「甘いものは別腹」――よく聞く言葉ですがこれって本当なんでしょうか? 今回は別腹の仕組みについて少し考えようかと思います。
甘いと感じると、脳では至福感、陶酔感をもたらすβ-エンドルフィンなどの麻薬様物質が分泌されます。β-エンドルフィンは脳内麻薬とも呼ばれ、多幸感をもたらしてくれます。そして、ドーパミンという物質も分泌され、食べようという意欲が出てくるのです。
実は、実際に甘いと感じなくとも、その甘さ、おいしさを想像するだけでこれらの物質は出ます。今までの食経験で「こういう味だろうな。おいしいだろうな」と想像できるからです。
そうすると、オレキシンという摂食を促進する物質が脳内で分泌され、消化器官の活動が活発になって、食欲がわいてきます。このオレキシンという物質が「別腹」を作る犯人にほかならないのです。
オレキシンは、これから胃にくる食べ物を受け入れるために胃の筋肉を緩ませて胃を広げ、胃の中にあるものを小腸に送り出す運動を促進します。胃が広くなり、中身が小腸に送り出されることで、胃にデザートの入るスペースができて「別腹」が生じるのです。
脳の仕組みって不思議ですよね!
筆者「味博士」紹介
鈴木 隆一:AISSY株式会社代表取締役社長、慶應義塾大学共同研究員(兼務)。慶應義塾大学理工学部卒業、同大大学院理工学研究科修士課程修了。大学在学中よりシステム開発の受託などを行いながらSFC研究所研究員も兼務。大学院修了後、慶応義塾大学から出資を得てAISSY株式会社を設立。
味覚や食べ合わせの研究を行い、メディアにも多数出演。通称「味博士」。
最新著書として、『日本人の味覚は世界一』(廣済堂新書)、他にも『味博士のぜったい太らない食べ方』(日本文芸社)『「味覚力」を鍛えれば病気にならない』(講談社)がある。
本稿は「味博士の研究所」を加筆・修正をして掲載しています。
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