全ての謎コラボにドラマがある “洋楽×サウナ”AI時代にアナログ発想がたどったルートを発案者に聞いてみた（2/2 ページ）

[小西菜穂，ねとらぼ]

ソロサウナtune女将・遠藤香さん

Q.今回の企画を打診されてどうでしたか？

私たちソロサウナtuneは日本で初めての個室サウナとして2020年12月に東京/神楽坂にて開業しました。

私たちのサウナでは寝転がってサウナを楽しんだり、好きなタイミングでロウリュをしたり、好きな音楽を聞いたりと、一人だからこそ楽しめる体験を重要視しています。

また、開業時から特にサウンドに関しては【浴びるように音楽を聞く】という事を大切にしてきました。

お客様によるアンケートによると、実に9割以上の方が無音ではなく、当店オリジナルのサウンドやお好きな音楽を聞きながら入浴されています。

この体験を底上げしようと、ソロサウナtuneは2023年4月21日よりサウンドを大幅にバージョンアップしました。

BGMは今年4月にtuneのためにフィールドレコーディングにより自ら収録した屋久島のリアルな自然の音になりました。

またBGMに合わせ3Dサウンドシステムを休憩室に導入しました。立体的に音を表現できるシステムは、まるで大自然の中にあるサウナを利用しているような演出をしてくれます。

また、BGMには自分の好きな曲を重ねて聴くこともできます。

屋久島の大自然に包まれ好きな曲を楽しみながらのサウナは、都心にいることを忘れられるような没入体験をすることができます。

この新サウンドシステム導入直後に、お声がけいただきまして、即決で是非ご一緒に！とお返事させていただきました。

フィールドレコーディングによりサラウンディングされたリアルな自然の音と、海をイメージした楽曲、彼女の美しい歌声やリアルなリリックは、サウナ室にいる一人で過ごす時間をより空間や己に没入できる体験に導いてくれると確信したためです。

Q.そもそもチルってなんなんでしょう？

日本語では「まったり」が、チル（Chill out）に近い言葉でしょうか。

常にスマートフォンで社会とつながり、神経が休まる間もない情報過多の生活を私たちは無意識に過ごしています。

サウナはご存知の通り高温になりますのでサウナ室には持ち込みできません。ひと時スマートフォンからの情報を切り離すことができる、いわば「チルい」場所です。

現代社会に生きる私たちには、都市の中で、短時間で、手軽に心身ともにリラックスできるチューニングが必要だと考えています。

今回の取り組みは、ひととき、日常から離れて、疲れた気持ちをリセットする自分だけの時間に身を委ねることができる、ザ・ベストなチル体験を導いているのではと思います。

Q.お店を訪れた人の反応

おしゃれなデザインということもあり、皆様うちわを喜んでお持ち帰りいただいています。

お客様がお聞きになっていた音楽を履歴で拝見しても、たくさんのお客様にお聞きいただいているようです。

私も体験しましたが、サウナ室で聞いていた音楽が退店後もカフェでかかっているので、入店から退店の体験がリンクしていてとても好感触です。

今回ご提案させていただいたドリンクも併設しているカフェGather by UNPLAN様のご協力の元、美味しいだけではなく世界観にリンクしているテイストになっていてお客様からも高評価を頂いております。

当店のお客様の年齢は20代19%、30代50％、40代16％、50代11％と、幅広い年代のお客様にご利用いただいております。

洋楽になじみが無かったり、SZAさんをご存じない方も興味を持っていただくきっかけになるのではと感じています。

SZAレーベル担当者

Q.サウナとのコラボ。発想はどこから？

今作のサウンドについてSZAは「概要としては少し怒っているけど、中には本当に美しくてソフトでハートフルなものもあるの。失恋のこと、迷子のこと、そして怒りのことなど」と語っており、本人にとってとてもパーソナルな作品に仕上がっております。

また、印象的な今作のジャケット写真は1997年8月に撮影されたダイアナ妃の写真にインスパイアされたと話しており「私は、彼女の”孤独感”が好きで、それを(今作で)一番伝えたかったんです」とも話しています。

そのため、SZAの喜怒哀楽、またパーソナルな経験/体験から味わった”孤独感”といった作品の世界観を最大限楽しんで頂くと同時に没入体験して頂く最善の方法/コンディションとして”サウナでの企画展開”に至りました。

Q.ずばりサウナ好きですか？

担当A「好きです！　仕事などで疲れたときには、マッサージにいくよりもサウナでリフレッシュすることの方が多いです」

担当B「このコロナ禍中で好きになりました。施設によって温度や湿度、水風呂の温度や、チルできる環境などが異なり、あちこちを巡ることができる、というのも魅力だと思います」