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海の水難事故で「大の字に浮いて待て」は困難 日本水難救済会が危険を指摘、体を張った実験で注意呼びかけ(1/2 ページ)

顔に水がかかり、浮いていられないといいます。

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 水難事故に遭った際には「大の字に浮いて救助を待て」とよく言われますが(関連記事)、海では避けるべき――。日本水難救済会(@Qsuke_MRJ)が実証実験を行い、注意を呼びかけています。

海で「大の字に浮いて救助を待て」は困難(日本水難救済会ツイートより引用)

 元・海上保安大学校水泳教官である同会常務理事が、実際に海で「大の字背浮き」を試みた実験。波高5センチと静かな状況にもかかわらず、波で顔に水がかかることで呼吸を確保できなくなり、浮き続けられませんでした。それにより精神的にパニックになるおそれもあり、危険だと述べています。

泳力がある人でも海で「大の字背浮き」はできませんでした(日本水難救済会ツイートより)

 教育現場などで、水難事故防止のひとつの手段として「背浮き」の指導が行われていますが、海や川を知る専門家からは疑問の声があがっている状況なのだそうです。実際、浮具がなければ、小学生のおよそ70%が静かなプールでもできないというデータがあります。

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 そこで、同会が推薦するのは「イカ泳ぎ」(エレメンタリー・バックストローク)。ポロシャツ、ジーパンを着ていても、体力を使わずに長い時間浮力を保つことができるとのこと。イカ泳ぎの方法は、同会のサイトに掲載されている資料「海の護身術」に詳しく記載されています

おすすめはイカ泳ぎ(日本水難救済会ツイートより)

 一方で、イカ泳ぎにも限度があるため、「浮いて待つ状況にならないこと」が大事。悪天候時は海に出ない、遊泳禁止区域で泳がない、ライフジャケットを着用する、連絡ができる体制を確保するなどのポイントを守ることが重要であるとしています。

高橋ホイコ

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