えっ、マルーンちゃうやん! 「白い」阪急電車もあった!? 100年以上続く阪急電車の「マルーンカラー」、本気すぎるこだわりとその裏側(2/5 ページ)
大好き「マルーンの疾風(かぜ)」! 阪急ヘビーユーザーの筆者が、阪急電車の“隠れ”魅力を愛でていきます。
乗り心地もいい阪急電車、シートにも「愛」がたくさん
阪急電車と言えばもう1つ、高級感あふれる「ゴールデンオリーブ色のシート」も魅力です。グループ会社・アルナ車両でシートの張り替え作業も見学しました。
ここでは、生地の裁断から縫製まで自社で手掛けているそうです。座面がシワにならないように小さめに生地を仕上げて、伸ばしながらビシッときれいに張ります。縫製担当の方は、阪急電車に乗るとつい「座席の生地の減り具合」を確かめてしまうのだとか。いつもありがとうございます(笑)。
使用する生地はモケット。滑らかな座り心地と長時間座っても蒸れにくい特性があるアンゴラ山羊の毛を用いています。
シートは1両あたり、座面部分(ザブトンと呼ばれる)が12個、背もたれが12個あります。ザブトンはバネ、ウレタン、スポンジ、生地の多層構造で構成されています。
実は、シートにもたくさん「愛」があります。生地を張る「吊りマウント」作業を体験させてもらいました。
生地は、一方の手で生地をグッと伸ばしながら、他方の手で上部がハート型になっている金具・吊りマウントを打ち込んで固定します。これがすごく難しい……。熟練者で1シート30分以内、きちんと張れるようになるまで3年はかかるといいます。
こうして張り終えたシートの裏にはかわいらしい「ハート」がズラーリ。1シートあたり100個ほど。阪急電車にはシートの裏にもたくさんの愛が隠されているのです。……見えないのが残念です。
阪急電車のシートは、ウレタンの「角」部分の成形にもひと工夫を込めています。座ってより柔らかい感触にするために、角は単に「折り曲げる」だけでなく、別パーツを組み合わせて角部を成形しています。この別パーツはちょっと固め。はじめはちょっと固め、使われるうちに馴染むよう計算されているそうです。
見えないところ、普段あまり気にしなかったところにも工夫と愛がたっぷり。今度からもっと大事に座るよ……!
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