お店に飾った美人画が日に日に変わっていく、その理由は…… 絵の中の女性をめぐる不思議な物語(1/2 ページ)
女心と秋の空、と申します。
人の形をしたものには人間の念がこもりやすい、といいます。それは絵に描かれた人物画でも同じようで、さまざまな舞台で「怪異を引き起こす、またはそれ自体が怪異である絵画」の噂話がささやかれています。
今回ご紹介する作品は、間違いなく「絵画の怪異を語る物語」ではあるのですが……独特の世界観から描かれる、不思議ながらもほほえましい内容となっております。漫画の作者は、不思議な話を投稿しているかんさび(@kansabi_kk)さんです。
あるお店に飾られている美人画は、みずからの意思を持っています。それは持ち主の店主も承知の上で、ときには会話もするような間柄なのでした。
ある日のこと、店主は美人画の変化に気がつきます。顔つきや装飾が日に日に変わっており、その様子は美しく着飾っているかのようでした。不思議に思った店主が調べてみると、美人画の見つめる先に、西洋の騎士を模した小さな置き物があったのです。
店主は「きっと美人画の彼女は、この西洋の青年に惹かれているのだろう」と思い、美人画のすぐそばに騎士の置き物を飾ってあげました。
ですがしばらく後、騎士の置き物は手違いで売られてしまいます。そしてその日の夜、美人画の彼女はさめざめと泣いていました。店主は手違いを謝り、騎士の置き物を買い戻してくると彼女に話しかけたのですが、その返事は意外なものでした。
彼女が話すところによれば「あの方のりりしいお顔がいつも私を見つめているから、なんとも恥ずかしく思えてきた」というのが着飾っていた理由で、いま泣いているのは「あの方がいなくなったので無理にめかし込む必要がなくなり、とても安堵した」からだ、というのです。
その日から、美人画の彼女は前と同じ絵に戻ります。ですがよくよく見てみると、今までよりも晴れ晴れとした表情を浮かべており、それを見た店主は「女心は難しいな」と、心の中で反省したのでした。
不思議で独特の味わいのある漫画には「落語の様な起承転結」「古都を散策してるような気持ちになります」などのコメントが寄せられています。
作品提供:かんさび(@kansabi_kk)さん
記事:たけしな竜美(@t23_tksn)
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