須田剛一×コミックビーム 異端と異端のコラボが産んだ「暗闇ダンス」は“狂人の作ったテーマパーク”:須田剛一・奥村勝彦インタビュー(2/3 ページ)
カフカの「城」と「シャドウ オブ ザ ダムド」
―― 「暗闇ダンス」の構想はどこから?
奥村 最初に須田さんの方から、カフカの「城」のイメージで何かやりたいんだ、と聞いて。
須田 そうですね、はい。
奥村 あの小説って、カフカなんで短いけれども……あ、いや、結構あったっけ。これぐらいあったよな(手で厚さを確認しながら)。
―― 「城」は長いですね。
須田 しかも未完(笑)。
奥村 で、どういう話かっていうと、「城」というのがあって、そこに呼ばれていった主人公が、なんとか行こうとするんだけど、なかなか辿りつけずにあちこちぐるーっと回るハメになる――みたいなやつで。それを聞いて、ああ、そういうの面白そうだなと。
―― 「暗闇ダンス」も確かに、ワタルがお城(王国)に呼ばれる話ですね。
奥村 あの小説も結局、読んでいる読者は「あれ? どこ連れてってくれるの? えっ、えっ、えっ?」みたいな感覚なのよ。だから(暗闇ダンスも)1回目読んでも「うーん、これは一体どこ行くんだろう、よく分かんない」という意見を持たれるとは思う。正解はないんだよ。
―― 「暗闇ダンス」のシナリオは、「シャドウ オブ ザ ダムド」を作った時の第二稿(※)が元になっているとも聞きました。でも、見比べてみると、「ダムド」とはけっこう違いますよね?
須田 全然違いますね。「ダムド」は最終的に採用したのが第五稿なんですけど、第一稿から第五稿まで全部違うストーリーなんですよ。初期は「KURAYAMI」っていうタイトルで、これはまさにカフカの「城」がモチーフでした。モチーフというか、カフカの「城」を自分なりにアレンジして、完結させるために書いたシナリオだった。
―― カフカの「城」が「KURAYAMI」になり、それが「暗闇ダンス」になったという流れですね。
須田 ロードムービーっぽいところというか、ワタルたちが1つ1つの街をゆっくりゆっくり進みながら、そこでいろんな人とめぐりあって、いろんな物語が起こっていく――っていうのは、まさに当時の「KURAYAMI」に通じる部分ですね。
―― そういえば、ワタルとバケモノのやりとりを見ていて、「ダムド」のガルシアとジョンソンにちょっと似てるなと思いました。
須田 あれ(バケモノ)は何なんでしょうかね。最初はいなかったですよね。
奥村 いなかった、いなかった。
―― え、いなかったんですか!?
須田 第1話を書いていくうちに、突然出てきたんですよ。
奥村 あれがいないとほとんど主人公のモノローグになっちゃうんだよね。それにやっぱり、ロードムービーには相棒がいるよな、みたいな話になって。
須田 そうそう。バディものが書きたくなって。
奥村 じゃあ誰よ、っつったらバケモンが出てきちゃった。
―― あれは結局、ええと、何者なんですか、って聞いちゃっていいのかな。
奥村 「実はこうなんじゃないか」というのは一応あって。まあ作ってる本人が「実はこうなんじゃないか」っつーのもヘンな話だけど(笑)。アイツに関してはどこかの段階で、ある程度決着はつけることになるだろうな。
「本能本質を開放する場」としての「暗闇ダンス」
―― バケモノと並んでよく分からないのが、タイトルの「暗闇ダンス」です。1巻の最後でやっとそれらしきシーンが出てきて、そこでは「本能と本質を知る場所と時間」って説明されていますよね。
須田 あの言葉通りではあるんですよね。いつでも引き出せるようなものではなくて、ある瞬間に突然訪れる、本能本質を解放する場。そういう意味合いのものを「暗闇ダンス」という言葉に込めてます。
―― 作中では野外レイヴのような形で描かれてますよね。例えば須田さんの中で、あれに近いモノを味わったことってありますか。
須田 うーん、例えば高校の時に、夜中にみんなで集まって、スクーターで戸隠のあたり(長野県)まで行って山の中で騒いだりとか。そういう時の楽しさって、言葉じゃなくて、その瞬間だけの出来事なんですよね。それをまた来週やろうって言っても絶対できない。
奥村 沸いて出てこなきゃダメなんだよな。
須田 そうなんです、そういう時の一体感だったり、そういう時に出てくる、何か脳内物質みたいなものとか。それが「暗闇ダンス」という気がします。
奥村 目的も何もなく、その場のその場のアドリブを重ねていった結果、それが何か祭りみたいになるのってめちゃくちゃ気持ちいいし、それを経てない若人ってのはオレ、ダメだと思う。
須田 (笑)
奥村 かと言って、毎日そういうの目指してグデグデやるのも、それもまたつまんないんだよね。まず日常があって、どっかの段階でそういうのをポーンとやるみたいな。祭りって本来そうだったんじゃないかな。1年間ずーっと野良仕事やって、つまんねえつまんねえつまんねえ……そらつまんねえよ。でもこの夜だけは荒れ狂ってやる、みたいなさ。
ワタルが「葬儀屋」である理由
―― ロードムービーと言えば、今回はバイクじゃなくて霊柩車なのに意表を突かれました。
須田 そこは昔、自分が葬儀屋をやっていたということもあって。
―― 葬儀屋だったんですか!?
須田 1年弱くらいですけど、ゲーム業界に入る直前まで葬儀屋をやっていたんです。たまたまゲーム業界に入れたのでこちらに来てしまったんですけど、本当に「この世界(葬儀屋)で生きていく」って腹をくくっていたこともあって。自分にもしもう1つの人生があったら――というのをワタルに投影しているところはありますね。
―― ワタルも不思議なキャラクターです。
須田 死者と対峙した時に、その死に対して自分の中で1つ1つ決着をつけていく。その“潔さ”みたいなものは、ワタルを描く時のキーワードになっています。ワタルについては奥村さんの中にもはっきりしたイメージがあって、自分の中でちょっとワタルがグラついた時は、奥村さんの方から意見を出してもらったりして、そこでもう1回、ワタルのイメージを固めていく。その作業は毎回、各話ごとにやってますね。
奥村 ワタルは1回、バイクで300キロ出して死にかけていて、今はリセットされた状態。その真っ白な中でいろんなモノを見ていくことで、少しずつリアクションが変わってくる、みたいな感じにできるといい気がしますね。“成長”という言い方をしちゃうとなんだか少年誌っぽいんですけど、経験値積んだら人間変わるよね、っていう。
―― ワタルの笑うシーンってかなり少ないですよね。その中で、車の中で、満面の笑みで歌を歌っているシーンがすごく印象に残りました。
須田 「熱き心に」ですね。
―― ああ、こんな一面もあるんだと。
奥村 クルマに乗って何か1つ物事の区切りがあって、そこで鼻歌を歌ってる状況ってのは、まあ笑顔だよね。やっぱり笑っててほしいよオレは。
須田 多分すごく油断してる瞬間ですよね。
奥村 しかも歌っているのがベッタベタの……。
―― 小林旭。
奥村・須田 「北国の~♪(歌い出す)」
―― しかもバケモノと2人で。
奥村 マイナーな趣味なバケモンだよな(笑)。
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