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コンテンツサービスで相次ぐ突然のクレカ決済停止の問題点 今後どう対応できるのか、議員と弁護士に聞いた(3/5 ページ)

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規制の動きはPornhub訴訟以前の「2019年夏ごろから問題に」

―― 2024年からさまざまなオンラインサービスで、クレジットカード会社の要請による決済サービス停止が相次いでいます。その背景には「Pornhub」の訴訟があるのでしょうか。

山田議員 そうですね。Pornhubの訴訟問題が今回の事態を加速させている可能性はあります。ただ“訴訟によって規制が始まった”わけではなく、クレジットカード会社による規制は2019年夏ごろから問題になっていました

―― それでは最終的な裁判の結果とは関係なく、厳しい状況になっていくのでしょうか。

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山田議員 Pornhubの裁判は児童ポルノの収益化を支援したことを争うものですが、VISAが裁判から自身を除外できなかったことが大きな問題です。

小山弁護士 補足すると、報道によれば、VISAは児童ポルノ収益化に関与する権限がなかったとして訴訟からの除外を申し立ててはいたのですが、過去にMindGeekの運営に介入していたと認定されました。詳細は定かではありませんが、介入できた以上は、問題の動画の収益化にも責任が認められる余地があるのだろうということで訴訟から排除されなかったようです。

 おそらく判決がVISAに有利な結果になったとしても、(クレジットカード会社が)このように巻き込まれること自体を敬遠してきているというのが昨今の流れかなと認識しています。

「誰が」も「何を」もわからない――大きな問題点


クレジットカード業界の仕組み(画像は山田議員のYouTubeより)

―― 昨今のクレジットカード会社の規制について議員が把握されていることを教えてください

山田議員 まず背景として「誰がどのように規制に動いているのかわからない」という問題があります。一口にクレジットカードといっても、クレジットカードブランドだけでなく、コンテンツ提供者とカード決済の契約をしている「アクワイアラー」や決済代行業者といった中間業者が多くいます。

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 コンテンツ提供者から規制について相談を受けた際「国際クレジットカードブランドの意向だ」とよく聞きます。しかし、国際クレジットカードブランドに話を聞くと「自分たちはあくまで決済のネットワークシステムを保証する存在なので、個々の取引の内容は知らない」と答えています。

 アクワイアラー側も、先ほど言ったように決済代行業者などの中間業者が多くいてどこからの話なのか分かりづらい。また、コンテンツ提供者もクレジットカード会社側との軋轢を恐れて、実名でどのような要請があったのかを明かしてくれませんでした。

 最近は急に決済停止になるケースが出てきて、「こういう文章が来ました」といったことが少しずつ明らかになってきました。しかし、それも明示的にどこから来たのかはあまり分からないんですよね。

最も厄介な要請は「自主規制」?

山田議員 規制の方法についても、クレジットカード側がコンテンツ提供者に特定の表現について具体的な規制を求める場合もあれば、コンテンツ事業者に対して自主規制を求めてくる場合もあります。実は自主規制を求めてくる方が厄介で、明確な指摘がない分「これもやばそう、あれもやばそう」と規制する範囲が広がってしまいます。

 もしかしたら、アクワイアラーの一部が膨らませた規制案がコンテンツ提供者に提示されている可能性もあります。そうなると、国際クレジットカードブランドは「そんなことは言っていない」となります。こういう表現がこういう理由でダメ、というのがどこからの起案なのかが分かりにくいんです。

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小山弁護士 事務所では「最近クレジットカード会社から『禁止商材の取扱が判明した場合は、即刻お取引を停止することがあります。また、制裁金等が課される可能性もあります』というアナウンスをされた」といった相談も受けています。

―― 制裁金の話も出された上で規制を迫られたら、コンテンツ提供者としては広い範囲での規制を行わざるを得ないですね。

山田議員 ちょっと踏み込んだ話をすると、今回の規制はタイトルがダメ、となっているんです。でも、本当に問題視すべきはコンテンツの中身なんですよね。もちろん、他人の権利利益を侵害する違法性があるコンテンツは取り締まられるべきですが、タイトルやキーワード自体を規制するのは何を取り締まろうとしているか分からないです。

 コンテンツの中身やパッケージに何の問題がないとしても、外側に書かれた商品名だけを見て、取引させない、取引を停止するというのは完全な言葉狩りでしょう。

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