ふくろうだけじゃない、タカもいるよ! 奈良にオープンしたふくろうカフェに行ってきました(1/2 ページ)

ふくろうと触れあったり、ハリスホークを腕に止まらせたりできる「ふくろうカフェならまち」を訪問。園長さんにふくろうの魅力を聞きました。

» 2016年08月06日 11時00分 公開
[谷町邦子ねとらぼ]
ふくろうカフェならまち ふくろうカフェならまち。奈良町の墨絵作家、糸井忠晴氏の手造り看板が目印

 奈良県に7月、ふくろうなどの猛禽(もうきん)類16種18羽(チョウゲンボウ、ハリスホーク含む)を擁し、面積50坪と日本最大級のふくろうカフェ「ふくろうカフェならまち」がオープンした。

 規模が大きいだけでなく、ふくろうをはじめさまざまな猛禽類に触ったり、エサをやったり、飛行するハリスホークを腕に止まらせるフライト体験ができる。お店を訪れ、園長の佐藤由香さんに話を聞いてきた。

カフェの概念を覆す、広々としたスペースと古都の趣

 「ふくろうカフェならまち」があるのは、奈良公園にほど近い、昔ながらのお店と今時のカフェが混在する商店街「もちいどのセンター街」。店内は広く奥行きのある空間で、片方の壁にはふくろうが間隔をとって一列に並び、反対側にはベンチが置かれている。カフェの奥にはふくろうやタカが羽を広げ運動するためのスペース、フライトルームがある。テーブルとイスという、一般的に想像されるカフェとは違う、広々とした雰囲気だ。

 佐藤園長は、地元の奈良で静かで駅から近いところ、そしてふくろうやタカがのびのびと運動できるフライトルームを作るだけのスペースがあるところ、そのような条件での場所探しはなかなか難しかったと語る。「50坪もの敷地を見つけるのには3〜4年かかりました」

 広々としたカフェにするために、あえてテーブルは置かず、来てくれた人には歩いて自由に見てもらう。飲み物はカフェ内に設置された自動販売機で買い、疲れた人やふくろうを腕に乗せたい人だけ、ベンチに座ってもらうことにしているそうだ。

 内装は奈良の昔ながらの街の雰囲気に馴染む和風に。ふくろうの近くには奈良町の墨絵作家、糸井忠晴氏が描いた奈良の街並みの絵を展示し、伝統ある街並みの趣と融合するような店舗作りを心掛けた。「絵のどこかにふくろうがいるので、ぜひ探してみてくださいね」と佐藤園長。地元の作家との遊び心あふれるアートも楽しめる。

ふくろうカフェならまち 広々とした店内、内装は和風

夜行性、だけど元気なふくろうたちの謎

 フライトルームで、カラフトフクロウの「ピカソ」が羽ばたく様子を見せてもらった。本来ふくろうは夜行性。なぜ日中なのに元気に動いているのだろうか。

 佐藤園長によると、カフェのふくろうは人間の手で繁殖し卵から育てたふくろうで、生まれたときから人間と一緒に暮らしているので、生活サイクルがほぼ人間と同じなのだという。ふくろうたちの1日のサイクルは、夜、エサをもらった後ゆっくりと過ごし、朝には元気に園長らを迎え、そして昼間はスタッフやお客さんと遊ぶ。15時ごろに昼寝のように30分ほどウトウトするふくろうもいるが、昼間ずっと寝てるふくろうはほぼおらず、エサがもらえる夕方ぐらいになるとみんな目が冴えてくるという。

 確かにもともとふくろうは夜行性だが、昼間は森でゆっくりしていて、夜、エサを捕るときはじっと耳をすましていて、動物が動いたわずかな音を拾って、目で確認して捕りに行くため、獲物を発見したときくらいしか動かない。カフェのふくろうは夜、エサを狩りに行かなくても満腹になるため、じっと休んでいるのだそうだ。

遊んだり、ついてきたり、表情豊かなふくろうたち

ふくろうカフェならまち 佐藤園長の肩にのるカラフトフクロウのピカソ

 一般的にふくろうなどの猛禽類はエサで釣って調教するという。しかし、実際にふくろうをヒナから愛情をもって育てた佐藤園長は、ふくろうも人間に感情や愛情を表すことがあるのではないかと思っている。

 例えば、名前を呼ばれたらそちらの方を向く。たまたまだと言う人もいる。自分の名前を覚えているのではなく、音を覚えているのかもしれない。名前が呼ばれるとエサを連想するのかもしれない。だが、反応はしているという。

 また、自分を育てた人間からはエサを食べるけれど、他の人がエサをやっても食べないということも。人間の顔を覚え、自分がヒナから育てられたことも理解しているのではないか、と園長は思っている。

 そして、1日中一緒にいると、感情を表情や態度で見せるようになるという。園長はふくろうの表情から、機嫌の良し悪しだけではなく、「いたずらしようとしている」「遊んでほしい」などさまざまな感情を読みとることができる。特に若いふくろうは表情の変化が豊か。カフェのふくろうは若いので、表情に変化があるという。中でもカラフトフクロウは特に人なつっこく、スタッフの肩の上にのったり、後ろをついてきたりするそうだ。

ふくろうカフェならまち カフェのロゴにもなっているユーラシアワシミミズク「ミミ」とロープのおもちゃ

 ふくろうの遊びはくちばしや足を使う。ロールペーパーを足で押えながら少しずつちぎったり、ナイロン製の袋などカサカサ音がなるものを足でつかんでくちばしで取ろうとしたり、大型のふくろうの場合は、ロープで作った犬用のおもちゃを足でつかんで遊ぶそうだ。「動くものが好きなんですよ。たぶんエサをとる練習なのだと思います」と園長は推測する。

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