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代表「楽しかった!」→全員「運動会!」 卒業式で定番の“あの呼びかけ”はいつ始まったの?(1/3 ページ)

さようなら(女子) さようなら(男子) さようなら(全員)。

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 小学校の卒業式では、児童一人一人が言葉を連ねていく“呼びかけ”が定番です。地域によっては「門出の言葉」などともいうあの行事は、一体いつ始まったのでしょうか。その歴史を調査しました。

あの“呼びかけ”は1950年代に生まれた

 あの“呼びかけ”は、1950年代に群馬県の島小学校で始まったといわれます。

 当時校長を務めていた斎藤喜博氏は、教育者であると同時に歌人でもあり、特徴的な実践を多数行っていました。その取り組みの1つが、卒業式の“呼びかけ”だったのです。

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 黎明期の“呼びかけ”には、児童だけでなく出席者のせりふもあったそうです。また、そのころには、児童や保護者が作詞した歌なども披露されていたのだとか。

 このような斎藤氏の実践は、後に卒業式の台本を書籍化したことで全国に広まり、卒業式の定番演出の1つとして定着しました。

ちなみに……

 卒業式の定番として“呼びかけ”よりも思い出されるかもしれないのが「卒業ソング」。現代では児童や保護者が作詞し歌を披露することはめったにありませんが、合唱曲や現代の卒業ソングを歌うことは一般的といえるでしょう。

 楽天ブックスが発表した、2024年の「年代ごとの思い出卒業ソング調査」によると、10代から30代までは1位を「旅立ちの日に」が独占。一方、40代では「仰げば尊し」が、50代では「贈る言葉」が1位となっています。


楽天ブックスの調査(画像引用:プレスリリース

 注目すべきは「仰げば尊し」の順位。40代では1位、30代・50代では2位と高い順位を誇っている楽曲ですが、20代では6位まで転落し、10代では何とトップ10にもランクインしないという結果となっています。ランクインすらしないなんてびっくり。

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 この他にもLINE MUSICでは10代に聞いた「卒業ソング ランキング2024」を発表。こちらでは「旅立ちの日に」が3位に来るなど、これまた意外な結果となっています。

参考文献

有本真紀『卒業式の歴史学』(講談社 2013年3月)

立教大学「日本独自の卒業式が生まれた背景と『歌』の役割」

DIGITALIO/C-POT『コトバンク』より「斎藤喜博」

田端健人「斎藤喜博の学校づくりにおける『遊び』の構造」(『宮城教育大学紀要』第44巻 2009年1月)

吉村敏之「教育実践史のクロスロード[リレー連載・第1回] 斎藤喜博『一つのこと』に集中して『ひとすじの道』を歩む実践―カリキュラム・マネジメントの指針」(『ぎょうせい教育ライブラリ』)

近藤仁美(こんどう・ひとみ)

クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。テレビ番組「高校生クイズ」「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」等の他、クイズの世界大会では日本人初の問題作成者を務める。2023年「Trivia Hall of Fame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に『人に話したくなるほど面白い! 教養になる超雑学』(永岡書店)など。

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