても知られる英女優のエマ・ワトソンもジョージア州の中絶禁止法について自らの考えをSNSに投稿。ジョージア州では、胎児の心拍が確認できるようになる妊娠6週目以降の中絶を禁止する「心拍法」が可決されていますが、その名称が「感情に訴えるように意図して名付けられている」とした上で、同法が手術を行った医師だけではなく中絶手術を受けた人、流産した人も罪に問うことを説明。そして2012年にアイルランドの同じ法律によって亡くなったサヴィータ・ハラパナバルの件を想起させると続けます。
エマは、現在も北アイルランドから中絶手術を受けるためイギリス本土までやってくる女性は後を絶たず、「このような法律で、女性や妊婦が自らの身体や家族にとって最良の選択をするために中絶手術をやめることはありません。ただ安全でない方法での中絶手術を恥辱とともに強要されることになるだけです」と法律の問題点をつづっています。
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