飼い主が発作で立てなくなったとき、猫ちゃんが寄り添い…… 24時間泣き通した愛猫とのお別れが胸に迫る
「ペットロスとの寄り添い方」第13回は猫・鈴蘭ちゃんです。
多くの飼い主が一緒に暮らす動物を“大切な家族の一員”として捉え、人生をともに歩んでいます。動物と暮らした時間は長くとも短くとも、深い愛情を持って接した分、飼い主にとって人生のかけがえのない一部となり、別れは深い悲しみとなって心身に押し寄せます。
愛する動物との死別による喪失感や混乱、後悔など、抱えきれないほどの悲しみによって心身が不安定になる状態を指す「ペットロス」「ペットロス症候群」。2022年、全国47都道府県に在住する20~69歳の男女5000人を対象に実施された「ペットに関する調査(2022年)実態編」では、「困りごと・気になる点」として「死なれるのがつらい」などの理由から「ペットロス」が上位にあがる傾向にあると発表されています。
飼い主にとって非常につらい経験となり、カウンセリングを要するケースもあることから、「ペットロス」「ペットロス症候群」は今、メンタルヘルス上の大きな課題として多くの人が向き合っています。動物とのこれまでの日々を忘れたり、死を乗り越えたりすることはできないかもしれませんが、時間の経過とともに受け入れ、いつかふと思い出したときにあたたかい涙がこぼれるような“寄り添い方”はあるはずです。
そこでねとらぼ生物部では「ペットロスとの寄り添い方」をテーマに、読者にアンケートを実施。寄せられたさまざまなエピソードから、愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事をご紹介していきます。現在動物と暮らしている人や、悲しみの渦中にいる人に寄り添うヒントとなれば幸いです。
第13回 飼い主・アイリスさん/猫「鈴蘭」ちゃん(愛称:スー)
―― 鈴蘭ちゃんのプロフィールと出会い、思い出や印象的なエピソードを教えてください
アイリス:今はなくなってしまった小さいペットショップで出会い、何度も見に行ってうちへ迎えました。箱に入れて電車に乗っているあいだ、スーはずっと鳴いてました。それもまた私としては、「私、ネコ飼ったのよ」とちょっといい気分でした。
スーはいつも、私や私のバッグの上で寝ていました。私が英語で話すので、英語を理解しており、“お手”も“待て”もできる本当に頭の良い子でした。
私がぜん息の発作で立てなくなったとき、救急車が来るまで「どうしたの」という感じで私に寄り添ってくれました。私が椅子から落ちたときも「大丈夫?」と来てくれました。
実家の北海道・札幌へ飛行機で連れて行ったこともあります。とても穏やかで幸せな日々でした。
―― 鈴蘭ちゃんと別れてからの心境や、救われた出来事などがあれば教えてください
アイリス:13歳で虹の橋を渡りました。血液の病気を患っていたので、死なさないようにやれることは全てやりました。しかしいきなり腎不全で息を引き取ってしまいました。ただショックでした。
預かってもらった動物病院から呼ばれて駆け付けたとき、スーはもう自分で息ができないのに、私がなでてあげると息をし始めました! 奇跡を見せてくれたのに、やはり持ちこたえられず、旅立ってしまいました。
私は狂いました。動けなくなりました。24時間泣き通しで起きられなくなり、会社は2週間休みました。体が震えて、涙が止まらなくて、起きられなかったのです。スーの亡き骸を10日近く抱きしめて寝ましたが、母から「もうミャーって言ってくれないでしょ」と言われ、ようやく火葬してもらいました。
アニマルコーディネーターの方に、「鈴蘭ちゃんはあなたの右肩にいて見ていますよ」と言われて、「ああ、スーはいてくれるんだ」と思えました。その言葉で震えが止まりました。
―― 現在の心境を教えてください
アイリス:月1回、ペットロスオンラインサポートに参加しています。パートナーにも話を聞いてもらっています。幸い理解ある人で、スーが息を引き取ったとき、私が後追いしないように面倒も見てくれました。
ただ悲しい。痛いしつらい。どれだけ泣いても、もうあの子はいない。抱きしめてあげられない――。外出時、いきなり泣くことがやっとなくなりました。ある程度は普通に生活できるようになりました。
スーにはいつも感謝しています。いないのに話しかけたり、えさをあげたりしています。見えないけどいるんでしょって思います。
―― 鈴蘭ちゃんに伝えたいメッセージ
アイリス:私のところに来てくれてありがとう。どうしようもないママだったのに愛してくれてありがとう。あなたと過ごした13年はとても幸せだったよ。あなたのおかげだよ。
あなたがいなくてもあなたのこと考えているだけで幸せです。ママはあなただけだよ。またママに会いに来てね。
(了)
「ペットロス」「ペットロス症候群」になった場合、その苦しみを閉じ込めたり自身を責めたりせず、家族や仲間と共有する、生活に支障を来す場合は専門家のカウンセリングを受けるなど、焦らずに“死”を受け入れていくことが大切だといわれています。
また現在動物と暮らしている人は、「いつかは別れがくる」と理解し後悔のないよう接すること、同じ動物と暮らしている友人や仲間を見つけ、喜びや悲しみを分かち合うことが、いつかくるそのときと向き合う心身の準備へとつながるかもしれません。動物と暮らす喜びをかみしめながら、心のよりどころとなる思い出や関係を作っていきたいですね。
ねとらぼ生物部では、引き続き「ペットロスとの寄り添い方」をテーマにアンケートを実施しています。犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事など、【こちら】までお寄せください。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。
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