ニコ動のニコ動たる所以 「コメントアート」はこんなにも奥が深かった:ニコニコ超会議
ニコ動のコメントシステムでは、ほかのサイトでは隠れていた人が自己表現できる――ニコニコ動画の代表的な特徴である「コメントアート」に関する発表を取材してきた。
「コメントアート」とはニコニコ動画で登場するコメントの中でもひと際目立つ、装飾字幕や装飾模様のようなグラフィカルなコメントのことである。ニコニコ超会議のニコニコ学会βでは、「コメントアーティスト」として活躍するゲストを迎えた発表が行なわれた。コメントアートは意外と奥深かった。
コメントアーティストのHDAさんによると、ニコ動上のコメントは、コメントするまでの間の長さと、コメントの性格によって分類される。間が短いと「即反応」、長いと「熟慮」。冷静なコメントは「理性的」、感情のこもったコメントは「感性的」と表現される。例えば、「いい感じ」「イマイチだなあ……」は即反応であり理性的な「一言評価コメント」、「音が高すぎる、もっと○○○にしたほうがよい」は熟慮であり理性的な「短文評価コメント」と呼ばれる。「おっくせんまん!」「みっくみっくにしてやんよ!」などは即反応であり感性的な「弾幕コメント」。装飾的、絵的に表現されるコメントアートは熟慮であり感性的なコメントとして分類される。
これまで言葉での即表現が苦手だった人、安易な即反応を好まない人は、ほかのサイトのコメント仕様では自己表現できず、隠れていたとHDAさんは語る。しかし、コメントアートをはじめニコニコ仕様のコメントシステムによって、ほかのサイトでは表現できなかった自分自身を表すことが可能になった。ほかでは隠れていた多くの種類のコメントや人格が表に現れることで、バーチャル空間としての臨場感を高め、Web上の交流がリアルなものに近づいたと語る。まさにコメントアートは、ソーシャル空間の進化を現す最たる現象なのだそうだ。
コメントアーティストのデカこなさんは、コメントアートをコメントの種類「通常」「投稿者」「スクリプト」、系統「絵系」「歌詞系」「装飾系」の組み合わせで分類する。いずれもニコ動上で話題になった事例だ。特にコメントでイラストを描く絵系は、こんなにグラフィカルな表現が「コメント」だけで可能なのかと驚かされる。
ニコニコ学会ではこのほか、ニコスクリプトの使い方など制作者視点でのコメントアートを制作するコツ、「空気を読む」「(作品によっては)映像を覆い隠さない」「PC処理に負荷をかけない」といったマナーなどが語られた。これからニコ動を鑑賞するときは、ぜひコメントアートにも注目してみてほしい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ニコニコ超会議:枝野経産相、ドワンゴ川上会長らが“闘技場”に集結 「クール・ジャパン作戦会議」その全ぼう
枝野経産相などそうそうたる面々が集まった、ニコニコ超会議「ニコニコ言論コロシアム」の「クール・ジャパン作戦会議」は立ち見も出る大盛況だった。改めてその中身を振り返る。 - ニコニコ超会議:“ご家庭に配備できるロボット”も――ロボットクリエイターが作る「燃える男の未来の乗り物」
ロボット製作チームが一堂に会したニコニコ学会β「燃える男の未来の乗り物」では、陸戦型トイロボットや2足歩行型バイクなど“漢”な乗り物が披露された。 - ニコニコ超会議:誰得? それとも世紀の大発明? 未来すぎるニコニコ学会β「研究100連発」
5人の権威が100の研究成果を披露するニコニコ超会議の「第2回・研究100連発」から、気になった研究を紹介する。 - ニコニコ超会議:夢は宇宙からネギ振り生中継! ミク搭載の衛星を打ち上げる「SOMESAT」
初音ミク搭載の衛星で「宇宙ネギ振り」を目指す「SOMESAT」プロジェクトをニコニコ超会議で見てきた。 - ニコニコ超会議:超会議の宴は行き着く先もミステリー――お座敷列車「宴」のミステリートレインに乗ってきました
さて、今度はミステリートレインである。前夜の寝台特急「ブルトレ超会議号」から、場所を品川に移してミステリートレイン「ニコニコ超会議号」での出来事をお届けしよう。 - ニコニコ超会議:すいません、わたしは“ユル鉄”でした――「ブルトレ超会議号」のカオスぶりをお伝えしようじゃないか
4月28日、29日に開催された「ニコニコ超会議」に合わせて、特別仕立ての寝台特急「ニコニコ超会議号」が運行された。テツな筆者は、それは楽しみにこの日を迎えたのだが、あまりのカオスぶりにたじろぐばかりであった……。 - 「植木等」がボーカロイドでよみがえる 「植木ロイド」披露
植木等さんの声を使ったボーカロイド「植木ロイド」のCDが夏にリリースされる。 - ニコニコ超会議:鉄道パーツ、最高落札額金弐拾万円也!? しかも落札したのは女性
4月28日、29日に幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議」において、JR九州協力の下「公開解体買い付けショー」が開催された。鉄道マニア垂涎のレアものが飛び出す中、下は3000円から上は20万円まで、200人近いマニアたちが入札に興じた。 - 飛んでみた:見ろ、人がゴミのようだ!? 「ニコニコ超会議」をユーザーが空撮してた
離陸Pによる“飛んでみた”動画でニコニコ超会議初日の様子を見てみよう。