明日(12月8日)はジョン・レノン(John Lennon)の命日です。
言わずと知れたビートルズの元メンバーであり、偉大な詩人として、数々の名作を生みだしたレノン。1980年12月8日、NYの自宅前で撃たれるという衝撃的なニュースが世界中を駆け巡ったのは、今から35年も前のことでした。
レノンが生きていたら75歳。ポールのように歌っていたでしょうか。レノンの命日にちなみ、彼を偲ぶNY巡りにご案内します。
レノンを偲ぶスポット ストロベリー・フィールズ
ストロベリー・フィールズ(Strawberry Fields)は、ニューヨークの72ndストリートの入り口からすぐのセントラルパークの中にある、レノンのメモリアル広場です。
レノン亡き後、生きていれば45歳の誕生日である1985年10月9日に、“Strawberry Fields Forever”の曲から名づけられました。
上から見ると、涙のしずくのようなドロップ形の地形で、向かいにはレノンの自宅であり、射殺現場ともなったダコタ・ハウス(The Dakota Apartments)が建っています。
数年前、セントラル・パークにはオーディオ・ガイドとして、主な名所に緑色のボードが設置されました。表示されている番号に電話をかけると、名所を紹介するアナウンスが流れるというしくみ。ストロベリー・フィールズを案内してくれるのは、ジョン・レノンのパートナーだったオノ・ヨーコです。
命日にはイマジン・サークルに近づく前から聞こえる大合唱
案内板に沿って行くと、地面に「IMAGINE」がはめ込まれた円形の記念碑が見えてきます。
白と黒のモザイクのデザインはイタリアのアーティストによるもので、ナポリ市から寄贈されたもの。
傍にはベンチが置かれていて、普段は静かな場所ですが、命日には世界中の老若男女がこぞって訪れる聖地となりました。人が寝転んでも余るぐらいの大きな記念碑が、レノンの命日には花やろうそく、似顔絵やプレゼントなど、思い思いの品々で埋め尽くされ「IMAGINE」の字がかろうじて読めるくらいに。
さまざまな言語が飛び交い、次から次へとレノンの歌を大合唱する輪が膨らんでいきます。レノンを慕い敬愛する人たちが夜遅くまで歌い、語らい、ギターを弾く姿も少なくありません。「IMAGINE」の文字を探す人々。写真を撮る人に順番に場所を譲り合う姿。世界の平和を願う優しい気持ち。
レノンの音楽は色褪せることなく、民族や世代を超えて輝き続けていることが実感できます。12月の厳しい寒さの中でも、命日の大合唱は毎年絶えることはないのです。
ダコタ・ハウスは入居基準が厳しくて有名
NYにもパリのような公園が欲しいと造られたセントラル・パーク。そんな公園を眺めて暮らしたいという要望に基づいて設計されたのがダコタ・ハウスでした。
当時は雑木林のようなセントラル・パークの脇にポツンと建っていたため、まるでアメリカ西部にある僻地のダコタのようだと、この名が付いたと言われています。1880-1884年にかけて建築され、アメリカ合衆国の歴史建造物に指定されています。
凝った装飾や意匠など、まるでフランスのシャトーのようにゴージャスな雰囲気。はて、どこかで見たことがあると思ったら……セントラルパークの南東、五番街に面して建つNY一豪華なホテル「ザ・プラザ」にそっくりです。それもそのはず、設計者は両方とも同じ、ヘンリー・ハーデンバーグという建築家でした。
ここに入居するにはかなり厳格な審査があり、財産があるというだけでは住む許可が下りないのだとか。入居を拒否された人も少なくないと聞きます。
ちなみに、過去に暮していた著名人は、指揮者のレナード・バーンスタイン、バレエダンサーのルドルフ・ヌレエフなど。ジョージ・クルーニーの叔母である女優、ローズマリー・クルーニーも住んでいたようですから、幼いジョージも遊びに来たことがあるかもしれませんね。
マンハッタンに次々と高層ビルが建てられる中、ダコタ・ハウスは今や高級住宅地となったアッパー・ウエスト・サイドに竣工時と変わらずに佇んでいます。夫人であるオノ・ヨーコは今もここで暮しているそうです。
──命日の12月8日はホリデー・シーズン。
ニューヨークの街中はクリスマス・ムードで賑わい最も華やかな季節です。
ダコタ・ハウスの中庭に飾られたツリーが、教会に灯されたろうそくのように見えませんか。
ジョン・レノンを静かに追悼しているかのように。
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