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なぜ灰原哀ファンは「黒鉄の魚影」で熱狂しているのか? コナンファン達による深夜の緊急対談赤いシャムネコ・将来の終わりが語る(1/3 ページ)

ネタバレなしで語る「黒鉄の魚影」。

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 3日間のオープニング興行収入が31億円を突破し、シリーズ最高の記録的スタートを切った劇場版コナン最新作「黒鉄の魚影(サブマリン)」。その公開当日、深夜のねとらぼ編集部に1本の電話が入った――「とても月曜まで待てないから秒速で感想を語らせてほしい」。

 そんなわけで、一刻も早く本作について語り合いたい『名探偵コナン』ファン2人による、深夜の濃密トークを緊急収録。例年は対談を1本の記事にまとめていたが、「ネタバレ無しで本作の魅力を語り尽くすのは不可能」との声を受けて、“ネタバレなし編”と、ネタバレありの“徹底考察編”の前後編記事でたっぷりとお届けする。

 今回の“ネタバレなし編”では、これまでの原作や劇場版での物語を踏まえつつ、本作において灰原哀がどのように描かれたか、そして原作初心者の「いきなり見て大丈夫?」「いま原作はどうなっているの?」といった疑問にも答えた内容になっている。

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原作好きも初見も大満足! シリーズ26作目にして傑作

赤いシャムネコ(以下、シャム) 僕は灰原哀ファンなので、彼女がメインの映画が来る日を「天国へのカウントダウン」以来22年間待ち続けてきたわけですよ。だから見終えたとき、「今見たのは夢かな……?」という気持ちになりました。傑作です。

将来の終わり(以下、終わり) まずは「ここまで原作の中枢に踏み込んでいいのか」と思いました。というのも、劇場版コナンには原作やTVシリーズには普段触れていないけど、映画だけは見に行くというファン層が少なからずいるわけですね。そういうシリーズで原作と緻密に絡んだポイントが多い内容をやると、そういう層が置いてけぼりになってしまう可能性があるのでは……と不安だったんですが、そこをクリアしつつここまでやるのかというくらい踏み込んでくれた。なので原作大好き野郎からしたら大満足でしたね。冒頭から最後まで、終始震えが止まりませんでした。

シャム 今回の映画は、原作を全然知らない人が見ても、ずっと追っているコアなファンが見ても、共に楽しめるというのがすごいですね。事前知識なしで見に行っても問題なくストーリーは理解できますが、原作を知っていると「こんなところまで明かしてくれるの!」という驚愕の事実がある。深い映画ですよね。

終わり 今回の映画は黒ずくめの組織にフィーチャーしているストーリー。20作目「純黒の悪夢(ナイトメア)」ぶりですね。コナン側のいつものメンバーに加えて、黒ずくめの組織の面々(ジン、ウォッカ、ベルモットら)、公安警察の降谷零(安室透=バーボン)、CIAの水無怜奈(本堂瑛海=キール)、FBIの赤井秀一(沖矢昴=ライ)を始めとする面々、そして映画オリジナルキャラクターと、登場人物は非常に多い。このそれぞれ違う思惑を持つ面々の行動を整理しきれるのか? と心配していましたが、杞憂でした。

黒ずくめの組織にフィーチャーした「純黒の悪夢(ナイトメア)」

シャム 「この人はどこで何をやっているんだろう?」と疑問に思うところがなかったわけではないですが、混乱するほどではなかったですね。人間関係については、映画冒頭でいつもやっている「俺は高校生探偵、工藤新一」のパートでシンプルに説明されているので、原作を知らなくてもなんとなく分かるようなつくりになっているし。

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終わり あのパート、本当は15分くらいあってもいいはずなんですよね。シリーズが長期になるにつれて、各キャラの背景の厚みがすごいことになっているので。「こいつはベルモット。実はコナン=新一、シェリー=灰原だと知っているやつのひとり。蘭に対して特別な思い入れがあるんだ」とか、「ジンはベルツリー急行でシェリーが死んだと思っているぞ。落ちた髪の毛を見るだけで灰原のものかどうか分かるんだ!」とか……(笑)。とはいえ、今回の映画で必要なところは最低限押さえてくれていました。

