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なぜ「ときど優勝」で格ゲーマーは泣いたのか 東大卒プロゲーマーの情熱と“友情、努力、勝利”(3/3 ページ)

劇的なときどの優勝で幕を下ろしたEVO2017、その背景を振り返る。

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格ゲー界の名勝負は、これだけじゃない

 EVO2017は、ときどの優勝で幕を閉じた。

 この一戦以降、その劇的な展開のおかげで、筆者の周囲はときどの話題で持ちきりだった。「ときどはどんな人なのか」「あの対戦でどんなスーパープレイがあったのか」「感動した」「すごかった」いろんな事を質問され、いろんな感想を聞いた。嬉しかった反面、少し悔しい思いもあった。

 なぜなら、感動できる格闘ゲームの試合は、今までもたくさんあったのだ。

 筆者が格闘ゲームに真面目に取り組みはじめたのは約15年前。人生の半分くらい格闘ゲーマーとして生きてきた。もちろん格闘ゲームのことは大好きだし、そんじょそこらのプレイヤーより多くの対戦を見てきたつもりだ。

 ネモ対小川、ガリレオ対どぐら、PR Balrogのバイソン対Infiltrationのハカン、闘劇でのヌキ対こくじん、ウメハラ対小川もすさまじい盛り上がりだった。「今までで一番すごかった試合は」と聞かれても、筆者は「ときど対パンク」ではなく「闘神激突の竹原対もっちー」と答えるだろう(とはいえ、ときど対パンクはその次くらいかもしれないが)。

 2D格闘ゲームの限られたタイトルしか知らないが、他のタイトルでもきっと同じような名勝負が同じくらいの頻度で繰り広げられていたに違いない。そして、そのような名勝負は今後も起こるのだろう。

「ときどの試合に感動した」という格闘ゲーマー以外の人へ

 もし、格闘ゲームの世界を知らない人がときどの優勝をみて心から感動したなら、今後も格闘ゲームの観戦を続けることをオススメする。今年のEVOだって、何もストリートファイターVだけをやってたわけではない。他の種目でも、熱い試合はたくさんあったのだ。幸い、今はネット配信があるおかげで観戦のハードルはとても低い。

 見るのが退屈なら、プレイすればいい。ときどの勝利に感動できるなら、格闘ゲーマーになる素質は十分ある。ガチャガチャ操作して、CPU相手にたまにまぐれで勝って喜ぶ、そんな程度でいい。きっとどんなプレイヤーでも最初はそんなものだったはずだし、結局は楽しめればそれでいいと思う。プロゲーマーだって、そんなプレイヤーを心から歓迎するだろう。見て楽しめなくても、プレイすれば観戦する楽しさも分かってくるはず。なんてったって、格闘ゲームは見てもやっても超面白いのだから。


tokido ときど PS3時代に使っていた筆者のコントローラー

日本のeスポーツの未来は

 強豪プレイヤーが多いにもかかわらず、日本はeスポーツ後進国だ。景表法の縛りのせいで高額賞金を出せる大会は無いし、プロゲーマーの評価も低いし、そもそもプロゲーマーの定義も曖昧なまま。テレビでゲームの試合を中継すると聞いて期待しても、たった30分の番組だったりする。大会が開かれても、足を運ぶ9割くらいはそのゲームのプレイヤーで、純粋な観戦者はほぼいないだろう。発展途上の日本におけるeスポーツは、まだまだ課題が山積みだ。

 でも、ウメハラやときどのようなスタープレイヤーが増えれば、そしてそのプレイヤーに感動する人が増えればどうなるだろう。もし、もっとeスポーツが世間に認知され、ファンが増えればきっと状況は変わるはず。ネットの「ときどブーム」を目の当たりにした今、そう思わずにはいられない。

 「eスポーツの面白さが、他の競技に負ける要素は無い」筆者は心からそう信じている。


イッコウ


参考書籍  東大卒プロゲーマー 論理は結局、情熱にかなわない /ときど(PHP新書)

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