YouTubeチャンネル「うごめ紀」に牧場にいるカッコいい昆虫を掘り出す様子が投稿され、「動く姿を見られて感動しました」「思った以上にかっこいい虫だった」と驚きの声が寄せられました。記事執筆時点で動画は27万回以上再生されています。
投稿主のうごめ紀さんは、昆虫や冬虫夏草(虫に寄生するキノコ)を中心にさまざまな生物を探し、写真や動画を撮影している生物系YouTuber。以前には意外な場所で白いヨコエビを発見し、その神秘的な姿が注目を集めました(関連記事)。
そんなうごめ紀さんが今回狙っているのは、本州ではほぼ絶滅状態になってしまっているという絶滅危惧種の昆虫。その昆虫は動物のフンを食べて生きている糞虫(ふんちゅう)の1種で、“ある条件”を満たす牧場でしか見られないのだとか。
その条件とは、ウシの駆虫剤として「イベルメクチン」を使っていないこと。イベルメクチンはフィラリアをはじめとした寄生虫に効果があり、ウシの健康を守るため全国的に使われている薬です。
しかしイベルメクチンはウシにとっては良い薬である一方、寄生虫以外のウンチを食べる一部の昆虫にも大きなダメージを与えてしまうという側面もあるとのこと。その普及とともに今回探している昆虫は数を減らし、絶滅寸前の状態に追い込まれてしまったのだそうです。
うごめ紀さんが訪れた牧場の牛舎ではイベルメクチンを少々使用しているものの、放牧することが決まったウシには1カ月以上前からイベルメクチンを使用していないのだとか。そのため放牧場にはイベルメクチンが検出されず、その結果ウシのフンを取り巻く豊かな生態系が維持されているといいます。
牧場のオーナーに許可をもらい、ウンチに触れるために手袋をはめ、ピンセットやスコップを装備し準備完了。いざ、昆虫探しスタートです。
うごめ紀さんによると、今回探している昆虫はウンチの質にこだわりがあるとのこと。出したてで水分の多いウンチや、逆に乾燥しすぎたウンチにも集まらないため、ちょうどいい感じのウンチを探さなければなりません。道中掘ったウンチからマグソコガネやオオセンチコガネなど、多くの糞虫を発見したうごめ紀さんは、都度その特徴を分かりやすく説明します。
そしてついにちょうどいい感じのウンチを発見。ピンセットで穴を掘りだすと、今回のターゲットである「ダイコクコガネ」を無事に発見、捕獲することに成功しました! うごめ紀さんですら人生で初めて見たというダイコクコガネは、まるでカブトムシのような大きなツノを持っていて、その体はツヤツヤと輝いています。
手袋を装着していたものの、憧れていた虫のため素手で触ることにしたうごめ紀さん。これは確かに手が少々ウンチ臭くなっても実際に目にしてみたい、触れてみたくなるようなカッコよさです。
ダイコクコガネは地面を掘るすさまじいパワーを持っており、地中に20〜30センチもの穴を掘ってその中に卵を産むのだそうです。メスにも小さなツノがありますが、オスの巨大なツノはオス同士の戦いのために使われているといいます。
現在の日本には大量のフンをする野生の草食動物が生息していないため、ダイコクコガネはウシやウマといった大型の草食動物が暮らす牧場に依存して生きているとのこと。かつては当たり前に見られる昆虫だったダイコクコガネが見られる環境が残り、続いていくことを願ううごめ紀さんなのでした。
うごめ紀さんはYouTubeチャンネル「うごめ紀」とX(Twitter/@UgomekiMushi)に、昆虫と冬虫夏草をはじめとしたさまざまな生きものを探したり、観察したり、食べてみたりする動画を投稿しています。
画像提供:YouTubeチャンネル「うごめ紀」
(三日月 影狼)
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