温泉街にベストマッチ! ガイドブック代わりになる「手ぬぐい」で草津温泉を満喫できそう:司書メイドの同人誌レビューノート
同人誌ならぬ同人「布」ですが、紙の本も紹介しますのでここは一つ。
暑い……いえ、やっぱり肌寒い? 長雨に、強烈な日差しと天候が目まぐるしく変化するこのごろ。しかも湿度が高く、じわじわと体力が奪われている気がします。こんな時は、たっぷりのお湯に肩まで浸って汗を流し、さっぱりとリラックスしたいですねえ。
この季節、温泉を楽しむのにうってつけの気候だと思いますが、いざ行こうと思ってもいろいろな温泉地があって、どこに行こうか迷ってしまいますよね。そんなときは、この「手ぬぐい」が、あなたを最高の温泉に導いてくれるかもしれません。
今回紹介する同人誌
「草津温泉 共同浴場 手ぬぐい」 90×34センチ 3色刷り
作者:信行
使って楽しい、読んで楽しい「手ぬぐい同人誌」
画像では横長のポスターに見えるかもしれませんが、その正体は「手ぬぐい」。そう、布です。汗を拭いたり、ふきんにしたり、古来より日常で使われていたこのアイテムが、草津温泉が大好きな作者さんの手により温泉好きにうれしい「草津温泉 共同浴場 手ぬぐい」へと姿を変えました。
草津温泉に魅せられ、足しげく通われた作者さんは、たくさんの人に温泉を楽しんでもらいたいとの思いから、草津温泉にある共同浴場の位置が一目で分かる、マップ付き手ぬぐいを制作。所在地に加えて、それぞれの浴場の利用可能な時間も載っている優れものです(「同人誌ではなくグッズでは?」との見方もあるかとは思いますが、記事後半で同じ作者さんによる同人誌も紹介していきますのでお許しを……!)。
染められた浴場名を見ながら、どんなところかなあと想像したり、なんなら一緒に湯船に浸った人と「次はどの湯を巡る?」と相談することもできます。そんな風に使えるのなら、手ぬぐいも立派な資料といえるかも。もちろん布なのでぬれるのなんて怖くありません。お湯の中で地図を眺めつつ、あれこれ思索にふけることができるなんて、わくわくします。
包装紙にまでアイデアたっぷり、使用前後も楽しめそう
購入した手ぬぐいには、かわいいイラストの入った熨斗(のし)がかけられているのですが、実はここにもこだわりが。表は温泉風情あふれる女の子のイラストが描かれたシンプルな装いなのですが、ひっくり返すと「手拭いを湯船に浸けてはいけないよ」など、温泉と手ぬぐいにまつわるマナーが。さらに、染め色について日本古来の紫紺(しこん)、蘇芳(すおう)、中紅(なかべに)という三色を使っていること、きめ細かな生地を採用したことなどが記載されています。こちらは紙なので温泉のなかには持ち込めませんが、草津に旅立つ前に、そわそわどきどきしながら温泉につかる予習をするのにぴったりです。
そして裏面は、なんとすごろくになっています。コマもサイコロもついている親切設計で、これは湯上りに畳に寝転んで、あーだこーだ言いながら遊ぶのに最適な予感。手ぬぐいを使う前、使うとき、使った後と、全方位に考えられたアイデアが、1枚の手ぬぐいと熨斗に凝縮されています。もしかしたら旅行後、お洗濯ものを干すときに「あ、この浴場に行ったなあ」と思いだすなんてこともあるかも。
紙の本もあるよ。「上州 草津温泉 ミラクル★ガイドマップ」でさらなる草津温泉ツウに
実はこちらの「草津温泉 共同浴場 手ぬぐい」は“バージョン2”で、新しくできた共同浴場の情報が反映されているんです。手ぬぐいの改版なんて、なかなか耳にしないレアケースかも。細やかな対応に、「新しい場所ともども、草津を楽しんでほしい!」という作者さんの草津温泉愛が伝わってくるようです。
そんな草津を愛するサークル「NTconfess」さんは、もっと詳しい情報を詰め込んだ「上州 草津温泉 ミラクル★ガイドブック」や「上州 草津温泉 ミラクル★ガイドマップver2」も出されています。こちらは紙の本で、随時情報更新中だとか。
古き良きアイテム「手ぬぐい」と、「温泉情報」というベストな組み合わせ。草津温泉愛を詰め込んだ手ぬぐいを、ふわりと夏空にひらめかせながら旅立ちたいですね。
サークル情報
サークル名:NTconfess
取り扱い:COMIC ZIN
参加予定イベント:コミックマーケット90 三日目 西1 “り”-01a NT CONFESS
Twitter:@K315
Webサイト:http://no-bu.net/
今週のシャッツキステ
著者紹介
司書メイド ミソノ:秋葉原カルチャーカフェ「シャッツキステ」でメイドとしてお給仕する傍ら、とある大きな図書館で司書としても働く“司書メイド”。その一方で、こよなく同人誌を愛し、シャッツキステでも「はじめての同人誌づくり」「こだわりの特殊装丁」の展示イベントを開く。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えた辺りで数えるのをやめました」と語る
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