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異例づくしの「ひろがるスカイ!プリキュア」 なぜ「悪役会議」が描かれないのか?サラリーマン、プリキュアを語る(2/2 ページ)

「悪役会議」、個人的には大好きなシーンです。「せーの! ブンドルブンドルー!」

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ひろプリで数々の「パターン崩し」が行われている理由

 「ひろプリ」において「悪役会議が描かれない」「4人目がなかなか変身しない」など、いわゆる「パターン崩し」が行われているのはシリーズ構成の金月氏の存在が大きいようです。

 青色プリキュアが主人公であること、異世界から物語が始まることなども、金月氏がこれまでのプリキュアに関わってこなかった「外様」である自覚から、「お約束」とされてきた数々の事柄をイチから見直して新しいプリキュアを構築したためだとアニメ誌のインタビューで答えています。

金月 申し上げました通り、僕は外様なので、『「プリキュア」って、そもそもなぜこうなっているんですか?』というプリミティブな疑問を恥ずかしげもなく質問しました。たとえば、「なぜ、どこにでもありそうな街が舞台で「ママおはよ~」から始まるんですか? 視聴者のお子さんたちが自分事として想像しやすいようにという配慮ですか?」というふうなことを、です。
鷲尾さんと小川さんはそんな間抜けなぼくの質問にも全部丁寧にお答えくださって。

「いや、別にどこにでもありそうな街じゃなくてもいいんですよ。なんとなくそうなっているだけで」「じゃあ、たとえば空の上の世界が舞台で、主人公が早々にトラブルに巻き込まれても大丈夫なんですか?」「大丈夫です。だとしたら、主人公のカラーは青ですかねえ」と……。
徳間書店『Animage(アニメージュ)』2023年6月号(P70)


主人公が「異世界人の青色プリキュア」なのも本作の特徴の一つ

 これまでプリキュアファンが「プリキュアの伝統」だと思っていたものの中には、別にお約束でも何でもなく「なんとなくそうなっているだけ」なものも多かったようです。

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 例えば、これまでのプリキュアシリーズの第1話の始まりが「どこにでもある街で主人公の女の子が『ママおはよー』で始まる」のも、なんとなくそうなっていただけで別に「絶対に守らなければいけないルール」ではなかったようです。別に異世界から青キュアでのスタートでも全然問題はなかったのですね。

 金月氏は、プリキュアの固定概念を崩すことは全く意識しておらず、ドラスティックな改革に挑戦しているわけでもなく、ただ子ども達のために「面白いものを作る」という制作姿勢で「ひろプリ」を作っているようです。


ドラスティックな改革は意識せず、ただ「面白い作品」を

金月 ドラスティックな改革に挑んでいる作品……に見えるかもしれません。でもそういう気持ちは実はそんなにありません。「普通に面白い作品」を書く。そのつもりでやっています。しばしば「初代リスペクト」と指摘されますが、僕がリスペクトしているのは初代のパーツパーツではなく、「普通に面白い作品」としての初代であり、そうあろうとする姿勢です。
徳間書店『Animage(アニメージュ)』2023年6月号(P70)

 ちなみに、4人目「キュアバタフライ」がなかなか変身しないのも、春映画がないことにより慌てて登場させる必要がなかったことと合わせ、「1年を通して最高の戦果をあげるため」と同インタビュー記事で答えています。この先の初変身が楽しみですね。


4人目「キュアバタフライ」は誰が変身するのでしょうか

変わり続ける強さ

 過去にもプリキュアシリーズでは「こうでなくてはならない」という固定概念に縛られさまざまな自主規制により表現の幅が狭まってしまったのを打ち破り、シリーズを発展させてきた歴史もあります。

 20周年という歴史にあぐらをかかず、常に表現に疑問を持ち「変わりつづけること」ができるのもプリキュアシリーズの強さの一つなのです。

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この先はエルちゃんが重要なキャラクターになっていく?

2022年のプリキュアトイホビー売り上げは過去最低に

 2023年5月10日、バンダイナムコホールディングスの2023年3月期の決算短信が発表となりました。この数字は2022年の決算数値となります。

 プリキュアのトイホビー売り上げ(玩具の他、文具、食玩、生活用品なども含む)は56億円(昨対98%)となり、前年をほぼ維持した形となりました。

 ただ、これはプリキュアシリーズのトイホビー売り上げでは最も低い数字となっているのも事実です。もちろんコロナ禍、物価高騰、不景気など外的な影響も大きいとは思われます。

 しかし、同じニチアサのスーパー戦隊は「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」の好調もあり、グループ全体の売り上げでは前年比130%と復調する中、プリキュアはコロナ禍からの回復が遅れてしまっているのも事実です。

 2023年は「プリキュア20周年」で大きな盛り上がりを見せています。

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 10月にはNHKで「Yes!プリキュア5」の主人公・夢原のぞみが大人になった姿が描かれる「キボウノチカラ~オトナプリキュア‘23~」も放送開始。秋には「全員男の子プリキュア」による舞台「Dancing☆Starプリキュア」の公演など、「大人向けのプリキュア」も活発に展開されるようになってきています。

 「ひろがるスカイ!プリキュア」の躍進、そしてプリキュア20周年でのさまざまな施策がプリキュア回復の原動力になるとよいですね。

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