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黙食しか知らない子どもたちに「デリシャスパーティプリキュア」の果たした役割は大きいのではないか、というお話サラリーマン、プリキュアを語る(2/2 ページ)

デパプリも終盤を迎えました。ゆいちゃんと拓海君の今後が気になります!

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「黙食」が当たり前の子どもたち

 コロナ禍以降、小さな子どもたちはずっと「黙食」を強いられてきました。

 もちろんコロナ感染を抑えるために必要な措置ではあったのですが、この間に入園入学した子どもたちは、友達とごはんを食べるときには黙って粛々とごはんを食べる「黙食」しか知らない世代なのです。みんなでごはんを食べるときは静かに食べるのが当たり前となっているのです。

 そんな中「デパプリ」では、みんなでごはんを楽しく食べるシーンが数多く描かれました。主人公の和実ゆいちゃんを中心に、芙羽ここねちゃん、華満らんちゃん、男子である拓海君、頼れる大人のマリちゃんやお母さん、お父さんなど性別、世代を越えみんなで楽しく料理を作り、食卓を囲みました。そこで描かれたのが「笑顔のシェア」です。

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 黙食しか知らない子どもたちに「みんなでごはんを食べるのは楽しいこと」であることを伝えていたのです。


「ごはんは笑顔」を伝えた「デリシャスパーティプリキュア」

「食」を取り巻く環境を丁寧に描いた「デパプリ」

 コロナ禍への対応は日々変化し、2022年11月29日に文部科学省は、給食のときの過ごし方などについての通知を全国の教育委員会などに出し、文部科学省のマニュアルでも必ずしも「黙食」を求めていないことを伝えました。これに伴い、全国の幼稚園、小学校では「黙食」は廃止の方向で進んでいくようです。

 そんな中「黙食前の世界」を知らない小さな子どもたちに「みんなでごはんを食べるのは笑顔になれること」をずっと示してくれた「デパプリ」が果たしてくれた役割は大きかったのではないでしょうか。

 また「デパプリ」では、みんなで楽しく食べることだけではなく、一人で食べることや外食の楽しさも描かれました。


第39話では「無理して手作りせず、外食で済ますことも必要」といったテーマも扱われました

 さらに、ごはんを作ることの楽しさ、忙しいときは手作りにこだわらず外食で済ますことだって「ごはんは笑顔」につながっていくことなども描かれました。

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 デパプリが「ごはんは笑顔」を掲げ、「食」を取り巻く環境を丁寧に描いたことは、コロナ禍を生きる小さな子どもたちにとってとても有意義なことだったと思うのです。

うちの子がピーマンを食べてくれた

 「デパプリ」のピーマン回(第26話「ここねのやくそく!ピーマン大王への挑戦」)を見て、「うちの子がピーマンを食べてくれた」という手紙がプロデューサーの元に届いているようです。

安見 ピーマンの回を観て「うちの子がピーマンを食べてくれました」というお手紙をいただいたりもしました。本当に冥利に尽きる思いです。応援してくださる皆さまからあたたかい気持ちをたくさん分けていただきました。
引用:徳間書店『アニメージュ』2023年01月号(P75)

 SNSを見渡せば「小食だった娘がオムライスを食べたいと言ってくれた」「いただきます、ごちそうさまでしたをきちんと言うようになった」「食に興味の無かった息子が、おにぎりが食べたいと言い出したのであわててご飯を炊いた」など、子どもの食に関する保護者からの感謝の言葉が数多く発せられています。

 主人公の和実ゆいちゃんがモリモリごはんを食べているだけでも、子どもたちには大きな励ましとなっているのですよね(彼女、とにかくよく食べるのですよ)。


第26話の「ピーマン回」はコメコメとここねが苦手なピーマンを克服する話でした

世代、性別を超え「ごはんは笑顔」を伝えたデパプリ

 「デパプリ」では主人公・和実ゆいのおばあちゃんの描写を通して「世代をつないでいくこと」も象徴的に描かれました。

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 世代間での交流が希薄になりつつある現代において「ごはん」を通して、前の世代から受け取ったことを尊重しつつ、自分の経験を踏まえた上で次の世代につないでいくことの大切さも伝えたのです。

 キュアプレシャス「おばあちゃんの言葉も大切。でも今度は、バトンを受けとったあたし自身が生きて感じた言葉を届けなきゃいけないんだ!」(第39話「お料理なんてしなくていい!?おいしい笑顔の作り方」より)


デパプリでは「世代をつないでいくこと」も描かれました

 また同シリーズは、ブラックペッパーに代表される「男の子」やマリちゃんといった「大人」たちも重要なポジションを示すシリーズでもありました。

 さらに料理をするシーンの前には必ず手を洗う描写が入ることや、料理をおいしく見せるために食事シーン専用の作画監督さんを起用している(一迅社『PurizmVol.10』P8より)ことなど、料理に関する細かい配慮も作中では数多く見られました。


世代、性別を超えた「ごはんは笑顔」が描かれました

 新型コロナが子どもの食文化をも大きく変えてしまった中、世代、性別を超えてみんなが食べる「ごはん」を通して「ありがとう」を伝えることの大切さを描いた「デリシャスパーティプリキュア」。

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 不正アクセスにより5話分少なくなったため、描き切れなかったストーリー展開もあったそうで一部の大人たちからはストーリー上の不満の声も出ているようですが、そんなこと子どもたちの笑顔の前では全く関係ありません。

 コロナ禍への対応が緩やかに変化していった2022年に「ごはんは笑顔」をモチーフとした「デリシャスパーティプリキュア」が放送されたことは、小さな子どもたちにとって、本当に意味のあることだったと思うのです。

 現在放送中の「デリシャスパーティプリキュア」は、プリキュアシリーズでは初のAmazon Prime Video、NETFLIX、dアニメストアほか各種見放題配信サービスでも見逃し配信中です。

「デリシャスパーティプリキュア」
毎週日曜8時30分より
ABC・テレビ朝日系列にて放送中
(C)ABC-A・東映アニメーション

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