“君のそばにいないよ”芸人・永野のケミカル感満載DVD「Ω」 「これが本当の気持ち悪さだ!」
オーガニックな時代にドラッキーなアシッド感。
「ゴッホとピカソに捧げる歌」などのネタでブレイクしたお笑い芸人、永野。その完全撮り下ろしDVD「Ω」が5月18日にリリースされた。
発売を賭けて実施した公約「1000枚の事前予約」をクリアしてリリースに至ったこのDVDは、GLAYの楽曲「everKrack」のMVなどでも知られる清水康彦さんがディレクションした一作。永野さんいわく、「どっかの劇場で撮って、特典映像付けていっちょ上がり、みたいなよくあるお笑いDVDにはしたくなかったし、それなら出す意味がない」と、いわゆるお笑いDVDとは一線を画すものだという。
「4000円も出して買ってくれた方たちがどういうリアクションしてくれるんだろうって、いい意味でワクワクする」と話す永野さんにぶっちゃけ話を聞いてみた。
「俺って実はダークであれだぜ」という訳じゃない
―― 事前予約1000枚をリリース条件にしたDVDがついに出ましたね。
永野 僕、以前にもDVD出したことがあるんですけど(編注:2009年にCCREからリリースされている「目立ちたがり屋が東京でライブ」)、高校生のバンドのデモテープかってくらい売れなくて。僕も(事前予約)1000枚行かないと思ってたんですよ。“話題作り”で終わるのかなって。そうしたら行ったんで、うっしゃーって(笑)。そのころよりテレビに出ているので、タイミングもよかったなと。

―― なぜDVDを出したかった?
永野 テレビもあるし、YouTubeなど配信の時代みたいですよね。僕も、「パッケージを買ったりするの古いですね。今は配信ですよ」みたいなことを誰かに言われたんですが、僕自身はそれにあまり納得できなかった。映画もDVDで見るより映画館で騒々しい中で見ると記憶に残る方ですから。
衝撃発言するとDVDにはそんなに興味なかったですけど、何となく、テレビや配信にない力強さみたいなのをDVDでやったらいけんじゃないかなって。
あと、年齢的にはあまり配信に乗り切れてないんです。配信はちょっと無責任じゃないですか。ヤバかったら消せばいいから……何か配信批判みたいになってるじゃないですか!
―― 何も言ってませんよ。
永野 DVDにしたのは“金かかってる感”と”残る感”ですかね。やっぱり、残る方がいい。でも、じゃあそこで自分はゴッホやラッセン以外の何かを出したいとも特に思ってなくて。結構言われるんですが、何かテレビで出せないようなものを機会に乗じて出したんじゃないんですよ。「俺って実はダークであれだぜ」という訳じゃない。もともとのを出しただけ。
―― 永野さん自身はΩをどんな作品だと思いますか?
永野 ナチュラルな気持ち悪い作品。最初企画を出したとき、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」とか80年代のムードが出れば面白いねと監督に言ってたんだけど、ふたを開けたら暗い感じだったので、「あ、オレ暗いやつなんだ」って(笑)。ネタがあんな羅列されてると気持ち悪くなってきて。だから、キモ芸人とか呼ばれてるやつに言いたいのは、「これが本当の気持ち悪さだ!」と。
Ωは「大人たちの真剣な遊び」
―― Ωの監督は清水康彦さんですね。永野さんは過去に清水監督の手掛けたGLAYの「everKrack」のMVにも出演されてました。
永野 清水監督のおかげなんですよ。本当に。清水監督とはeverKrackから交流があるんですが、去年清水監督の結婚パーティーがあって、「僕の友人にも永野さんのファン多いから」って呼んでもらって。そこに監督の友達の金子(ノブアキ)君もいて。
普通のお笑いとかかじってる人とは何か乗れないというか、自分の予想通りのものしか生まれなくて、無理だろうと思いつつDVDの話をお願いしたら二つ返事で引き受けてくれて。これは滑っても楽しいだろうなーって。
―― 清水監督のすごいところは?