シャム うんうん。もちろん、原作を読んでいれば各キャラクターのバックボーンや行動原理がはっきり分かるので、より面白いとは思います。特に黒ずくめの組織については、メンバーごとにそれぞれ違う思惑で動いているので、「この人は今何を目的にしているんだろう」と読み解いていく楽しさがあります。

終わり とにかく全体としての出来がすごくよかったですね。メイン舞台が限られていることもあって、事件自体のスケールはこれまでの映画と比べてそこまで大きいわけではないですが、その分灰原やコナン、ゲストキャラクターなど、個々人の気持ちに寄り添うようなストーリーになっていて、素晴らしかったです。控えめに言って大傑作でしょう。

屈指の人気キャラクター、灰原哀に踏み込む

シャム もう言うまでもなく、灰原哀が死ぬほどよかったです。哀ちゃんファンは全員うなずいてくれるんじゃないかな……? 終わりさんが最初に「ここまで踏み込んでいいの」と言っていましたが、物語の展開としても、灰原哀の描き方としても、ここまで踏み込んでいいのかというところに驚きました。ネタバレにならないように語るのは難しいのですが、こんな灰原哀、もう何年間も見ていなかったような気がします。あらためて灰原哀の魅力を思い出させられました。

終わり 灰原の内面というのは原作でも描かれていないわけではないです。登場エピソードである「黒の組織から来た女 大学教授殺人事件」でも感情をあらわに涙を見せますし、「網にかかった謎」などでも周囲との関わり方を改めたりと、その変化を見せています。また彼女に危機が迫るエピソードも、「黒の組織との再会」「灰原の秘密に迫る影」「漆黒の特急(ミステリートレイン)」など、節目節目では存在している。

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 でも難しいのは、灰原に危機が迫る=コナンに危機が迫る、ということなんですよね。シェリーの幼児化が発覚すれば、組織に限らずさまざまなキャラクターがコナン=新一にたどり着くリスクが必然的に高まる。また、APTX4869に幼児化作用があるということを組織の他メンバーに知られたくないベルモットの動きも当然変わってくる。『名探偵コナン』という物語最大のコアである部分の本筋が一気に動いてしまうから、灰原というキャラクターはすごく人気があるけど、本格的な危機や活躍をさせづらいというジレンマがあると思っています。

シャム 灰原は物語の核心に近すぎるんですよね。赤井や安室といったキャラのほうが、むしろコナンという物語の中では動かしやすさがあるかもしれない。

終わり そうそう。きっと原作者の青山剛昌先生も、灰原の物語を動かすタイミングを見計らっているんだろうな……と感じていました。それが今回の映画では、ここまで活躍をして、ヒロインでもあり、さらに内面も描かれるというフィーチャーのされ方をするのは、うれしい驚きでした。

シャム 灰原哀はすごい重要キャラだけど、「天国へのカウントダウン」以来、一度も劇場版でメインキャラという扱いにはなっていないんですよね。もちろん他作品でも活躍はしているけど、あくまでもサブとしてでした。今回は待望の2度目のメイン映画だから、その分気合が入っています。灰原とコナンは同じ秘密を共有する対等な存在だから、コナンが灰原を助けて、灰原がコナンを助ける、という展開が“らしく”てよかった。

変化してきた人間関係

終わり もしかしたら原作初期のイメージで映画を見に来る人もいるだろうから、最近のコナンシリーズの人間関係の変化についても話しておきませんか?

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シャム 初期からめちゃくちゃ変わってますからね。映画23作目「紺青の拳(フィスト)」でも言及されていますが、新一と蘭は正式に恋人同士になっています。そのため、原作の初期にあった、新一=コナンを巡るある種の三角関係には決着がついている。

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