人間の誇りと尊厳をかけたプロ棋士対コンピュータの真剣勝負が行われている将棋「電王戦」。第2回「電王戦」にてすべての対局で代指しをつとめた三浦孝介初段にかわり、第3回「電王戦」でコンピュータ側の代指しをつとめているデンソーのロボットアーム「電王手君」をニコニコ技術部がついに再現しました。 その名も「ミニ電王手君」!
盤下のWebカメラで盤面を画像認識し、盤面情報から指手を生成してアームを動かします。ロボットアーム本体の右側に設置されている台は先後の向きや裏表を反転させる作業台になっています。これで「成駒」などで駒をひっくり返すことができますね。本家「電王手君」は空気式の吸引手ですが、「ミニ電王手君」は横からつまんで駒を反転させます。
構想自体は1年前からあったといいますが、アームの長さが足りないなどさまざまな苦労があったようです。しかし今回は装置とプログラム(制御・画像認識・思考エンジン)のすべてを3日間で作成したというから驚きです。画像認識は駒がわずかに回転してしまった場合や位置ずれにも対応しているとのこと。
そしてロボットアームがつかみやすいように駒も自作。アクリル板から切り出して側面を平行にした仕様になっています。
さらに技術部の本気を感じさせるのが各マスに対するアームの移動情報を全部手作業で合わせたという点でしょう。「次の日にはなぜかアームの移動位置が変わったりしていた」という苦労もあったそうです。
「玉」を取ると、左右にロボットアームが動いてキャッキャとはしゃぐミニ電王手君がなんともかわいらしいです。
微妙な調整や駒の衝突が課題だと言いますが、いやいや現段階でもかなりのクオリティですよ! コンパクトで高性能な「ミニ電王手君」には「野生のデンソー」、「個人でこれはスゴイ」など賞賛のコメントが多く見られます。
もしかしたら一家に1台「ミニ電王手君」の時代がやってきて、個人で「電王戦」が開催できるかもしれません。三浦君、お疲れ様でした。
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