「漣さんは現場にいた」松居大悟監督、新作オファーを受けるまでの葛藤と使命感「バイプレイヤーズ」インタビュー(1/3 ページ)
おじさんたちのワチャワチャ再び
田口トモロヲさん、松重豊さん、光石研さん、遠藤憲一さん主演のテレビ東京ドラマ24「バイプレイヤーズ〜名脇役の森の100日間〜」が、1月8日金曜日24時12分から放送されます。
「バイプレイヤーズ」は2017年1月の第1シリーズから“業界視聴率30%”と話題になり、深夜番組にもかかわらず豪華キャストが続々と登場することから、「テレ東なのに、予算は大丈夫なのか?」と視聴者に心配され、こわもてのおじさんたちがワチャワチャするかわいさに、多数の熱いファンを集める人気シリーズ作品。
2018年2月より放送された前作の第2シリーズでは、撮影終盤にメインキャストの1人である大杉漣さんが急逝。大きな悲しみとたくさんの困難を乗り越えて完成した作品に、多くの視聴者から感動と感謝の声が上がりました。
それから約3年、第3シリーズとなる新作ドラマと今春公開の映画「バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜」が決定。第1シリーズからメイン監督を務める松居大悟監督に、ドラマ・映画の見どころや現場の様子、新作のオファーを受けたときの気持ちなど、たっぷりお話を聞きました。
――新シリーズ「バイプレイヤーズ〜名脇役の森の100日間〜」では、バイプレウッド撮影所を舞台に100人以上のキャストが登場するそうですね。豪華すぎるキャストの大集合も話題ですが、ファンからはおじさんたちのかわいいワチャワチャに「また会える!」という点に、期待が集まっています。
松居大悟監督(以下、松居) かわいいかどうか僕らはわかりませんが、今回もワチャワチャしています。舞台であるバイプレウッド撮影所でストーリーが展開していく中、メンバーの誰かが関わったり、背中を押したり、毎回必ずワチャワチャがあります。4人でもそうだし、それ以外の名脇役や主役クラスのキャスト含め、皆さんのワチャワチャを楽しんでいただけるかと。
各話1つのスタジオにスポットが当たる形で、撮影中の作品設定が実在ドラマに限りなく寄せています。例えば、5スタでは「わたしの番です」を収録して、6スタで撮っているのは日曜夜9時放送の銀行ドラマ「大合併」。出演するのもプロの役者で撮影するスタッフも本職の人、プロが本気でパロディーを作って、「この人、本家にも出てたし」もあって、シリーズを見たことがない人でも楽しめると思いますね。毎回、核となるテーマがあって、みんなが基本的に「良い作品にするため」と空回りしたり、ぶつかり合ったり、なんかズルいことしたり、めちゃくちゃなんだけど、なんか面白い。
シリーズファンの一部からは「こんなにキャストが多いのは、ちょっと」とか「この人はバイプレイヤーじゃない」みたいな意見もありますが、「大丈夫だ」と言いたいですね。とにかく第1話を見てくれたら、いつも通り“3回目の沼”にハマるよ(笑)と思っています。
――これまで松重さんのエプロン姿や、遠藤さんとハムスターのハム恵など、シリーズファンが萌えるポイントがありましたが、今回は……。
松居 設定をこちらで決めている部分もありますが、“萌え”を狙っているわけではなくて、ファンの皆さんが見つけて喜んでくださる感じなんですよ。今回も下ネタを言うトモロヲさんとか、血まみれになる松重さんとか、意外とふざける光石さんとか、それぞれ“らしい”ポイントがあるので、“萌え”を見つけてもらいたいです。
ちなみに遠藤さんに関しては毎回テーマがあって、第1シリーズのときは「青いダウンが着たい。あとニット、首までのこの白いのがいい。ずっとこれ以外、着たくない」っておっしゃって、衣装さんが青いダウンといろんな色のタートルネックを用意しました。第2シリーズでは「とにかく女装がしたい」と言うので、「じゃあ『島ママ』って設定で、どうですかね?」と言ったら、「それがいい」って。
――そういえば、第1シリーズの9話で栗卒村のソックリさん役、スナックのママが同じような女装姿でしたよね?
松居 あそこでハマったらしく「ああいうので。あれをもうちょっとやりたい」と。今回は「とにかくフィリピンに行きたい」と言うので、「じゃあ、フィリピンに行きましょう」って……毎回のテーマがどこから来たのか僕らも分からないので、もうそれはかなえるしかないですよね(笑)。
ただこの状況で海外ロケはできないですから、そこは察してもらえると(汗)。
――あの遠藤さんのダウンやタートルネック、島ママにはそんないきさつがあったんですね! そして先の公開になりますが、映画の見どころは?
松居 映画はその目線で言うと、かわいいの大渋滞かもしれないですね。おじさんが大渋滞すると、それが結果として「かわいいが大渋滞」になるっていう。おじさんたちがワチャワチャする「バイプレイヤーズ」の面白さがあって、それが純粋に3倍〜4倍になってるんですよ、ワチャワチャするおじさんの人数が(笑)。ごちゃごちゃワチャワチャする「バイプレイヤーズ」の楽しさを求めている人には大満足になるでしょうし、テレ東深夜の低予算感もいいんですが映画は割としっかり作って、いい仕上がりになっています。
100人以上の役者が登場しますから単純に映画だけ見ても面白いし、見ごたえありますが、内容はドラマと地続きというか「ドラマではここで終わっていたけど、その結果どうなったか」がわかるので、ドラマを見ていたらより楽しめると思いますね。ドラマに出演した100人以上が全員出てきますから、お気に入りの人を探したり、「あれがこうなったのか!」となったり、それでちょっとだけ、ほんのちょっとグッとくると思います。シリーズの最初から見ている人は、特にグッとくるはずです。
――映画もかなり待ち遠しいですね。それにしても100人以上キャストが登場する現場は、かなり大変だったと思います。ドラマと映画は同時進行で、撮影されたのですか?
松居 映画から撮影して、その後にドラマを撮りました。「バイプレイウッドという撮影所で、2020年7月クールのドラマを撮っている」という設定の中で、「今ドラマがクランクインしました」「今、中旬の時期」「もうすぐクランクアップです」みたいな時間軸があって、それぞれのスタジオで「こういうことが起きている」を“把握しきる”のが、まず大変でした。
しかも、それを役者さんに伝える場合「今、何を撮っているのか」が、結構わかりづらい。役者さんのスケジュールに合わせて撮っているのでリアルな時間軸から飛んだりしますし、「台本ももらってないし、はて?」みたいなことを説明するのは大変な作業でしたね。
例えば、大倉(孝二)さんが「僕、なんか呼ばれたから来ました。今日、何やるんですか?」と言われも台本がない状態だから、僕が「こっちから濱田(岳)くんが来るので、こういうことをしゃべって、こういうことしてください」って。
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