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40キロ超の減量、エリートな経歴 元子役・細山貴嶺が今「本当になりたい自分」とは私の人生が動いた瞬間(1/2 ページ)

“細山くん”としてお茶の間に親しまれた細山貴嶺さん。いじめや減量を経験し、エリート街道をひた走る中で見つけた“本当にやりたいこと”。

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 人生100年時代といわれる現代、「何歳からでも新しいステージに踏み出すのは遅くない」という考え方が広がっています。著名人も例外ではなく、ある分野で成功を収めた人が転機を経験し、別のフィールドで奮闘する姿は多くの人に勇気を与え、モチベーションやインスピレーションを与えています。


細山くんとして親しまれた細山貴嶺さん(画像提供:京都大学イノベーションキャピタル株式会社)

インタビュー連載 「私の人生が動いた瞬間

 “細山くん”の愛称で親しまれた細山貴嶺さんは、1994年に誕生後、生後2カ月で赤ちゃんモデルとして芸能の世界へ。2006年からは、「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)をはじめとしたバラエティー番組やクイズ番組を中心に出演し、ぽっちゃりした見た目に蝶ネクタイ、眼鏡をかけた少し生意気なお坊ちゃまキャラがお茶の間で親しまれました。

 最近では、ぽっちゃりキャラを卒業し、慶応大学へ入学、ゴールドマンサックスに新卒入社した華々しい経歴も話題に(関連記事)。一方で、幼いころから“大人に求められる自分”を演じる中で、“本当の自分”を見失っていた時期も。インタビューでは、「本当にやりたかったことに向けて走ってるタイミング」と新しいスタートへ向けた現在の様子を伺いました。

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お坊ちゃまな“細山くん”と、引っ込み思案な“細山くん”

――生後2週間で赤ちゃんモデルとしてデビューしてから、慶応大学卒業まで芸能界で活躍されました。パブリックイメージですと、たまに生意気なお坊ちゃまキャラという印象です。細山さんご自身は子どものころ、どんなお子さんでしたか?

細山貴嶺(以下、細山) 引っ込み思案で、人と話すことが苦手な性格でした。そのくせ変なところは頑固なところもありましたね。

――テレビで見た“細山くん”とは異なる性格だったんですね。

細山 本来の自分と、仕事で求められる自分が正反対なので、最初のころはそのギャップに苦労することもありました。逆に言えば、求められるものに応えられるようになってくると本当の自分は何なんだろうと悩んでいた時期もありました。


小学4年生ごろの細山さん(※画像は一部編集部で加工)

――仕事で求められる自分というのは、徐々に理解していくようになるんですか?

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細山 そうですね。小学校5~6年生ごろから、人がどんなことを求めているのか考える習慣が身についていきました。

 大人の方々と一緒にお仕事をさせていただく機会が多かったので、プロデューサーさんやディレクターさんの目線が気になったり、周りの方々のお仕事の様子を見たりする中で、僕自身もいただいているお金に対して、「ちゃんとアウトプットを出さなきゃいけない」という、変な社会人マインドがあったような気がします。

――大人からの視線を気にしながら生活するのはストレスやプレッシャーがかかりそうです。

細山 生後2週間のころから大人の方に囲まれて仕事をする環境だったので、ストレスはありませんでした。同年代の子としゃべるよりも大人の方が話しやすかったです。一方で、テレビに出演すると母親が「今日は●●点だったね。残りの●●点は、こういう発言を受けたときの返しがこうだから~~」とマネジャーのように管理していたので、プレッシャーは大きかったですね。

 母親もオールナイターズ(※1983年4月に放送されたバラエティー番組「オールナイトフジ」の一般公募として集められた女子大学生の集団)として芸能活動をしていたので、そういった目線で気になることが多かったのかもしれません。

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母親との1枚

――今振り返って、一番多忙だったなと思う時期はいつですか?

細山 かわいいぽちゃぽちゃ感がなくなる前の小学校4年生ごろでしょうか。そのころは、「おはスタ」や「世界一受けたい授業」の収録が土曜日にあって、平日は、たまに呼んでいただけるクイズ番組の収録で、お昼を食べた後の13時ごろから早退して、タクシーで現場に向かって15時から19時まで収録するというのが週に2~3回ほどありました。

――学業との両立はどのようにされてたんですか?

細山 無理やり時間を捻出して頑張っていましたね。打ち合わせが終わった後の楽屋で算数の宿題を進めたり、スキマ時間を有効活用していました。

幼稚園から中学卒業までのいじめ

――著書『デブ、死ね、臭い! を乗り越えて 』では、幼稚園のころからいじめられていた経歴も明かされています。

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細山 幼稚園から中学校卒業までなので、長い期間いじめられていました。いじめや先生からの嫌がらせが原因で小学校は3回転校したので、合わせて5校でいじめに遭っていました。

――いわゆる、容姿がいじめの原因になっていたのでしょうか?