永野 手前みそですけど、めっちゃ大ファンなんですよ、僕の。僕のネタが「は? 何今の?」と受け止められるところを全部楽しんでくれる人。あとは、めっちゃテンション高くて「お゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!゛」とか叫びながらそのときのアイデアをガンガンやる。監督すごいのはノーって言わずに乗ってくれるんですよ。監督がファンなばっかりに監督の周りのスゴイ人も乗ってくれて。冷めた人が一人もいなくて。Ωは「大人たちの真剣な遊び」ですよ。
everKrackがカオスな感じで、僕がΩでしたかった基になっているんですけど、everKrackから5年たって、everKrackの2016年バージョンをやってほしいと思ったのはありますね。
僕は、昔から、ファンとの距離をめっちゃほしい人
―― ブログでは、「購入した際にはΩの内容の画像・映像をSNSなどで流さないでください」と何度も告知されていました。これは内容が過激だから?
永野 いや、僕が映画などの予告など事前情報をあまり欲しないタイプで、知らない状態で見てほしいというのが1つ。ぶっちゃけると、これ俺たちが作ったもんなんで、お前のもんじゃねぇぞ、と。そうした映像をSNSなどに流されるのにはムカつきもあって。
僕は、昔から、ファンとの距離をめっちゃほしい人。最近テレビに出だしたら勘違いするやつがまたいっぱい出てきて。僕は、その人たちがいなくても全然構わない。「君のそばにいるよ」みたいな芸人は多いですけど、僕は「君のそばにいないよ」って芸人。だからTwitterもエミネムを意識して誰もフォローしてないし(笑)。
好きなタレントを見てもがっかりしたくないから話しかけない派なので、ネットで(距離が)近くなるのは嫌。そういうコミュニケーションする芸人も増えてるじゃないですか。だから真逆を行って超距離をとる、このオーガニックな時代にケミカル感満載のアプローチ。
―― ほとばしるドラッキーなアシッド感。
永野 人が嫌い、というよりは、自分がそういうの好きなんで。そもそもお笑いなんて、面白かった〜、チャンチャン、でいいのに、いちいち深く言う人が嫌い。そんなやつはΩのDVDパッケージの角ぶつけんぞと。
―― 1度クールダウンしましょうか。永野さんが刺激を受けている人ってどんな方がいますか?
永野 昔から好きなのは映画「キャビン・フィーバー」や「ホステル」のイーライ・ロス監督。マジ天才だと思ってて、ホステルは普通のホラーと違って笑えた。才能がなかったらひどい、で終わっちゃうんですけど、イーライ・ロスはひどすきておもしろい。あと、ちゃんとキレイな女性出して裸も出てくるとか、そういう基本を押えてるのも信頼が置ける(笑)。下手な芸人よりコメディのセンスある。唯一会いたいかも。
―― イーライ・ロス監督の「グリーン・インフェルノ」は先日BD&DVDも発売されましたね。
永野 そう! 食人族を扱っているから今の時代だと日本で上映されないかなとも思ってたんですが、やるって聞いておおっ! って。昔は、別の監督ですけど、食人族を扱った映画が年間興行のトップ10に入ってるんですよ。当時はそんなおめでたさがあった。今は最悪の時代だ! 風俗とかも行けないし! 最悪だ!
そういえば、Ωの打ち合わせのとき、Badのころのキレッキレなマイケル・ジャクソンの「ムーンウォーカー」っていう超カルトな映画を流して、「こういのがいい!」って言ってたら訳分かんなすぎて一回流れたんですけど、やっぱり、今って何か世間のムードが深刻で、リアルな時代だから、何か夢があるのがいいって思うんですよね。
―― うまくつながった! ところで、永野さんの今後の目標はありますか?
永野 僕は「文化逃げ」と呼んでいるんですが、文化人に逃げるという最低の作戦を考えているんですけど(笑)。あ、イーライ・ロスの話を踏まえると、和テイストじゃないホラー映画が撮りたいのかも。
―― 最後にひとことお願いします
永野 じゃ、「上から言うのはやめろ」。僕も文句ばっか言うけど、下からムカついたことを言う。上から言うのは最高にダサイと思うんですよね。「神様かお前は!」ってなる。それ以外は好きなことやればいいんじゃないですか。想像を絶するくらい引きこもってもいいと思いますよ。
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