「ここでしか手に入らない」と書かれていたのに…… 角川「くじ引き堂」への不満訴える投稿に注目集まる 運営元と弁護士の見解は(1/4 ページ)
KADOKAWAが運営するオンラインくじサービス「くじ引き堂」の対応が物議を醸しています。
「ここでしか手に入らないオリジナルグッズ」と書かれていたのに――オンラインくじでゲームのグッズを購入後、同じグッズが海外で個別販売されたとして不満を訴える投稿に共感が集まっています。購入者やくじの運営元、弁護士に取材しました。
日本ではランダム販売、海外では個別に購入可能
注目を集めたのは、KADOKAWAが運営するオンラインくじサービス「くじ引き堂」で、インドネシア発のゲーム「コーヒートーク」のくじを購入したりん(@ringokun552)さんの投稿。X(Twitter)に「今後このような販売方法が無くなる事を願い」と注意喚起として投稿すると、200万回以上閲覧されました。
くじ引き堂では、アニメやゲームのグッズをくじ形式でランダム販売しています。りんさんが同サービスで購入したのは、ゲーム「コーヒートーク」のアクリルスタンドなどのグッズが当たる「コーヒートーク オンラインくじ」(1回770円)で、2023年11月30日から2024年1月4日にかけて販売されました。
くじの販売が終了した後の2024年1月9日、「コーヒートーク」パブリッシャーの公式SNSで、通販サイト「あみあみ」の海外サイトで同作のグッズの予約が始まったことが告知されました。グッズは(くじ引き堂運営元である)KADOKAWAブランドでの販売となっており、「コーヒートーク オンラインくじ」S~C賞のうち、B賞以外がラインアップされています(S賞とA賞は選択して購入可能で、C賞は全種セット)。また日本からは注文できないようになっています。
くじ引き堂のWebサイトには「ここでしか手に入らないオリジナルグッズ」とのうたい文句があり、また「コーヒートーク オンラインくじ」のプレスリリースでも「ここでしか手に入らない素敵なグッズが目白押し!」と記載されています。「ここでしか手に入らない」と記載されているにもかかわらず、海外サイトで販売されたことについて、りんさんがくじ引き堂に問い合わせると「日本国内ではここでしか手に入らないため問題はない」との回答だったといいます。
りんさんは「中継代行サービスもあり個人輸入がしやすくなっている中、国内向けにのみ搾取するような形式での販売をしてくじ終了後に国外通販を後出しする悪質さは日本の消費者の足元を見ているとしか思えません」とXで訴え、消費者センターに報告したとも述べています。
りんさんの投稿には「すごいショック」「こっちは欲しいグッズのため払いたくない外れ分のお金も払ってるのに……」「なんで海外には好きなように買わせて日本ではランダムなんだよ!」と海外との販売方法の違いへの不満を訴える声や、他の作品のグッズでも同様のケースがあったという声、「日本国内ではここでしか手に入らないなら分かりやすいように説明が必要」と景品表示法上の問題があるのではという声も見られました。
購入者「だまされたと感じた」
ねとらぼ編集部では、りんさん、またりんさんの注意喚起の投稿に協力したAさん(匿名希望)にお話を聞きました。
りんさんはXの投稿に踏み切ったことについて、「今回の件についてくじ引き堂にメールにて問い合わせたが、回答に納得できなかった」「今後同様の方法で販売を行うことを危惧した」ことを理由として挙げました。
海外向けにグッズが個別販売されると知ったとき、りんさんは「国内のファンは確率で当たるかも分からない賞品のために少なくない金額を掛けているのにもかかわらず、海外向けには定価で好きな賞品を選んで購入ができることに対してとても不公平だと感じた」といいます。また、くじ引き堂のホームページ内には「ここでしか手に入らない」とあったため、だまされたと感じたそうです。
Xで寄せられた、過去にも同様のケースがあったというコメントを見て「改善する気がないと感じた」というりんさん。今後は、「事前に海外で発売するという旨を記載するか、国内でも海外でも平等に受注販売をするようにしてほしい」と改善を望んでいると話しました。
Aさんはりんさんと同じく「コーヒートーク オンラインくじ」を購入し、くじ引き堂の対応に不満を持ったとしています。Aさんがこの件をXに投稿したことをきっかけにりんさんから連絡を受け、消費者センターへの報告方法や、注意喚起の投稿の内容などを助言したそうです。
コーヒートークはグッズ展開が少なく、また海外から個人輸入するしかなかったという事情があり、Aさんは当初、ランダム形式での販売に対する不満はあったものの、「(日本で)グッズが買えるだけありがたい」と納得し、また「日本でしか買えない」と認識して購入していたと話しています。
しかし海外向けに選んで買える形で販売が行われることを知り、裏切られたような気分になったといいます。「最初から分かっていれば、やや手間がかかっても個人輸入ですべてのグッズを1点ずつそろえたのに……と、とても残念でした」とAさんは語ります。
例えばA賞のアクリルスタンドは9/100の当選確率でさらに13種の中から抽選が行われます。「お金をかけても手に入らず、国内アニメのように引く人がたくさんいるというわけでもないので、交換のあてもない人のほうが多かったでしょうし『せっかくのグッズ化だけどくじ(ランダム)だから買わない』という選択をした人もいたと思うので、この方法で誰が幸せになれたのかと、本当にやりきれない気持ちです」(Aさん)
※くじ引き堂では、例えば「S賞が当たったらその中から好きなものを選べる」という販売形式もありますが、「コーヒートーク オンラインくじ」は完全にランダムでした
Aさんは、「個人的には日本と海外で販売方法が異なるというのはある程度仕方がない面があると思っています」としつつも、「ここでしか買えないくじ引き堂オリジナルグッズ」としてPRしたものを、販売期間が終了した後に別の販路でよりよい条件で販売したことを問題に感じているといいます。
あみあみでの海外向け販売は日本への発送はありませんが、Aさんにとっては、輸入代行などを利用して海外から購入するのは、当選確率9%のアクリルスタンドを13種くじでコンプリートするより「低いハードル」だといいます。「輸入代行なんかやったことないし自分はくじでいい、という感覚の方もいると思います。『輸入代行のような手間を踏んででも選んで買う』と『ハードルと感じるので不確定でもくじで買う』の選択肢が事前に開示され、ユーザー側で選択できるのが公平な取引ではないかと考えます」(Aさん)
くじ引き堂に望むことについて、「希望者に返金した上で、あみあみでの通販を日本も対象内にして仕切りなおしてほしいというのが本音です」とAさん。「ここでしか手に入らない」とのPR文言について不当表示ではないかとくじ引き堂に問い合わせたところ、国内ではここだけなので問題はないといった返答があったといいます。「せめて『国内ではここだけ』の表記に改め、欲しい人が欲しい商品を常識的な金額で手に入れられるようなシステムになるといいなと思います」とAさんは語っています。
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