細山 原因は2つあると思っていて、1つは今おっしゃったような容姿。はっきりと分かるように太っていましたし、からかいの対象になりやすかったのかなと思っています。もう1つが、仕事で欠席や早退をすることが多かったので「なんで貴嶺だけテレビに出て、授業もサボれるんだ」という、出る杭は打たれるというような状況だったのかなという気がしています。

――学校に行かないという選択などもされたのでしょうか?

細山 それはしなかったです。「どんなことがあっても、学校には行きなさい」という母親の教育が大きかったのか、仕事以外の理由で学校を欠席したことはなかったです。

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 今思えば、僕も「行きたくない」とは言わなかったんですよね。昔のことで記憶がふわっとしているんですが、明確に「学校が嫌だ」とは言ったことが無かったと思います。性格的に我慢してしまうところがあるからでしょうか。例えばコップに水を注いで表面張力でギリギリこぼれずに耐えているようなイメージで、突然ワッとこぼれてしまうまで意外と自分のつらさに気付けないということが多いんです。今、大人になるにつれて向き合っている部分ではあります。

――そうした中で、細山さんの楽しみは何だったのでしょうか?

細山 食べることですね。ご飯を食べていると幸せだし、ストレス食いみたいな感じですごい食べていたので、太っちゃったというのはあると思います。小学校がインターナショナルスクールで、日本の小学校の給食とは違って、カフェテリアみたいな所があるんです。ラザニアやボンゴレビアンコみたいなおしゃれなご飯が出てくるから食べたくなっちゃって。当時、つらさは全部食にあてていました。

――ご家族に相談はされたんですか?

細山 母親にはしていました。それこそ何回も転校をさせてくれたり、「何があっても私がいるから大丈夫」と味方でいてくれたり、自殺未遂をしたこともあるときはフルでサポートをしてくれたりと相当サポーティングだったかなと思います。

「いじめられる自分を変えたい」 43キロの減量

――「ピン子の時間」(TBS系)のダイエット企画でかなり減量されましたね。ぽっちゃりのイメージは徐々になくなっていった印象です。

細山 テレビでは太っているキャラクターが価値として認められていましたが、いざ日常生活に戻るといじめの原因になってしまう。「ピン子の時間」は、“痩せること”が仕事として求められるということもあって、本気で痩せたらいじめられなくなるかもしれないし、トライしてみようと思いました。

――どのくらいの期間で体重は落とされたんですか?

細山 番組で1~2カ月で108キロから90キロ台まで落として、番組後にまた1~2カ月の夏休み期間中に90キロ~65キロまで落としました。当時は、レタス1枚に2時間走るっていう極端なダイエットをしていて、おすすめはできないですね。そこまでできたのはやはり、どこかでいじめられる自分を変えたいという思いがあったんじゃないかと思います。


約43キロ減量

――容姿の変化が現れてから、周囲の反応は変わりましたか?

細山 夏休み明けに学校に行ったら、細山の席に知らない転校生がいるって思われたこともありましたが、体重が65キロほどになるにかけて、徐々に周囲も慣れていきました。どちらかというと僕自身が自分の姿に慣れておらず、自分の痩せた姿が不思議すぎて鏡を見る度に「なんだこいつ」と思うことが多かったです。

――高校卒業後はカリフォルニア大学にも1年交換留学へ行かれて、心理学を学ばれていますが、やはりいじめの経験があったからでしょうか?

細山 それは相当大きいと思います。僕の個人の考えからすると、“いじめ”という行為だけ聞けばいじめる側が良くないとは思うんですが、その背景には実はもっと複雑な問題があると思うんです。1つ、すごく記憶に残っているのが、当時、算数のテストで僕が100点、Aくんが95点をとったときに、すごくいい成績であるにもかかわらず、Aくんが「貴嶺に点数で負けたと言ったらお母さんに怒られる、お父さんに殴られる」と言っていたことがあるんです。

 実はいろいろな家庭環境が1人の心理に影響しているんじゃないかなと思って、そういう心理状況はどう生まれるのか、ある意味そのいじめる側のことを理解するっていうのも1つのアプローチとしてすごく重要なことだと感じて心理学を勉強し始めました。

――心理学を学ばれてからいじめに対する考え方に変化はあったのでしょうか?

細山 いじめられた当時は悲しい思い出ではありますが、結局1人1人が置かれてる状況を変えないと意味が無いと思っています。そういう意味だと、当時よりは幅広く物事を見れるようになりました。

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