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3グラム食べただけで死に至る猛毒キノコを、ある生き物に与えてみたら…… 興味深い実験結果に「むしろすごい」「勉強になる」(1/3 ページ)

キノコも昆虫もカタツムリも、みんな興味深くて面白い。

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 最近増えているという猛毒キノコ・カエンタケを探し回り、ずっと気になっていたことを実験して確かめていく様子がYouTubeに投稿されました。動画は記事執筆時点で94万回以上再生され、1万1000件の高評価を獲得しています。

猛毒カエンタケをカタツムリに食わせると…

猛毒キノコ・カエンタケで確かめたいことがある投稿主

 動画が投稿されたのは、YouTubeチャンネル「うごめ紀」。投稿主のうごめ紀さんは、昆虫や冬虫夏草(虫に寄生するキノコ)を中心にさまざまな生物を探し、写真や動画を撮影している生物系YouTuberです。

 以前はネットカフェでトコジラミを発見、どうすれば人はトコジラミに勝てるのか体を張って実験した様子を見せてくれました(関連記事)。今回は猛毒のキノコ「カエンタケ」を探し、ある実験をするようです。

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カエンタケを探せ!

 カエンタケは夏~秋に生える猛毒のキノコ。その毒は触れるだけで皮膚に炎症を起こし、3グラム食べただけで死に至るというものなのだとか……!! うごめ紀さんは今回そんなカエンタケについて確かめたいことがあるため、関東地方のある公園にカエンタケを探しにやってきました。


触れても食べてもいけない猛毒キノコ・カエンタケ

 うごめ紀さんによると最近はクヌギやコナラなどの広葉樹がナラ枯れ菌という菌にやられて枯れ、多く切り倒されているとのこと。その原因はナラ枯れ病菌を運んで広葉樹に感染させてしまう「カシノナガキクイムシ」という5ミリくらいの昆虫で、最近この昆虫がとてつもなく増えているのだそうです。

 その原因ははっきりしないものの、里山が管理されなくなってきたことからカシノナガキクイムシが好む太い木が増え、その結果、増えたのではないかという説もあるのだとか。

 カエンタケはナラ枯れ菌にやられて枯れかけた木の根元に生えることから、ナラ枯れ菌にやられる広葉樹の増加に合わせて全国的に増えているとのこと。しかし実際に探してみると、意外と見つからないようです。

 うごめ紀さんによるとまだ仮説ですが、カエンタケはナラ枯れ菌にやられた木から生えるものの、木(木材)を分解する「木材腐朽菌」ではなく、ナラ枯れ菌もしくは他の木材腐朽菌に寄生する「菌寄生菌」だと考えられているそうです。

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木ではなく菌に寄生する説があるのだとか

 そのため倒れた木ではなく、ナラ枯れ菌にやられているけれどやられきっておらず、ギリギリ生きている木の根元を探していきます。100本くらい見回っても見つからない様子を見ると、全国的に増えているといっても心配しすぎることはなさそうです。

 その後2日探し、ようやくカエンタケの幼菌を発見しました。しかし今回の実験には成熟したカエンタケを使いたいこと、成熟するまでに1~2週間かかりそうであることから、水分を与えて育ててみることに。


2日かけてようやくカエンタケを発見しました!

 1週間後様子を見に来ましたが、残念ながらカエンタケは全く成長せず未熟なまま終わってしまっていました。しかし周辺にカエンタケがたくさん生えていたため、さらに1週間待ち、大きく成長していた1本を採取して持ち帰ることに成功したのでした。


念願のカエンタケをゲットです

 なおうごめ紀さんは素手でカエンタケに触っていますが、人によっては炎症を起こす可能性があるため、絶対に素手で触らないようにしてくださいね。

カエンタケを使った実験

 うごめ紀さんが今回確かめたいこと、それは「カエンタケを食べる生き物がいるのかどうか」ということです。普通、キノコはすぐに昆虫やナメクジ、小動物に食べられてしまいますが、カエンタケが虫に食われた痕をほとんど見たことがないのだとか。

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カエンタケを食べる生き物がいるのか調べたいとのこと

 そのため今回はキノコを食べる昆虫・ゴミムシダマシとカタツムリを捕獲し、カエンタケを与えてみることに。捕獲してきたゴミムシダマシをカエンタケと同じケースに入れて3時間ほど放置してみましたが、カエンタケを食べた様子はありませんでした。


キノコ食のゴミムシダマシもカエンタケは食べないようです

 次に、捕獲してきたカタツムリとカエンタケを同じケースに入れてみることに。しばらく観察するとカタツムリは少々カエンタケをかじった程度。食べて「おいしい」と思ったのならもっと食べてもいいはずです。


なんでも食べるカタツムリにカエンタケを与えると

少しかじってみた形跡が

 そこで次は狭いケースにカタツムリ2匹とカエンタケを入れ、12時間放置してみましたが……一口かじった形跡はあるものの、カタツムリはほとんどカエンタケを食べていませんでした。


カタツムリを2匹にして、ケースを狭くしてみると……

ちょっとだけ食べてやめたようです

 うごめ紀さんによるとカエンタケの毒はカビ毒の類いであり、カタツムリにはカビ毒を嫌がる傾向があるようです。そのためカエンタケからキノコの香りがするからかじってはみたものの、すぐに食べることをやめたのではないかとのことでした。皆さんもカエンタケを見つけても触ったり、かじったりしないようにしてくださいね。

 今回の実験結果から、新鮮なカエンタケを食べる動物はあまりいないのかもということが分かり、「やっぱ食わないんだ……」という一種の感動を覚えたうごめ紀さんなのでした。なおカエンタケを食べたカタツムリはその後、何もなかったかのように元気にしているとのことです。

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「素晴しい研究者ですね」「ちゃんと食べてから好き嫌い決めるのえらい」の声

 動画には「素晴しい研究者ですね」「ここまで『オレ、毒あります。』と体言してるのはありがたい」「ちゃんと食べてから好き嫌い決めるのえらい」「ちょっとかじってみても全く毒にやられないカタツムリがむしろすごい」「好んで食べないとはいえ毒は効かなそうなのか…勉強になるなぁ」といった、多数のコメントが寄せられています。

 うごめ紀さんは世界中を飛び回り、撮影した昆虫や冬虫夏草などの動画や写真を同チャンネルとX(旧Twitter/@UgomekiMushi)で公開しています。

カエンタケに触れるとどうなるのか実験してみた
セミを海に投げると、大型魚が釣れまくる
「兼六園」にヤバい外来種の昆虫が大発生してる
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