1月2日、「スターバックス・コーヒー」のある店舗が福袋を販売したところ、先頭の5人組が在庫108個をすべて買い占め、後ろに並んでいた客が購入できない事態が発生しました。ネットでは買い占め行為やスターバックスの対応に批判の声が続出。スターバックス・コーヒー・ジャパンの広報担当者は「イレギュラーな事態で購入できなかったお客様には謝罪するとともに、出来る限りの対応に努めております」とコメントしました。
福袋とは、スターバックスが毎年お正月に全国の店舗で販売している3500円と6000円(いずれも税込)の商品。各店それぞれ一定数を用意し、なかにはタンブラーやコーヒーの粉、ドリンクの無料チケットなど、スターバックスのアイテムが数点入っています。各商品を買うよりお得な内容となっており、店舗によっては早朝から並ばないと手に入らないところもあるなど人気の福袋です。
買い占めが起こったのは「二子玉川ライズドッグウッドプラザ店」(東京都世田谷区)。3500円と6000円の福袋を合わせて108個用意し、オープン時間の7時から販売し始めました。開店前から店頭には福袋目当ての列ができていたのですが、先頭には5脚の携帯イスが置かれ、持ち主は店近くに停めた車の中で待機。オープンに合わせて車から先頭へ5人が戻り、個数制限がないということで108個すべての福袋を買い上げました。
Twitterでは実際に朝5時から並んだというユーザーが、同店で買い占めがあったことを「椅子置いといただけで並んだに入るって酷くない??」とツイート。さらにはInstagramにスターバックスの福袋を100個以上並べた写真を「個数限定がなけれりゃ全部買いますよね?!」と投稿している人が発見され(投稿は削除済み)、本件に対しネット掲示板やTwitterで批判のコメントが相次いでいます。
批判や疑問の的となっているのは主に2つ。ほかの客が並んでいたにも関わらず買い占めた5人のモラルと、個数制限を設けるなどして買い占めを防げなかったスターバックス店舗側の対応です。
年始は人気の福袋をネットオークションで転売して儲けようとする人が少なからず現れます。すでに「ヤフオク!」では2016年のスターバックスの福袋が約1600件売りに出されているのですが、2種類あわせて1万5000円など、定価以上でないと落札できない商品も散見されます。
こうした現状から5人の買い占めは転売による儲けを狙ったものだとし、福袋の中身が欲しい客をないがしろにした悪質な行為と、ネットでは非難する人が数多く発生。転売目的でないにしろ、ほかにも福袋目当ての客が明らかにいるのに買い占めを行った、5人のモラルを疑う声が上がっています。
一方で、買い占めを未然に防ぐ対応ができなかったことに店舗側への批判意見もあります。「制限付けないスタバが悪い…マナーが守れないなら、規則を付けるしかない」「多数の客に配慮できない店員しかいない店に、買えなかった人たちはその後通ってくれるんだろうか?」など。タレントのクリス松村さんも本件に対しブログで、買い占め側の倫理感に疑問を呈しながらも、「(現場が)とっさの判断が出来なかったことが問題だと個人的には思います」と触れました。
スターバックス・コーヒー・ジャパンの広報担当者によると、福袋は普段の客層や例年の販売実績に応じて、店舗ごとに個数制限を設けるかどうか判断しているとのこと。二子玉川ライズドッグウッドプラザ店は住宅街に位置しており、利用客も地域の住民が主です。過去に買い占めはなく、友達や家族から購入を頼まれた1人客などにも対応したいというサービス精神から、あえて個数制限は設けなかったと言います。
実際に5人組が買い占めるとき、現場がどのような対応をしたのか詳細は不明。本件を受け近隣店舗の「玉川高島屋S・C店」では、予定になかった個数制限(1人3個まで)を急きょ設けることにしたそうです。
「今回の買い占めは完全にイレギュラーなものでした」と広報担当者。長時間並んだのに購入できない客がいたことについて「お客様には大変申し訳無いことをしたと思っています。本人に対して出来る限りの対応を務めています」と、当事者への謝罪の意を示しました。今後福袋の個数制限を全店舗で実施するかどうかは「検討中」と回答しています。
コーヒーカップに客を労うメッセージを店員が書き込んだり、渡し損ねたお釣りを本人へ郵送したりと、現場独自の“神対応”も耳に飛び込んでくるスターバックス。買い占め行為を防ぐためマニュアルを設けるのも一手ですが、現場で店員が生み出す良サービスの芽を摘む可能性もあります。来年の福袋では利用客本人から不満が出ないような、スターバックスのより良い店舗づくりに期待したいです。
ちなみにスターバックスの福袋には限定品が入っているといううわさがあり、これが転売品の高騰を招く原因の1つとなっています。広報担当者によると、実際には「東京限定」や「○周年記念」といった希少性の高い地域・期間限定品が入っているわけではなく、比較的自分で手に入れられるアイテムが入っているとのこと。店舗ごとに中身の違いは若干あるものの全体的に似通っており、店舗独自の色が特別濃いわけでもないそうです。限定品というプレミア感を求めて高価な転売品に手を出しかけていた人は、心に留めておきましょう。
(黒木貴啓)
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