ドワンゴ川上会長と夏野取締役が語る「ニコニコ超会議」 10万人を「ごった煮」の渦へ(5/5 ページ)
ドワンゴの川上会長いわく、ニコニコ超会議の見どころは「何が起こるか分からないところ」。夏野取締役すら「前代未聞だよねぇ」と驚くその中身に迫る。
ニコニコ超会議のタイミングで、ニコニコ動画の次期バージョン「(ZERO)」を発表する(サービス開始は5月1日)。ZEROは“原点回帰”の思いを込めて名付けた名前。「トップページを開けた瞬間からカオスで、リロードするたび目まぐるしく変わっていた、初期の頃のリアルタイム感を取り戻していく」と川上会長は意図を説明する。例えば現在のニコニコ動画のトップページは、アクセスを分散させるために5分ごとの更新となっているが、それでは活気が失われるとして、次期バージョンではほぼリアルタイムな更新に切り替える。目指すのは川上会長いわく「油断すると何が起こるか分からない」サイト。その実現のためサーバを増設するなどかなり地道な作業をしているそうだ。新しくなる動画プレイヤーにも注目したい。
原点回帰、その先は
原点回帰のその先――ニコニコ動画は今後どこへ向かうのか。夏野取締役は、ニコニコ動画を日本のカルチャーを代表する存在として「盤石にしていきたい」という目標を掲げる。一般化をさらに推し進め、10〜30代の若い層だけでなく、40代以上のユーザーを増やしていく計画だ。ニコニコ生放送で政治家の会見をライブ配信するなど硬派なコンテンツを増やしたことで、40代以上の認知度は上がり「一部の人だけのためのメディア」ではなくなってきているが、伸びしろはまだまだあると見ている。
夏野取締役自身はニコニコ生放送で漫画「神の雫」原作者の亜樹直さんとワイン講座を開いたりしている。そこでは、ワイン通の夏野取締役が驚くほどワインに詳しい視聴者がコメントを残していく。「良い大人がやりあうというのは最高に面白い」と実感しており、「人生をエンジョイしている人はみんなニコニコ動画に来てほしいと思う」と目を輝かせる。
まだ本格的に手をつけていない世界展開も目標に据える。「世界へいくために軍資金がいるが、今はニコニコ超会議やニコファーレにお金を使いすぎてるし、海外に出ていく余裕がないかな。100億円の軍資金があれば世界をとれると思う」(夏野取締役)
一方、川上会長にもニコニコ動画の青写真を尋ねると、「うーん」と一瞬考えてからこう続けた。「長期的な戦略を持っているわけではなくて、結構場当たりなんですよね。反射神経でやっている。長期的に考えるとそりゃあYouTubeに近づくと思うんです。でもはっきりとした形では考えてなくて。世の中の大きな流れから外れたところを探すのが戦略。みんなと同じところに行かないのが戦略です。良い意味で期待を裏切り続けたい」。
ニコニコ超会議は少なくとも来年はやらない予定だという。「やるって言った瞬間に(関係者の)みんなの心が折れますね。だからそんなことは言えない(笑)」(川上会長)
ニコニコ超会議が来年開催されないにしても「毎年あっと驚くようなことをやる」という気持ちはあると、夏野取締役は明かす。「この会社の良さってそれしかないんですよ。馬鹿げたことをやり続けながらも、ニコニコ動画を死なない、しぶといサービスにしていく。投資家からは極めて評判悪いと思います(笑)が、それを続けるということです」(夏野取締役)
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